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春
❷過去
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いつの間にか保育園の中の人数も減り、みんなが帰る時間帯になってきていた。外が薄暗くなっていた。「あんな風になってしまったのは僕のせいだ」と気まずくなってしまって、僕は部屋の隅っこでうずくまっていた。
本当は僕が悪いんだ。僕のせいで……
僕が弱くなかったら、2人とも喧嘩することなんてなかった。傷つけ合わずに済んだんだ。今だって2人のこと心配してるのに……気にかけているのに……何にも出来ない。本当は自分から行動して謝んなきゃいけないのに……僕なんて生まれてこない方がよかったんだ。
僕は何もかも塞ぎ込んだ。自分の弱さに絶望しきっていた時だった。
「大丈夫?」
「あ……」
一番最悪なタイミングで会ってしまった。目の前には、僕の顔を心配そうな顔で覗き込んでくる男の子がいた。喧嘩の時の凄まじい気迫は消えていた。今は落ち着いていて、大人しそうな子に見える。黒色の少し長い髪の毛は後ろで結ばれ、ぴょこっと出ていた。猫目で綺麗なオレンジっぽい茶色の瞳に見つめられ、僕は何から言えばいいか分からず、口の中でごにょごにょと喋るしか出来なかった。
「あ、あの……えと、その……」
「俺もその本好きだよ。本に出てくる白いうさぎさん、可愛いよね」
「……え?」
そう言うと、僕の持っている本に指を指した。男の子はほわほわと微笑んでいた。この本の題名は「白うさぎと黒猫のちっちゃな冒険」。内容は、仲の良い白いうさぎさんと黒い猫さんがいて、白いうさぎさんが誕生日だから、ケーキを作るために、隣町まで一緒にお買い物に行く話なんだ。でも、その行くまでの間にいろんなことが起って、僕も冒険しているような気分になるんだ。最後は材料を買ってこれて、おいしいケーキを作ることができたんだ。
周りの年長さんにとっては、厚いと思う。けど、僕にとってはこの本は楽しいし、面白いから好きなんだ。
僕もこの気持ちを伝えたい……!!
恐る恐る口を開き、懸命に小さな口をパクパクと動かした。一言一言はっきり言うように心がけた。
「……あの……僕、も……この本、好きだよ……?」
「へぇ~そうなんだ!一緒だね」
「うん……あの……さっきは、ごめんなさい……」
「さっき……?」
あぁ、あれか と男の子は斜め上を見上げ、口をぽかんと開けた。さっきのことはもう忘れてしまっていたのか。何とも思っていなかったのか。僕には分からなかった。でも、自分の言葉で、謝ることはできた。僕はその嬉しさに心のモヤモヤがちょっと消えたような気がした。ホッとしていると、男の子の口から、意外な言葉が出てきた。
「……ごめんなさい!」
「へ?」
驚きのあまり、声が変に裏返った。僕は「へ」の1文字に尽きた。急に謝ってきてどうしたんだろうと、不思議に思った。すると、「実は……」と、力のない声で言い、男の子は目を伏せた。そしてぽつり、ぽつりと話し始めた。
本当は僕が悪いんだ。僕のせいで……
僕が弱くなかったら、2人とも喧嘩することなんてなかった。傷つけ合わずに済んだんだ。今だって2人のこと心配してるのに……気にかけているのに……何にも出来ない。本当は自分から行動して謝んなきゃいけないのに……僕なんて生まれてこない方がよかったんだ。
僕は何もかも塞ぎ込んだ。自分の弱さに絶望しきっていた時だった。
「大丈夫?」
「あ……」
一番最悪なタイミングで会ってしまった。目の前には、僕の顔を心配そうな顔で覗き込んでくる男の子がいた。喧嘩の時の凄まじい気迫は消えていた。今は落ち着いていて、大人しそうな子に見える。黒色の少し長い髪の毛は後ろで結ばれ、ぴょこっと出ていた。猫目で綺麗なオレンジっぽい茶色の瞳に見つめられ、僕は何から言えばいいか分からず、口の中でごにょごにょと喋るしか出来なかった。
「あ、あの……えと、その……」
「俺もその本好きだよ。本に出てくる白いうさぎさん、可愛いよね」
「……え?」
そう言うと、僕の持っている本に指を指した。男の子はほわほわと微笑んでいた。この本の題名は「白うさぎと黒猫のちっちゃな冒険」。内容は、仲の良い白いうさぎさんと黒い猫さんがいて、白いうさぎさんが誕生日だから、ケーキを作るために、隣町まで一緒にお買い物に行く話なんだ。でも、その行くまでの間にいろんなことが起って、僕も冒険しているような気分になるんだ。最後は材料を買ってこれて、おいしいケーキを作ることができたんだ。
周りの年長さんにとっては、厚いと思う。けど、僕にとってはこの本は楽しいし、面白いから好きなんだ。
僕もこの気持ちを伝えたい……!!
恐る恐る口を開き、懸命に小さな口をパクパクと動かした。一言一言はっきり言うように心がけた。
「……あの……僕、も……この本、好きだよ……?」
「へぇ~そうなんだ!一緒だね」
「うん……あの……さっきは、ごめんなさい……」
「さっき……?」
あぁ、あれか と男の子は斜め上を見上げ、口をぽかんと開けた。さっきのことはもう忘れてしまっていたのか。何とも思っていなかったのか。僕には分からなかった。でも、自分の言葉で、謝ることはできた。僕はその嬉しさに心のモヤモヤがちょっと消えたような気がした。ホッとしていると、男の子の口から、意外な言葉が出てきた。
「……ごめんなさい!」
「へ?」
驚きのあまり、声が変に裏返った。僕は「へ」の1文字に尽きた。急に謝ってきてどうしたんだろうと、不思議に思った。すると、「実は……」と、力のない声で言い、男の子は目を伏せた。そしてぽつり、ぽつりと話し始めた。
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