Passing 〜僕達の「好き」〜

*花*

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❺過去

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案の定、中学校も昊明と一緒だった。でも、小学校とは違って、初っ端からクラスが別々になってしまった。

「……クラス、別々になっちゃったね」

僕は初日の学校の帰り道、ぽつりと呟いた。

「あぁ……そうだな」

昊明もため息混じりに、悲しげに言った。僕と昊明の家は案外、近い。だから、小学校の時、このことに気づいて驚いた。それと同時に、とても嬉しかった。一緒に帰れるんだ、と思うと毎回、心が弾んでいた。
――でも、今は違った。
僕はふと足を止めて、空を見上げた。さっきまでは快晴の青空が続いていたが、今は薄暗い雲が影を伸ばしていた。今にも雨が降ってきそうな感じだった。

「……おい?白兎、大丈夫か?」

いつの間にか、隣にいる昊明が心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。僕は「あぁ、うん」と曖昧な返答をし、再び歩き出した。
「そうか……?だったらいいけど……」とまだどこか腑に落ちないのか、不安そうに言い、僕の歩調に合わせて、歩いてくれた。

……明日からは、昊明とは別々のクラスでの生活。もう、昊明に頼っていられないんだ。僕の数少ない友達だって、巻き込む訳にはいかない。だから、自分ひとりで何とかしていかないといけないんだ。

何事も無かったら1番いいんだけどなぁ……

「ねぇ、昊明」と共感を求めるように、ちらりと横を向いた。昊明は少しうつむき加減で、地面を見ながら歩いていた。その視線は、何かを考え込むように、一点を見つめていた。ブレずに、ただただ一直線に。
いつもなら、たわいもない話で盛り上がっていた帰り道が、今日は互いに何も言えず、静かな空間が広がっていた。子供たちが遊んで騒ぎまくっている声、途中ですれ違った犬の鳴き声。……しまいには、ジョギングしている人の足音、その何もかもが耳に入ってくるほど、僕達は静寂の中にいた。

――そして、いつの間にか僕は昊明の家の前に着いていた。

「それじゃあ、また……明日」
「うん……じゃあね」
「おう」

と、別れ際のやり取りをした。手を振り合い、最後に昊明は微笑んでくれたが、その笑みはどこかぎこちなかった。いつもの軽く、ふんわりとした感じではなかった。
僕は昊明のことを気にかけながら、前へ、前へと足を動かした。僕の家は後数メートルくらい真っ直ぐ行けば着く。いつも歩いている道なのに、何だか足取りが重かった。ひとりになった僕は、一度足を止め、また上を見上げた。どこまでも薄暗い雲が空を覆っている。太陽の光を、もくもくとした雲が覆い、光なんて遮ってしまっていた。まるで、今後の僕の中学校生活を示すように。

「……本当に大丈夫なのかなぁ……?」

不安げに呟き、ほんの少しの間、目を伏せた。

曇り空に僕はただただ、晴れますようにと願うことしか出来なかった。
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