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◇素敵な時間③
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そのあと和久井さんと楽しい会話が続いた。会社での話題が多かったけれど、私は満足だ。
しばらくして私はトイレに向かい、鏡の前で取れかかっていたグロスを塗り直した。
自分の首元を見ると、お酒のせいで肌が少し紅潮している。
たいして飲んでいないのに、私はいつもこうだ。
「ま・い・か!」
トイレの入り口の扉が開いて美里が入ってきた。お酒のせいでテンションがいつもより高めだ。
「うふふ。作戦会議しよ!」
美里は鏡を見つめながら私の腕に絡みついてきた。……彼女はだいぶ酔っている。
「え、なんの作戦?」
「もちろん、和久井さんゲットの作戦に決まってるでしょ!」
作戦だなんて大げさだ。今日はたくさん話せたし、それだけで十分進歩なのに。
「佐藤さんにねぇ、いろいろ聞いちゃった。やっぱり和久井さんは、彼女いないって。最近別れたとかじゃなくて、ここしばらく何年かいないらしいよ?」
佐藤さんと親しげに小声で話していると思っていたら、美里はそういう情報を聞き出してくれていたみたいだ。
友達思いな美里には本当に感謝しかない。
「飲み会で女の子たちと知り合っても、そのときだけみたい。その後は進展なし!」
「でも和久井さんはモテるだろうね」
「うん。会社でも人気があるみたいだけど、特に親しい女性はいないって言ってた」
私のイメージどおりだ。和久井さんは遊び人ではなさそう。
「あ、でも。……佐藤さんにバレちゃった~」
なにを?と聞く前に、ものすごく嫌な予感がした。
あっけらかんと笑う美里の真正面に立って、しっかりと視線を合わせる。
「なにがバレたの?」
「舞花が和久井さんを好きだってこと」
「えぇ~~!!」
「だって仕方なかったの! 和久井さんについてばかり質問したから、私が和久井さんに気があるのかと誤解されそうになったんだもん。だから、私じゃなくて舞花が好きなんですって正直に言っちゃった」
小首をかしげながら微笑む美里を目にし、私は盛大に溜め息を吐いた。
「もう……恥ずかしくて戻れないよ」
と言いつつも、このままこのトイレの住人になるわけにもいかない。
戻ったらとりあえず、佐藤さんと目を合わせるのはよそう。
「大丈夫。佐藤さんを味方につけちゃえばいいのよ! そしたら自然と交流も増えるし、和久井さんのことをもっと知れるはず!」」
美里の言葉は、私にとってはなによりも甘い誘惑だった。
今よりもっと和久井さんと会えるチャンスを増やしたいし、親交を深めたいのは事実だ。
「お、姫たちのお戻りだー!」
私と美里が中座している間に、佐藤さんが和久井さんのところまできて話をしていたようだ。
「舞花ちゃん、竣の隣へどうぞ」
佐藤さんがにっこりと不自然な笑みを見せながら、元居た私の席を指し示した。
その行動があからさますぎて、めちゃくちゃ恥ずかしい。
穴があったら入りたい気持ちになったが、拒否するのもおかしいので、促されるがままに席に戻った。
隣の和久井さんをチラリと横目で盗み見たけれど、佐藤さんの言動をなんとも思っていないのか、至って自然な態度だ。
しばらくして私はトイレに向かい、鏡の前で取れかかっていたグロスを塗り直した。
自分の首元を見ると、お酒のせいで肌が少し紅潮している。
たいして飲んでいないのに、私はいつもこうだ。
「ま・い・か!」
トイレの入り口の扉が開いて美里が入ってきた。お酒のせいでテンションがいつもより高めだ。
「うふふ。作戦会議しよ!」
美里は鏡を見つめながら私の腕に絡みついてきた。……彼女はだいぶ酔っている。
「え、なんの作戦?」
「もちろん、和久井さんゲットの作戦に決まってるでしょ!」
作戦だなんて大げさだ。今日はたくさん話せたし、それだけで十分進歩なのに。
「佐藤さんにねぇ、いろいろ聞いちゃった。やっぱり和久井さんは、彼女いないって。最近別れたとかじゃなくて、ここしばらく何年かいないらしいよ?」
佐藤さんと親しげに小声で話していると思っていたら、美里はそういう情報を聞き出してくれていたみたいだ。
友達思いな美里には本当に感謝しかない。
「飲み会で女の子たちと知り合っても、そのときだけみたい。その後は進展なし!」
「でも和久井さんはモテるだろうね」
「うん。会社でも人気があるみたいだけど、特に親しい女性はいないって言ってた」
私のイメージどおりだ。和久井さんは遊び人ではなさそう。
「あ、でも。……佐藤さんにバレちゃった~」
なにを?と聞く前に、ものすごく嫌な予感がした。
あっけらかんと笑う美里の真正面に立って、しっかりと視線を合わせる。
「なにがバレたの?」
「舞花が和久井さんを好きだってこと」
「えぇ~~!!」
「だって仕方なかったの! 和久井さんについてばかり質問したから、私が和久井さんに気があるのかと誤解されそうになったんだもん。だから、私じゃなくて舞花が好きなんですって正直に言っちゃった」
小首をかしげながら微笑む美里を目にし、私は盛大に溜め息を吐いた。
「もう……恥ずかしくて戻れないよ」
と言いつつも、このままこのトイレの住人になるわけにもいかない。
戻ったらとりあえず、佐藤さんと目を合わせるのはよそう。
「大丈夫。佐藤さんを味方につけちゃえばいいのよ! そしたら自然と交流も増えるし、和久井さんのことをもっと知れるはず!」」
美里の言葉は、私にとってはなによりも甘い誘惑だった。
今よりもっと和久井さんと会えるチャンスを増やしたいし、親交を深めたいのは事実だ。
「お、姫たちのお戻りだー!」
私と美里が中座している間に、佐藤さんが和久井さんのところまできて話をしていたようだ。
「舞花ちゃん、竣の隣へどうぞ」
佐藤さんがにっこりと不自然な笑みを見せながら、元居た私の席を指し示した。
その行動があからさますぎて、めちゃくちゃ恥ずかしい。
穴があったら入りたい気持ちになったが、拒否するのもおかしいので、促されるがままに席に戻った。
隣の和久井さんをチラリと横目で盗み見たけれど、佐藤さんの言動をなんとも思っていないのか、至って自然な態度だ。
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