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四章 月琉という存在
三.自己紹介
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「……あ、そう言えば、まだ俺の名前言ってなかったね。俺の名前は、柏木晋太。君は?」
「……月琉……あたし、月琉って言います……よろしくお願いします……」
「そうなのか。じゃあ、俺、月琉って呼んでいいか?」
「は、はい……」
「ありがとう。俺のことは好きに呼んで構わないよ」
「……では、晋太さんと呼ばせていただきます……」
「うん、分かった」
『月琉』と名乗った女の子は、視線をそっぽに向けて、俺のことを避けているように、視線を合わせないようにしていた。その顔は、ぼーっとどこか一点を見つめていて、何だか憂鬱な感じがした。名前を言った後、きゅっと口を閉ざすと同時に、ぎゅっと持っているものを、力を込めて抱きしめた。
どうしたのだろうか。どこか体調でも悪いのか?それとも、緊張している?
自分で原因を考えてみたが、当てはまりそうなのがない。とりあえず俺は「大丈夫か?」とそっと声をかけた。月琉は、はっと我に返った様な表情をして、「大丈夫……!全然大丈夫です……!」とさっきの自己紹介の時よりも、ワントーン明るい声で言ってきた。そして、低い位置で、片手をふるふると横に振り、否定していた。片手を離しても、その抱えているものは、変形していなかった。てことは多分、ぬいぐるみではない気がする。俺は『もの』について、質問しようとしたが、くるりと曲がり、まず『なぜここに来たのか』質問することにした。
「……あ、あのさ。ちょっと質問なんだけど」
「はい……何でしょうか……?」
「その……月琉がここに来た理由って何かな?俺、さっきからずっと気になっててさ。あ、いや、教えられないなら、教えないでいいんだけど……」
俺がそう問いかけると、月琉の体がビクッと反応した。そして、唖然としたように顔を上げた。月琉がさっき、ちびちびと食べていたクッキーを皿の上に落とした。ぱりんと皿とクッキーの衝撃音が鳴り、クッキーは二つに割れた。
……月琉……何か相当な理由があるのか……?
本来であれば、理由を聞きたい。けど、無理に言わせようとすると、怒ったり、泣いたりするかもしれない。
月琉は、下を向き、黙り込んでしまった。それでも俺は、まじまじと月琉のことを見つけた。何だかアイの「気をつけろよ」の意味が分かった気がする。本当に気をつけなければいけないかもしれない。
居間の中は沈黙が続いた。ただ、二人のひっそりとした呼吸音だけが響いていた。そして、俺だけにしか聞こえない心臓の鼓動。俺は、息を殺すように唇を噛み締め、月琉の返事を待った。
少しすると、月琉が顔をゆっくりと上げ、俺のことを真っ直ぐ見つめてきた。月琉の顔は、何か決心したように強い顔をしていた。点々としている白のまろ眉。若干タレ目の中に、宝石が埋め込まれたような、不思議なオーラをまとっている深紅色の瞳。そして、ちょっとふっくらしている唇。一瞬、俺はドキッとし、表情が緩みそうになったが、我慢するように、口を固く結んだ。そして、じっと見つめ返した。しばらくそんな時間が続いた。
すると、月琉がようやく口を開いた。小さく動く口で、か細く小さな声を耳にした。それはこう言っているように聞こえた。
分かりました……
でも、引かないで下さいね……
と。そう言った後、月琉は「あぁ、どうしよう。言っちゃった」と戸惑った素振りをして、また少し俯いて、暗い表情になってしまった。そして、月琉はここへ来た理由について、淡々と話した。
「……月琉……あたし、月琉って言います……よろしくお願いします……」
「そうなのか。じゃあ、俺、月琉って呼んでいいか?」
「は、はい……」
「ありがとう。俺のことは好きに呼んで構わないよ」
「……では、晋太さんと呼ばせていただきます……」
「うん、分かった」
『月琉』と名乗った女の子は、視線をそっぽに向けて、俺のことを避けているように、視線を合わせないようにしていた。その顔は、ぼーっとどこか一点を見つめていて、何だか憂鬱な感じがした。名前を言った後、きゅっと口を閉ざすと同時に、ぎゅっと持っているものを、力を込めて抱きしめた。
どうしたのだろうか。どこか体調でも悪いのか?それとも、緊張している?
自分で原因を考えてみたが、当てはまりそうなのがない。とりあえず俺は「大丈夫か?」とそっと声をかけた。月琉は、はっと我に返った様な表情をして、「大丈夫……!全然大丈夫です……!」とさっきの自己紹介の時よりも、ワントーン明るい声で言ってきた。そして、低い位置で、片手をふるふると横に振り、否定していた。片手を離しても、その抱えているものは、変形していなかった。てことは多分、ぬいぐるみではない気がする。俺は『もの』について、質問しようとしたが、くるりと曲がり、まず『なぜここに来たのか』質問することにした。
「……あ、あのさ。ちょっと質問なんだけど」
「はい……何でしょうか……?」
「その……月琉がここに来た理由って何かな?俺、さっきからずっと気になっててさ。あ、いや、教えられないなら、教えないでいいんだけど……」
俺がそう問いかけると、月琉の体がビクッと反応した。そして、唖然としたように顔を上げた。月琉がさっき、ちびちびと食べていたクッキーを皿の上に落とした。ぱりんと皿とクッキーの衝撃音が鳴り、クッキーは二つに割れた。
……月琉……何か相当な理由があるのか……?
本来であれば、理由を聞きたい。けど、無理に言わせようとすると、怒ったり、泣いたりするかもしれない。
月琉は、下を向き、黙り込んでしまった。それでも俺は、まじまじと月琉のことを見つけた。何だかアイの「気をつけろよ」の意味が分かった気がする。本当に気をつけなければいけないかもしれない。
居間の中は沈黙が続いた。ただ、二人のひっそりとした呼吸音だけが響いていた。そして、俺だけにしか聞こえない心臓の鼓動。俺は、息を殺すように唇を噛み締め、月琉の返事を待った。
少しすると、月琉が顔をゆっくりと上げ、俺のことを真っ直ぐ見つめてきた。月琉の顔は、何か決心したように強い顔をしていた。点々としている白のまろ眉。若干タレ目の中に、宝石が埋め込まれたような、不思議なオーラをまとっている深紅色の瞳。そして、ちょっとふっくらしている唇。一瞬、俺はドキッとし、表情が緩みそうになったが、我慢するように、口を固く結んだ。そして、じっと見つめ返した。しばらくそんな時間が続いた。
すると、月琉がようやく口を開いた。小さく動く口で、か細く小さな声を耳にした。それはこう言っているように聞こえた。
分かりました……
でも、引かないで下さいね……
と。そう言った後、月琉は「あぁ、どうしよう。言っちゃった」と戸惑った素振りをして、また少し俯いて、暗い表情になってしまった。そして、月琉はここへ来た理由について、淡々と話した。
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