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supplementary tuition番外編
秘密は蜜より甘く 9
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「夢月ちゃん、ややこしくなってすまないね」
悠都がそう言い置いて車を降りたので、夢月も慌てて後に続く。
悠都が目の前に来るのが早いか否か、有都が悠都の胸倉を掴んだ。
「オヤジ、どー言うつもりだよ」
低く抑え込まれた声音は行動とは裏腹に怒りを抑えようとしているようにも聞こえる。
「すまない、有都」
「仕方ねーことかもしんねえけどな、身重の嫁に何させてんだよ」
「どうしても夢月ちゃんの協力が必要だったんだ」
「そうだとしても、夢月がどんな目にあったか知ってんだろ?!今が大事な時期だってことも!」
有都の声が徐々に凄みを増し、悠都の言葉はただ怒りを増幅させるだけになっている。
…………やっぱり、知ってるんだ。
夢月が隠す秘密がどんなものか、何を隠し、どこに行ってきたかを。
「てめーはそうやって夢月の性格利用してんだよ。息子を守る為にこそこそ陰で動きやがって、結局あの時と同じじゃねーか…………」
「あの時と同じにはしないさ…………」
悠都が有都から目を逸らし哀しげに伏せる。
息子を守る為に、あの時、そのフレーズで分かる。
やはり有都は悠都がひた隠す真実を知っている。
全て知りながら、知らないふりをして、今まで ────
「あっくん」も、あの頃の有都はすでに、そうだったのだろうか。
大人でも目を背けたくなる真実を小さな胸の中に抱え、耐えながら、あの公園に独り、いたのだろうか。
家に帰れず、遊ぶことをせずに…………
悠都もその事に気付いたように、慈愛に満ちた柔らかい眼差しを有都に注いだ。
「しない為に、夢月ちゃんに助けて貰ったんだよ、有都」
悠都は自分の胸倉を掴んでいる有都の手を掴み、しっかりと名を呼ぶ。
「夢月に頼る前にやる事あんだろ?!他にやるべき事がっ!」
その悠都の眼差しですら、有都は跳ね除ける勢いで声を張り上げる。
夢月は堪らず、悠都に掴みかかる有都の腕にしがみついていた。
見ていられなかった。
ただ有都を止めたくて、その怒りの遣り場を逸らしたくて、有都の頬を捕まえる。
脳裏には独りで公園にいる「あっくん」の姿が貼り付いて、寂しげな横顔が、心許無い小さな背中が、鮮明に浮かんだ。
あの頃も含め全てを受け止めたかった。
「 ──── っ!?」
唐突に、強引に重ねられた唇に有都が怯み、悠都から手を離す。
しっとりと柔らかい夢月の唇は、まるで涙で濡れたかのようで、頬に添えられた手が僅かに震えていた。
頭の芯まで支配していた攻撃的な熱が、その感触に冷やされていく。
膨らむ愛しさに洗い流されるようだ。
思わず、夢月の身体を抱き止め、口付けを深める。
渇きを訴える様な有都の舌先に夢月は必死で応えた。
どう収集を付けるかなど考えてはいなかったし、もう考えられなかった。
蕩けるような熱い舌に、全神経が集中していく。
息を継ぎ、唇が離れた瞬間に有都の手が夢月の身体をそっと押しやった。
唇が、身体が離れ、夢月は我に帰る。
────── 私、何を!!
慌てて横を見遣ると、微笑む悠都と視線がぶつかった。
夢月は見る間に紅潮していく頬に手を当て声を失う。
一体、誰に、何を、こんな距離で見せてしまったのだろうか。
狼狽ながら有都を見上げると、夢月同様赤く染めた顔を隠す様に片手を当てていた。
「他人の秘密は蜜の味って言うけど、息子のキスシーンをこんな至近距離で拝めるなんて、まぁなんとも甘いね」
そんな二人を眺めながら、悠都が腕を組んだ。
悠都がそう言い置いて車を降りたので、夢月も慌てて後に続く。
悠都が目の前に来るのが早いか否か、有都が悠都の胸倉を掴んだ。
「オヤジ、どー言うつもりだよ」
低く抑え込まれた声音は行動とは裏腹に怒りを抑えようとしているようにも聞こえる。
「すまない、有都」
「仕方ねーことかもしんねえけどな、身重の嫁に何させてんだよ」
「どうしても夢月ちゃんの協力が必要だったんだ」
「そうだとしても、夢月がどんな目にあったか知ってんだろ?!今が大事な時期だってことも!」
有都の声が徐々に凄みを増し、悠都の言葉はただ怒りを増幅させるだけになっている。
…………やっぱり、知ってるんだ。
夢月が隠す秘密がどんなものか、何を隠し、どこに行ってきたかを。
「てめーはそうやって夢月の性格利用してんだよ。息子を守る為にこそこそ陰で動きやがって、結局あの時と同じじゃねーか…………」
「あの時と同じにはしないさ…………」
悠都が有都から目を逸らし哀しげに伏せる。
息子を守る為に、あの時、そのフレーズで分かる。
やはり有都は悠都がひた隠す真実を知っている。
全て知りながら、知らないふりをして、今まで ────
「あっくん」も、あの頃の有都はすでに、そうだったのだろうか。
大人でも目を背けたくなる真実を小さな胸の中に抱え、耐えながら、あの公園に独り、いたのだろうか。
家に帰れず、遊ぶことをせずに…………
悠都もその事に気付いたように、慈愛に満ちた柔らかい眼差しを有都に注いだ。
「しない為に、夢月ちゃんに助けて貰ったんだよ、有都」
悠都は自分の胸倉を掴んでいる有都の手を掴み、しっかりと名を呼ぶ。
「夢月に頼る前にやる事あんだろ?!他にやるべき事がっ!」
その悠都の眼差しですら、有都は跳ね除ける勢いで声を張り上げる。
夢月は堪らず、悠都に掴みかかる有都の腕にしがみついていた。
見ていられなかった。
ただ有都を止めたくて、その怒りの遣り場を逸らしたくて、有都の頬を捕まえる。
脳裏には独りで公園にいる「あっくん」の姿が貼り付いて、寂しげな横顔が、心許無い小さな背中が、鮮明に浮かんだ。
あの頃も含め全てを受け止めたかった。
「 ──── っ!?」
唐突に、強引に重ねられた唇に有都が怯み、悠都から手を離す。
しっとりと柔らかい夢月の唇は、まるで涙で濡れたかのようで、頬に添えられた手が僅かに震えていた。
頭の芯まで支配していた攻撃的な熱が、その感触に冷やされていく。
膨らむ愛しさに洗い流されるようだ。
思わず、夢月の身体を抱き止め、口付けを深める。
渇きを訴える様な有都の舌先に夢月は必死で応えた。
どう収集を付けるかなど考えてはいなかったし、もう考えられなかった。
蕩けるような熱い舌に、全神経が集中していく。
息を継ぎ、唇が離れた瞬間に有都の手が夢月の身体をそっと押しやった。
唇が、身体が離れ、夢月は我に帰る。
────── 私、何を!!
慌てて横を見遣ると、微笑む悠都と視線がぶつかった。
夢月は見る間に紅潮していく頬に手を当て声を失う。
一体、誰に、何を、こんな距離で見せてしまったのだろうか。
狼狽ながら有都を見上げると、夢月同様赤く染めた顔を隠す様に片手を当てていた。
「他人の秘密は蜜の味って言うけど、息子のキスシーンをこんな至近距離で拝めるなんて、まぁなんとも甘いね」
そんな二人を眺めながら、悠都が腕を組んだ。
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