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三章 銃乱射事件
三.人々
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「イヤアアアァァァ!!」
「おい!誰か警察と救急車を!!」
「キャアアアアアァァァ!!」
「っ……!誰かー……!誰か……助けてくれ……!」
「ひぃぃぃい……」
瞬く間に俺は様々な声の波に呑まれてしまった。悲痛な叫び。警戒する声。そして、銃声音。どれも心が何かに突き刺されたように、ズキズキ、ズキズキという痛みを覚える。さっき、助けを求めていた男性も、あいつに殺られたのか、声はもう消え失せていた。次々と倒されていく人達。残るのは沢山の怪我人、それから死体。まあ、俺もこの場から早く逃げればいいのに、何故か見てしまう。こんな現場見たくもないのに。目がどうしても見てしまう。
そして、やつはこの光景を見て何とも思っていないのか。
「お、おい……アイ……」
俺はアイに助けを求めようと、ガタガタと震えながら、振り向いた。でも、アイはじっと遠くを険しい目付きで見つめていた。
「おい……!アイ……!アイ……!聞こえてるか……!!」
俺は何度もアイに声をかけた。だが、アイは俺の方を向こうともしなければ、反応もしなかった。ただただ遠くを見つめているだけだった。そして、どこを見つめているのか分からなかった。
何を見ているんだ……?犯人か?声を上げて倒れていく人達か?それとも死体か?それか……周囲?
俺は様々な考えを浮かび上がらせた。だけど、見つめている理由がどこにも見当たらなかった。
アイは以前言っていた。『俺を守る』と。使命は果たすんじゃなかったのか。こんな危険な状態なのに守らないのか。何で。どうして。………………いや、冷静になれ、俺。アイにも何かしら原因があるんだ。きっとあるからどこかを見つめているんだ。それに、自分の身は自分で守らないとな。頼りすぎるのも良くない。
とりあえず俺は理由を探るため、アイと同じ方向を見てみることにした。少しでも何か分かるかもしれない。俺はすっと体をアイに合わせた。それから目線も。
そして俺はある事が分かった。
アイは何も見つめていない。
犯人を見ていなければ、倒れていく人達や死体にも目を向けていなかった。
だったら何を見ているんだ?
俺はしかめっ面で、もう一度見た。すると、隣からアイが、俺の頭に直接話してきた。普段よりも一段と低い声で、静かに言った。
「……おい、晋太。来るぞ」
「は?何が……」
「いいからまず見てろ」
「あ、あぁ……」
何だ?『来る』って。
俺はその意味が分からず、ただただ、唖然として人が殺されていく光景を見ているだけだった。
いつまで見させる気だ。もうこれ以上は見たくない。こんな無惨な光景…………昔のあの嫌な自分を思い出すだけだ――
自分の足元を見て、目から何かが溢れ出しそうなのを堪えた。どうしても脳裏に、あの時のことが鮮明に思い出される。自分のせいで母が殺されてしまった時。それと同時に『生きる』と決心した時でもあった。俺は現実から目を背けようと、ぐっと瞼に力を入れ、目を閉じた時だった。
「来たぞ」
というアイの声がして、俺はふと顔を上げた。そこには、不思議な光景が広がっていた。犯人の背後に、深い緑色をした瞳の目玉がふわりと浮かんでいる。それも睨みつけるように。それでも犯人は気づいていないのか、無我夢中で人を殺している。そして、現実で喋っている声、気持ちの声がごちゃ混ぜになり、どちらも大きく膨らんでいて、霧も濃さを増していた。
これは相当やばい……聞いたり、見たりするだけでも頭がぐわんぐわんして、おかしくなってくる……
これだけでも気持ち悪くなってくる上で、俺は更に衝撃なことを目の当たりにした。それも、昨日のことが鮮明に頭を過ぎっていき、心臓の鼓動が早くなり、ぞくりと背中に寒気を感じた。そして、妙な冷や汗を額にかいていた。
まただ……この光景、昨日も見たぞ……
『人を喰っている』ところ……
