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◇素敵な時間①
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「舞花、どれどれ、メイクのチェックをしてあげよう」
仕事を終えてロッカールームで着替えていると、美里がニヤつきながら私の顔をじろじろとうかがう。
「普段と同じメイクだよ」
いつもとは違い、美里が妙に意味ありげに私に絡んでくる。
今日は和久井さんと約束をした飲み会の日だ。総務部の同僚をふたり誘って、こちらは四人で参加する予定になっている。
「マツエク、ばっちりだね。舞花は元々目が大きいからすごく映える!」
「ありがと」
「ピンクのグロスもかわいい。今日のワンピースと合ってるし、完璧!」
ビッと親指を立てる美里を見て、思わず噴き出しそうになった。
特に面白みのない私には美里くらいお茶目な性格の子のほうが、一緒に居るにはバランスがいい。
「今日は舞花にとって勝負の日だから、私もがんばらないとね」
「大げさだよ」
「なに言ってるの! 大丈夫、私に任せといて!」
私が和久井さんを好きだと知っている美咲は、かなり気を利かせてくれているのだけれど……
気合いを入れすぎて空回りだけはしないでと願うだけだ。
「私は今日、真っ先に前に出てきて喋ってくる男をブロックする!」
美里はそう言いながら、ロッカーの扉の内側に備え付けられている鏡で前髪を念入りに整えていた。
どうして彼女がそういう発想になるのかわからなくて、私の頭にはクエスチョンマークがいくつも浮かぶ。
「舞花はかわいいからすぐ狙われるよ。そしたら流れに逆らえずに、その厚かましい人とずっと話しちゃうでしょ? そうなったら和久井さんといつまで経っても話せないままだし、この飲み会の意味がない!」
……なるほど。なんて、妙に納得してしまった。
美里には感謝しなければいけない。
この飲み会の話を持ちかけてくれたこともだし、私が和久井さんとたくさん話せるようにそこまで考えてくれていたのだ。
「総務の子たちにも、和久井さんはダメって言ってあるから。舞花は遠慮せずにガンガン話しかけて!」
「……う、うん」
ガンガンと言われても、私なりにしか無理だけれど、そこは素直にうなずいておいた。
飲み会の待ち合わせ場所は、繁華街にあるオシャレな創作料理店だった。
「こんばんは。お待たせしてすみませーん」
お店に入り、美里がすでに到着していた男性陣に声をかけた。
ぞろぞろと私たち女性四人もテーブルにつく。クイっと美里に肘で押され、私は自然な形で和久井さんの隣の席に座れた。
和久井さんはいつもと同じくスーツ姿だけれど、ネクタイを少し緩めているせいか、いつもより男の色気が増していて、私は思わず見とれそうになる。
「私服姿もかわいいね」
「そ、そうですか?」
「うん。受付の制服姿ももちろんいいけど」
和久井さんが私をかわいいと褒めてくれたのがすごくうれしくて、ありがとうございます、と俯きながら照れてしまう。
「はい、和久井くーん! 始まってすぐに口説くのやめてくださーい!」
和久井さんの同僚の男性が、私たちのやりとりを聞いていたようで、茶化した感じで会話を遮断してきた。
さっき軽く自己紹介していたときに、佐藤と名乗っていた人だ。
「舞花、どれどれ、メイクのチェックをしてあげよう」
仕事を終えてロッカールームで着替えていると、美里がニヤつきながら私の顔をじろじろとうかがう。
「普段と同じメイクだよ」
いつもとは違い、美里が妙に意味ありげに私に絡んでくる。
今日は和久井さんと約束をした飲み会の日だ。総務部の同僚をふたり誘って、こちらは四人で参加する予定になっている。
「マツエク、ばっちりだね。舞花は元々目が大きいからすごく映える!」
「ありがと」
「ピンクのグロスもかわいい。今日のワンピースと合ってるし、完璧!」
ビッと親指を立てる美里を見て、思わず噴き出しそうになった。
特に面白みのない私には美里くらいお茶目な性格の子のほうが、一緒に居るにはバランスがいい。
「今日は舞花にとって勝負の日だから、私もがんばらないとね」
「大げさだよ」
「なに言ってるの! 大丈夫、私に任せといて!」
私が和久井さんを好きだと知っている美咲は、かなり気を利かせてくれているのだけれど……
気合いを入れすぎて空回りだけはしないでと願うだけだ。
「私は今日、真っ先に前に出てきて喋ってくる男をブロックする!」
美里はそう言いながら、ロッカーの扉の内側に備え付けられている鏡で前髪を念入りに整えていた。
どうして彼女がそういう発想になるのかわからなくて、私の頭にはクエスチョンマークがいくつも浮かぶ。
「舞花はかわいいからすぐ狙われるよ。そしたら流れに逆らえずに、その厚かましい人とずっと話しちゃうでしょ? そうなったら和久井さんといつまで経っても話せないままだし、この飲み会の意味がない!」
……なるほど。なんて、妙に納得してしまった。
美里には感謝しなければいけない。
この飲み会の話を持ちかけてくれたこともだし、私が和久井さんとたくさん話せるようにそこまで考えてくれていたのだ。
「総務の子たちにも、和久井さんはダメって言ってあるから。舞花は遠慮せずにガンガン話しかけて!」
「……う、うん」
ガンガンと言われても、私なりにしか無理だけれど、そこは素直にうなずいておいた。
飲み会の待ち合わせ場所は、繁華街にあるオシャレな創作料理店だった。
「こんばんは。お待たせしてすみませーん」
お店に入り、美里がすでに到着していた男性陣に声をかけた。
ぞろぞろと私たち女性四人もテーブルにつく。クイっと美里に肘で押され、私は自然な形で和久井さんの隣の席に座れた。
和久井さんはいつもと同じくスーツ姿だけれど、ネクタイを少し緩めているせいか、いつもより男の色気が増していて、私は思わず見とれそうになる。
「私服姿もかわいいね」
「そ、そうですか?」
「うん。受付の制服姿ももちろんいいけど」
和久井さんが私をかわいいと褒めてくれたのがすごくうれしくて、ありがとうございます、と俯きながら照れてしまう。
「はい、和久井くーん! 始まってすぐに口説くのやめてくださーい!」
和久井さんの同僚の男性が、私たちのやりとりを聞いていたようで、茶化した感じで会話を遮断してきた。
さっき軽く自己紹介していたときに、佐藤と名乗っていた人だ。
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