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4日目(木) 雨の日の再会、そして、波乱の予感6
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さっきまでのことは話尽くした。名前は伏せて話を進めた。夕佳さんは私の話に頷きながら聞いてくれたおかげで、安心して話すことが出来た。そして夕佳さんは「自分なりの考えはまとまったわ」と言い、一口、コーヒーを啜った。ほぅ と短い息をつき、とても意外な言葉を口に出した。
「もしかして、『告白』しようとしてるんじゃない?」
「…………誰に?」
「もちろん、瀬良ちゃんじゃないの?きっとその幼なじみさんは好きなのよ。瀬良ちゃんのことが」
私は口をぽっかりと開けたまま、硬直してしまった。
え?優斗が?私のことを??えぇ??
夕佳さんはまだ自分の考えを私に話していたけれど、その声は聞こえてこなく、最初に言い放った『告白』と言う言葉が、頭の中でこだましていた。
「おい……こいつ、起きてるか……?」
「起きてるでしょ。きっとびっくりしちゃったのよ」
少ししてからやっと夕佳さんと零さんの会話が耳に入ってきた。
「あ、瀬良ちゃん。なんか……ごめんね?これはあくまで私の予想だからさ。本当は全然違うことかもしれないし」
も少し慌てた様子で私に言ってきた。「あ……大丈夫ですよ」と口に出し、コーヒーをゴクリと喉を鳴らして飲んだ。
本当はちょっと大丈夫じゃない。もし、これが本当だったら…………私はなんて答えればいいんだろう。私にはもう好きな人がいるのに。すぐ近くにいるのに。それでも、届きそうで届かないもどかしい恋だけど。
私はしばらくぼんやりと上を見つめていた。何か波乱の予感がする。どうすればいいんだ、私は。
私の舌には、微かにほろ苦いコーヒーの味が残っていて、まとわりついていた。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ~変なこと余計に言っちゃってごめんね。とりあえず、自分で行って確かめた方がいいわ」
「やっぱりそうですよね……でも、夕佳さんに話せて、少し気が楽になった気がします」
「そう?ならよかったわ。帰りは気をつけてね」
「はい」
私はドアを開け、外へ出た。振り返るとそこにはいつものように彗くんが立っていた。
「今日も来てくれてありがとね」
「ううん、ここに来るの楽しいからさ」
「そっか、ならよかった」
彗くんは大きな黄色の目を細めて、嬉しそうに微笑んだ。私もつられて微笑んだ。
今日もつけてくれている、私があげたペンダント。大空を固めたようなとんぼ玉。まだ曇り空だけど、雲の隙間から溢れるように出てくる日光がとんぼ玉に当たって、とてもきらきらと輝いていた。まるで、雲ひとつもない快晴の空のように。
そして、私は彗くんに「じゃあね」と言ってから、前を向く。これまたいつものようにぶち猫がいた。私が「それじゃ、行こうか」と言うと、ぶち猫は「にゃー」とのんびり鳴いて、歩き出した。
私の今の心は曇り空。けど、明日の私はどうだろうか。まだ曇り空だろうか。いや、きっと、多少雲が残っていても、晴れてくれているだろう。そうだ、晴れやかな気持ちで明日を迎えよう。そして、午後三時にあの公園へ行くんだ。幼なじみに会いに。
「もしかして、『告白』しようとしてるんじゃない?」
「…………誰に?」
「もちろん、瀬良ちゃんじゃないの?きっとその幼なじみさんは好きなのよ。瀬良ちゃんのことが」
私は口をぽっかりと開けたまま、硬直してしまった。
え?優斗が?私のことを??えぇ??
夕佳さんはまだ自分の考えを私に話していたけれど、その声は聞こえてこなく、最初に言い放った『告白』と言う言葉が、頭の中でこだましていた。
「おい……こいつ、起きてるか……?」
「起きてるでしょ。きっとびっくりしちゃったのよ」
少ししてからやっと夕佳さんと零さんの会話が耳に入ってきた。
「あ、瀬良ちゃん。なんか……ごめんね?これはあくまで私の予想だからさ。本当は全然違うことかもしれないし」
も少し慌てた様子で私に言ってきた。「あ……大丈夫ですよ」と口に出し、コーヒーをゴクリと喉を鳴らして飲んだ。
本当はちょっと大丈夫じゃない。もし、これが本当だったら…………私はなんて答えればいいんだろう。私にはもう好きな人がいるのに。すぐ近くにいるのに。それでも、届きそうで届かないもどかしい恋だけど。
私はしばらくぼんやりと上を見つめていた。何か波乱の予感がする。どうすればいいんだ、私は。
私の舌には、微かにほろ苦いコーヒーの味が残っていて、まとわりついていた。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ~変なこと余計に言っちゃってごめんね。とりあえず、自分で行って確かめた方がいいわ」
「やっぱりそうですよね……でも、夕佳さんに話せて、少し気が楽になった気がします」
「そう?ならよかったわ。帰りは気をつけてね」
「はい」
私はドアを開け、外へ出た。振り返るとそこにはいつものように彗くんが立っていた。
「今日も来てくれてありがとね」
「ううん、ここに来るの楽しいからさ」
「そっか、ならよかった」
彗くんは大きな黄色の目を細めて、嬉しそうに微笑んだ。私もつられて微笑んだ。
今日もつけてくれている、私があげたペンダント。大空を固めたようなとんぼ玉。まだ曇り空だけど、雲の隙間から溢れるように出てくる日光がとんぼ玉に当たって、とてもきらきらと輝いていた。まるで、雲ひとつもない快晴の空のように。
そして、私は彗くんに「じゃあね」と言ってから、前を向く。これまたいつものようにぶち猫がいた。私が「それじゃ、行こうか」と言うと、ぶち猫は「にゃー」とのんびり鳴いて、歩き出した。
私の今の心は曇り空。けど、明日の私はどうだろうか。まだ曇り空だろうか。いや、きっと、多少雲が残っていても、晴れてくれているだろう。そうだ、晴れやかな気持ちで明日を迎えよう。そして、午後三時にあの公園へ行くんだ。幼なじみに会いに。
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