上 下
14 / 35
本編

妙な噂

しおりを挟む
「チュンチュン…ふぁぁ…あー…もう朝か」

「なぁ、あの後変な噂が立ったんだが」

「どんな噂だ?」

「なんでも、夜に輝く幾つもの桜に囲まれ、敵を華麗に倒していく美しい少女が居たとかなんとか…」

「…うーん、少女とかいたか?」

「あの時のお前とそっくりだろ。もしかしたらあの時見られてたのかもな。それにしても、隠密でよく見えていないのに少女ってのはな」

「…ま、まあ俺は男だからその噂本人だとは結びつかないだろ」

「そうだな」

「…はぁ、面倒事にならなければ幸いだが…」

『魔力IV 制御を覚えました』

「お、IVも手に入れられた。これ何個まであるんだろうな。さてと、それじゃあ今日は魔力を増やす訓練をするか」

「ポーションでもあれば効率よくできるんだがな」

「ポーションで回復しても増えるのか?」

「ああ、増えるぞ」

「それなら、なにか売って買える金でも増やすか?」

「それも良いな」

「カムラ、ちょっと良いか?」

「なんですか?」

「ほら、カムラ昨日錬金術を学びたいって言ってたろ?だから、これをやるよ」

「これは…錬金術の道具ですか?」

「ああ」

「あ、ありがとうございます」

「そんじゃ、仕事があるから少し出掛けてくる」

「わかりました」

「…良かったじゃねぇか」

「嬉しくはあるが…これ、新品だぞ?」

「買いに行ったんだろ」

「だろうな。はぁ…折角だから使わせてもらおう。それで、ポーションの材料はここにあるか?」

「ちょっと見させてもらうぞ…お、あったあった。この薬草で作れるぞ」

「分かった。それで、どうやって作るんだ?」

「まずは鍋に魔力水をぶっこむ」

「魔力水?」

「魔法で水を出せ、それが魔力水だ」

「ポチャンッ…ふう、こんなもんか」

「これくらいは出せるまで魔力が増えたようだな。んじゃ、次にその薬草を入れろ」

「分かった。…んで?」

「その下にボタンあるだろ?それを押してみろ」

「ポチッ…んで、あとは?」

「完成だ」

「え?…あれ、瓶に入ってる?」

「それが魔力回復ポーションだな」

「うーん、なんというか…簡単だな?」

「まあ、錬金術はそんなもんだ」

『錬金術Ⅰ ポーションを覚えました。』

「んじゃ、あとは枯渇したらそれを飲むか掛けたら回復する」

「…なぁ、それって腹に水が溜らないか?」

「いや、そんなことないぞ。掛けたら粒子になって身体に溶け込むから大丈夫だ」

「なるほど。それじゃあ、枯渇したら掛けてくれ。ふぅぅ…」

『魔力Ⅴ 放出を覚えました。』

「バシャッ…ついでだ、圧縮したら威力も上がるようになるからそれも覚えておけ」

「わ、分かった…ズキズキ」 

『魔力VI 圧縮を覚えました』

「うん、そこまで。一旦休憩しろ」

「ふぅ…やっぱこれきついものがあるな」

「ま、痛みだけで成長できるんだ。まだマシだろ」

「それもそうだな」

「んじゃ、休憩してる内に説明するぞ。つぎは、魔法に着いて説明する。
魔法には種類があって、事象魔法と相律魔法の2種類がある。
事象魔法は、さっきの魔力水みたいなものだな。
んで、相律ってのは、自然物の影響を元に使う魔法だ」

「…ん?それはスキルじゃないのか?」

「スキルだぞ。さっき入手できなかったのは、魔力水ってのはあくまで魔力を含んだ水だからだ。
事象魔法の場合は、魔力を含んだ水ではなく、魔力で構成された水ってことだ」

「なるほど、それが通常の魔法か。
となると、相律魔法の方は川とかの水を操るって感じか?」

「そういうことだ」

「なるほど、なら普段は事象魔法の方を練習すれば良いんだな」

「ああ、だが海とかの敵なら相律魔法の方が魔力消費も節減できるし使えるぞ」

「…使用する対象がそこら中にあるからか」

「そういう事だな」

「なるほど、分かった。それで、事象魔法はどうやって使うんだ?」

「イメージを頭の中でして、そっから魔力を放出する」

「…さっきみたいなのにイメージを付けるのか?ふぅ…」

『魔法Ⅰ 事象魔法を覚えました。』

「ん?魔法Ⅰ?」

「魔力と魔法の違いは、魔力は体内にあるものを操るだけで、
魔法は影響を操るって感じだ」

「…な、なるほど」

「…まあ、そこら辺は分からなくても良い」

「す、すまん」

「んじゃ、一応相律魔法の方も覚えておけ」

「…ここだと…窓を開いて風を操るか」

「バシャッ…その前に回復」

「うっ、すまん…さて、始めるか」

風を感じて…それを押し返すように魔力を流して…

『魔法Ⅱ 相律魔法を覚えました。』

「ふぃぃ…取り敢えず魔法は使えるようになったな」

「そうだな。だが、これだけじゃ数回使えば枯渇するぞ」

「それもそうだな。だが、ポーションの残りも少なくなってきたか」

「今日も森に行ってみるか?」

「そうだな、ポーションの材料をメインに採取していこう」

「空間魔法も覚えたら良いんだがな」

「空間魔法?」

「そうだ。だが、空間魔法なんてのはかなり珍しいから滅多に見れないがな」

「えぇ…ならなんで気になるような事を言うんだよ…まあ良い。それじゃあ早速行こうか」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

憂鬱喫茶

ホラー / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:0

川と海をまたにかけて

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:0

妖精のいたずら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,349pt お気に入り:393

ラグナロク・ノア

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:127pt お気に入り:3

ほろ甘さに恋する気持ちをのせて――

恋愛 / 完結 24h.ポイント:312pt お気に入り:17

息抜き庭キャンプ

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:511pt お気に入り:8

ある工作員の些細な失敗

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:908pt お気に入り:0

処理中です...