【完結】あなたに恋愛指南します

夏目若葉

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番外編⑩

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「今まで聞く機会がなかったんですよ」
「機会って……普通に聞けばいいだろ?」
「話の流れとかあるじゃないすか。いきなり誕生日いつ? って聞くのも変だから」
「意味がわからん。そんなのはいきなり聞けばいいんだよ!」

 たしかにそのとおりだ。
 機会がなかった、なんていうのは言い訳でしかなく、聞くのをおこたっていた、が正解だろう。

「今度会ったとき、絶対聞き出します!」

 俺が気合いを込めると、宇田さんがウンウンと首を縦に振る。

『今度会ったとき』
 宇田さんにはそう言ったけれど、俺はミーティング室を出るとすぐに個人用のスマホを胸ポケットから取り出した。
『思い立ったが吉日』という言葉もある。今、舞花に連絡しよう。
 舞花は仕事中だから電話には出られないので、メッセージを送っておくことにする。
 それなら昼休みにでも見るだろう。

『舞花の誕生日はいつなのか教えて?』

 メッセージならば唐突だとしても関係なく尋ねやすい。
 舞花は何月生まれだろう? と想像してみた。
 なんとなく冬生まれな気がするが、花が舞うという漢字からすると春生まれかもしれないな。

 一時間後の昼休み、俺のそんな想像は舞花からの返信で驚愕させられることになる。
 俺にしては珍しく社員食堂で昼食を取っているときに、舞花からメッセージの返事が来た。

『今日』
「は?!」

 メッセージを目にした俺は、思わず独り言のように短く声を上げた。
 今日……って、意味がわからない。
 ひとことしか書かれていないし、続きを書かないまま間違えて送ったのか?
 まさか、誕生日はいつかと尋ねた返事?……いや、まさかな。

 俺はあわてて定食の唐揚げを口に頬張り、ざわざわと大勢の社員がいる社食を出た。
 エレベーター近くの誰も居ない静かなスペースまで移動して、再びスマホを取り出した。
 俺も舞花も、平日の昼間は互いに電話はかけない。
 俺は営業職だし、舞花も同僚と交代で昼休憩を取るため、ふたりとも休憩の時間は日によって違う。
 それをわかっているから、連絡は自然とメッセージにしているのだ。
 だけど今、舞花からメッセージが届いたということは彼女も昼休憩中なのかもしれない。
 俺はそう考えて舞花に電話をかけてみることにした。

『もしもし?』

 数回のコールの後、彼女は電話に出た。俺が珍しく昼に電話をかけたので、驚いたのか声が少し上ずっていた。

「お疲れ様。今話して大丈夫?」
『うん。お昼休みだから』

 やっぱり。俺の読みは当たっていた。

「さっきのメッセージなんだけど……」

 余計な話をしている場合ではないので、単刀直入に俺は尋ねた。
 あのメッセージはなんだったのか真相をはっきりさせたい。
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