そのことは俺が見ている距離からでも分かった。だけど、俺の頭は既に限界を迎えていて、今は呆気にとられているだけで、何も考えることは出来なかった。
「おい!誰か警察と救急車を!!」
「キャアアアアアァァァ!!」
「っ……!誰かー……!誰か……助けてくれ……!」
「ひぃぃぃい……」
瞬く間に俺は様々な声の波に呑まれてしまった。悲痛な叫び。警戒する声。そして、銃声音。どれも心が何かに突き刺されたように、ズキズキ、ズキズキという痛みを覚える。さっき、助けを求めていた男性も、あいつに殺られたのか、声はもう消え失せていた。次々と倒されていく人達。残るのは沢山の怪我人、それから死体。まあ、俺もこの場から早く逃げればいいのに、何故か見てしまう。こんな現場見たくもないのに。目がどうしても見てしまう。
そして、やつはこの光景を見て何とも思っていないのか。
「お、おい……アイ……」
俺はアイに助けを求めようと、ガタガタと震えながら、振り向いた。でも、アイはじっと遠くを険しい目付きで見つめていた。
「おい……!アイ……!アイ……!聞こえてるか……!!」
俺は何度もアイに声をかけた。だが、アイは俺の方を向こうともしなければ、反応もしなかった。ただただ遠くを見つめているだけだった。そして、どこを見つめているのか分からなかった。
何を見ているんだ……?犯人か?声を上げて倒れていく人達か?それとも死体か?それか……周囲?
俺は様々な考えを浮かび上がらせた。だけど、見つめている理由がどこにも見当たらなかった。
アイは以前言っていた。『俺を守る』と。使命は果たすんじゃなかったのか。こんな危険な状態なのに守らないのか。何で。どうして。………………いや、冷静になれ、俺。アイにも何かしら原因があるんだ。きっとあるからどこかを見つめているんだ。それに、自分の身は自分で守らないとな。頼りすぎるのも良くない。
とりあえず俺は理由を探るため、アイと同じ方向を見てみることにした。少しでも何か分かるかもしれない。俺はすっと体をアイに合わせた。それから目線も。
そして俺はある事が分かった。
アイは何も見つめていない。
犯人を見ていなければ、倒れていく人達や死体にも目を向けていなかった。
だったら何を見ているんだ?
俺はしかめっ面で、もう一度見た。すると、隣からアイが、俺の頭に直接話してきた。普段よりも一段と低い声で、静かに言った。
「……おい、晋太。来るぞ」
「は?何が……」
「いいからまず見てろ」
「あ、あぁ……」
何だ?『来る』って。
俺はその意味が分からず、ただただ、唖然として人が殺されていく光景を見ているだけだった。
いつまで見させる気だ。もうこれ以上は見たくない。こんな無惨な光景…………昔のあの嫌な自分を思い出すだけだ――
自分の足元を見て、目から何かが溢れ出しそうなのを堪えた。どうしても脳裏に、あの時のことが鮮明に思い出される。自分のせいで母が殺されてしまった時。それと同時に『生きる』と決心した時でもあった。俺は現実から目を背けようと、ぐっと瞼に力を入れ、目を閉じた時だった。
「来たぞ」
というアイの声がして、俺はふと顔を上げた。そこには、不思議な光景が広がっていた。犯人の背後に、深い緑色をした瞳の目玉がふわりと浮かんでいる。それも睨みつけるように。それでも犯人は気づいていないのか、無我夢中で人を殺している。そして、現実で喋っている声、気持ちの声がごちゃ混ぜになり、どちらも大きく膨らんでいて、霧も濃さを増していた。
これは相当やばい……聞いたり、見たりするだけでも頭がぐわんぐわんして、おかしくなってくる……
これだけでも気持ち悪くなってくる上で、俺は更に衝撃なことを目の当たりにした。それも、昨日のことが鮮明に頭を過ぎっていき、心臓の鼓動が早くなり、ぞくりと背中に寒気を感じた。そして、妙な冷や汗を額にかいていた。
まただ……この光景、昨日も見たぞ……
『人を喰っている』ところ……
そのことは俺が見ている距離からでも分かった。だけど、俺の頭は既に限界を迎えていて、今は呆気にとられているだけで、何も考えることは出来なかった。
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