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24話
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翌朝。久しぶりの風呂に、気持ちがいくらか晴れた玲奈は、気持ちよく微睡んでいた。
(ん~~っ……ふかふかのベッドで眠れる幸せ……まだ寝てていいかな……)
ごろごろしながらぐずっていると、ふと視線を感じる。
「あっ……お、おはようございます」
「起きたんならさっさと支度」
「ハイッ!」
冷たい声に、玲奈はすぐさま飛び起きる。ヤザンは昨日より、さらに気を張っているようにみえた。
「あの……何かあったんですか」
「お前には関係ない。詮索するな」
「っ……、ごめんなさい」
「あ、いや」
突き放した態度に玲奈が萎縮するのを見て、ヤザンはしまった、と撤回する。
「……悪い、少し……想定外のことがあって、焦っていた。今のは八つ当たりだ」
ヤザンはばつが悪いようで、玲奈の顔を恐る恐るうかがった。ずっと眉間に皺を寄せ、目元をつり上げた顔しか見ていなかった玲奈には、とても新鮮に映った。
(……こういう顔すると、ちょっと幼く見える)
「言い方を間違えた。お前に伝えるかは、俺の判断ではできない」
「もちろん、言えないこともあると分かってます。謝らないでください」
ヤザンは軽く頷いて、「朝食だ」と食事を差し出した。それを無言で食べ進める。二人の距離は、まだまだ縮まらなそうだ。
(今日も一人ご飯か……いや、食べられることに感謝しないと)
そう言い聞かせつつも、玲奈は寂しさが拭えなかった。
朝食後、ヤザンに地図を見せてもらいながら、サディの屋敷の周りを確認する。
「ここから、北西に王城。お前にとって目下、一番の敵の根城だ」
「……はい」
できれば二度と戻りたくない場所である。玲奈は地図上のそれを睨みつけた。
「ここからの抜け道だが、寝台の下は屋敷の西に出る。王城に繋がる大通りの裏だ」
ヤザンは地図を叩く。
「そして絵画の裏は東側へ。この川のほとりに出る」
屋敷の近くには、小川が流れてるようだ。屋敷の辺りだと川は細くなっているが、東に進んでいくと太く長く続いている。
「お風呂の所は」
「あそこは外には出ない。サディ様の私室へ繋がる」
「サディの……」
「今から出口を見に行く。丁度、サディ様がお呼びだ」
「サディが?」
ヤザンの言葉に玲奈は露骨に喜びを顕にする。ヤザンは溜息を吐くも、何も言わずに玲奈を先導する。その後ろを、大人しくついて行く。正面からではヤザンの体にすっぽり収まって、玲奈の姿は見えなかった。サディの書斎に辿り着くと、玲奈は笑顔を浮かべた。
「サディ!」
「おはよ、レナ。よく眠れた?」
「おはよう! バッチリ! お布団ふかふかで気持ちよかった」
「それはよかった」
サディは手に持っていた本をパタンと閉じると、玲奈を手招いた。
「これ、レナにあげる」
「なに?」
手渡されたのは、三、四cmほどのエメラルドグリーンの石だった。
「……きれい」
「魔石だよ」
その魔石は、宝石のように煌めいた。奥へ何十にも層が広がっているように見える。
(トキが持っていた奴と、輝き方が違う)
「今日からレナには、魔術の勉強もしてもらう」
「えっ、私も魔術が使えるの!?」
「その問いに答えるには、まず魔術の基礎を知ってもらおう。導士という存在はもう知ってるだろ?」
「うん」
「魔術を扱う者は皆、魔術師という括りに入れられる。それらは大きく二つに大別される。魔石を使わずに魔術を使えるもの、使えないもの」
「魔石を使わなくてもいいのが、導士」
「そう。導士でない者は、その魔石を媒介しなければ、魔術を発動できない。自分だけで魔力を生成できない。逆に言えば、これさえあれば、誰でも魔術を使えるようになる」
