Passing 〜僕達の「好き」〜

*花*

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あっという間に放課後になっていた。
思った以上に時間が過ぎるのが早かった。結局、私の座った席が誰のものなのか分からず、終始ずっとその席だった。明日決まるらしい。はぁ……どうなる事やら。授業中は、私にとって、ちょっとしたハプニングが起きた。昼食は一人で食べていたら、いきなり昊明に誘われた。転校初日から、急接近している。このままだと私が、月 白兎だと気づかれてしまうかもしれない。

「うーん……一体、どうすれば……」

3時50分。部活がない人ならもう下校する時間。窓辺の方を見てみる。帰っている人がチラホラといた。誰もいない静かな教室に差し込む日の光を浴びて、一人でぽつりと呟いた時だった。

「……ん、あれ?まだ帰ってなかったの」

ふとドアの方から、ゆったりとした聞き慣れた声がした。私はドアの方を向き、誰だか確認した。
ほら、やっぱり。そこには昊明の姿があった。なんだか、妙に胸騒ぎがしてくる。それと同時に、少しドキドキしてくる。

「あぁ、えと、その……」
「あのさ、今帰るなら、一緒に帰らないか?」
「えっ……?」

自分の裏声のさらに裏が出た。高くなりすぎてなんか気持ち悪かった。そして、私の言い訳を全て持っていかれた。いや、かっさらっていった。その声は相変わらずゆったりとしていて、落ち着いた様子だった。「ん?別に良くね?」みたいな、キョトンとした顔をしている。でもそれは私にとって、別にいいという状況じゃなかった。頭の中は?だらけで大変だった。

一緒に帰らない??えっ?ん?んん?急に??
これ本当に、告白する前にバレるんじゃ……

「……いい……よ」
「お、いいの?ありがとな。俺今日部活なくてさ」
「そう……なのねぇ……?はは……」

自分の口は勝手に「いいよ」と動いてしまっていた。

なぜだ。どうしてなんだ。……でもまぁ、実際のところは嬉しいんだけどさぁ……
でも……ねぇ?

私は内心、むむっと眉間にしわを寄せるくらい困ったが、あえて表情に出さないよう、懸命にこらえた。それより先に、自分の頬が火照っていることに気づいた。

「うん、そうなんだよ。……ん?あれ、頬赤くなってるよ……?もしかして照れて……」
「なっ!ちっ、違うからっ……!!」
「ふふっ、じゃ、自分のタイミングでいいからさ、玄関に来てくれな」
「あ、うん……」

そう言うなり、「じゃ、後で」といたずらっぽく、からかうような満面の笑みを浮かべ、颯爽と駆けて行った。

はぁ……巨大な台風が通り過ぎていった後みたい。……もうどうすればいいのやら。

……でも、昊明の「真面目さ」と「気楽さ、ラフさ」は、昔から今でも変わってないんだなぁ……

ふふっと一人で微笑んでから、私は教室を後にした。



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