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30 夢の中で…

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「瑞季さん、起きてください…瑞季さん、起きてくださーい」

「ん…あれ…ここは…」

「あ、やっと起きましたね。はじめまして、瑞季さん」

「あ、あなたは…ローズマリー?」

「良かった、記憶は消えていないみたいですね」

「それより、私結構あなたの体で好き勝手してるけどこれってダメだった?」

「いえ、寧ろありがたいくらいです」

「え?」

「んー、そうですね…とりあえず、お話しましょうか。
実は私、呪われているんですよね」

「…呪い?そんな設定は…」

「あ、ゲームの設定じゃないですよ?神様から運命の呪いを掛けられたんです」

「運命の、呪い…」

「・全く同じ結末が永遠と繰り返される
・一度死ぬと継承の日に死に戻りする
・この呪いは解けない
これが運命の呪いの効果と言っていました」

「…ああ、なるほど…ローズマリーはあの選択をすれば結末が同じになるとわかっているんだね?でも、身体が勝手に動いて何十回、何百回と死に戻りした…」

「ええ。でも、私は少なからず生き残る努力をした。そうして手に入れたのが…変魂の儀です」

「それって確か…」

「ええ、禁忌ですよ。でも、私にはこれしか無かった…あとから分かりましたが、この儀式は異界の者と魂を入れ替える魔法…そして、その魔法に瑞季さんが選ばれたわけです」

「なるほど…でも、そうとしたらローズマリーは地球で暮らしているの?」

「はい、まあでも…こっちでもかなり大変ですけどね。あ、ちなみにですが…こっちでも魔法は使えるみたいでしたよ?」

「それは…うん、ありがたいけど…」

「あ、そうでした。今日はこの私たちの魔力を結んだ事でできることになったのを説明するんでした。
これにより出来るようになったのは…
1. 何時でも話し合いが出来る
2. 何時でも魂を入れ替えられる
3. お互いが作った物、所有権を持った物のみ相手に送ることが出来る
こんな感じですね。でも、もしかしたら今後も増えていくかもしれません」

「…なら、私はそっちに戻れるの?」

「はい、戻れます。そして、呪いが解除されている今、変わるのも良いですが…どうします?」

「そうだね…ローズマリーはどうしたい?」

「私ですか?私は…出来ればもう少しこっちの世界を堪能したいですけど」

「なら、私ももう少しこっちに居るね。それに、ヴィランと騎士団長がかっこよすぎてさ…」

「ああ…分かります」

「だから、定期的に魂を交換するのはそうだけど、お互いが毎日近況を話しあおっか」

「分かりました、お任せ下さい」

「それじゃまぁ…そっちはまだ高校生だから、取り敢えず勉強がやばいと思うけど…」

「あ、そこら辺は大丈夫です。私、勉強は得意ですし」

「そう?なら良いんだけど…」

「それより、そちらはどのような状況ですか?」

「んーと…皇子と婚約を破棄して帝国に攻められたから帝国滅ぼして騎士団長奴隷にして次は海行くついでに商会開設かな」

「い、色々と進んでいますね…」

「まあ、急いでる所はあるね…取り敢えず、私自身が独立するまではローズマリーが言っていた“運命の呪い”、あれが未だに発動しているみたいだからね」

「え…そ、そんな筈は…」

「ただし、少しだけ変わってきているよ。
まず、全く同じ未来が変わるのは変わらない。
相手の動きも全く同じ。
でも…私は自由に動ける。
これがあるから、私は何とかなってる感じだね」

「…なるほど、他者からの干渉が可能になったという感じですかね?」

「うん。もしかしたら、呪いはこの肉体に掛かっているだけかもしれないしね」

それに…私を召喚したのは、恐らくローズマリーでも創造神でもない。
これは、私の直感での判断だけど…間違いなく、厄災と呼べる存在が黒幕居るはず…

「…それじゃあ、そろそろ起きようかな」
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