玲奈は手の中の緑に輝く石を見つめた。
(ん~~っ……ふかふかのベッドで眠れる幸せ……まだ寝てていいかな……)
ごろごろしながらぐずっていると、ふと視線を感じる。
「あっ……お、おはようございます」
「起きたんならさっさと支度」
「ハイッ!」
冷たい声に、玲奈はすぐさま飛び起きる。ヤザンは昨日より、さらに気を張っているようにみえた。
「あの……何かあったんですか」
「お前には関係ない。詮索するな」
「っ……、ごめんなさい」
「あ、いや」
突き放した態度に玲奈が萎縮するのを見て、ヤザンはしまった、と撤回する。
「……悪い、少し……想定外のことがあって、焦っていた。今のは八つ当たりだ」
ヤザンはばつが悪いようで、玲奈の顔を恐る恐るうかがった。ずっと眉間に皺を寄せ、目元をつり上げた顔しか見ていなかった玲奈には、とても新鮮に映った。
(……こういう顔すると、ちょっと幼く見える)
「言い方を間違えた。お前に伝えるかは、俺の判断ではできない」
「もちろん、言えないこともあると分かってます。謝らないでください」
ヤザンは軽く頷いて、「朝食だ」と食事を差し出した。それを無言で食べ進める。二人の距離は、まだまだ縮まらなそうだ。
(今日も一人ご飯か……いや、食べられることに感謝しないと)
そう言い聞かせつつも、玲奈は寂しさが拭えなかった。
朝食後、ヤザンに地図を見せてもらいながら、サディの屋敷の周りを確認する。
「ここから、北西に王城。お前にとって目下、一番の敵の根城だ」
「……はい」
できれば二度と戻りたくない場所である。玲奈は地図上のそれを睨みつけた。
「ここからの抜け道だが、寝台の下は屋敷の西に出る。王城に繋がる大通りの裏だ」
ヤザンは地図を叩く。
「そして絵画の裏は東側へ。この川のほとりに出る」
屋敷の近くには、小川が流れてるようだ。屋敷の辺りだと川は細くなっているが、東に進んでいくと太く長く続いている。
「お風呂の所は」
「あそこは外には出ない。サディ様の私室へ繋がる」
「サディの……」
「今から出口を見に行く。丁度、サディ様がお呼びだ」
「サディが?」
ヤザンの言葉に玲奈は露骨に喜びを顕にする。ヤザンは溜息を吐くも、何も言わずに玲奈を先導する。その後ろを、大人しくついて行く。正面からではヤザンの体にすっぽり収まって、玲奈の姿は見えなかった。サディの書斎に辿り着くと、玲奈は笑顔を浮かべた。
「サディ!」
「おはよ、レナ。よく眠れた?」
「おはよう! バッチリ! お布団ふかふかで気持ちよかった」
「それはよかった」
サディは手に持っていた本をパタンと閉じると、玲奈を手招いた。
「これ、レナにあげる」
「なに?」
手渡されたのは、三、四cmほどのエメラルドグリーンの石だった。
「……きれい」
「魔石だよ」
その魔石は、宝石のように煌めいた。奥へ何十にも層が広がっているように見える。
(トキが持っていた奴と、輝き方が違う)
「今日からレナには、魔術の勉強もしてもらう」
「えっ、私も魔術が使えるの!?」
「その問いに答えるには、まず魔術の基礎を知ってもらおう。導士という存在はもう知ってるだろ?」
「うん」
「魔術を扱う者は皆、魔術師という括りに入れられる。それらは大きく二つに大別される。魔石を使わずに魔術を使えるもの、使えないもの」
「魔石を使わなくてもいいのが、導士」
「そう。導士でない者は、その魔石を媒介しなければ、魔術を発動できない。自分だけで魔力を生成できない。逆に言えば、これさえあれば、誰でも魔術を使えるようになる」
玲奈は手の中の緑に輝く石を見つめた。
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