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75話
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「奥に扉がある」
「あそこまで行けってことか」
「さっきの例もある。また小石投げてみるか」
「うん」
トキが投げた小石は、コンコンと跳ねて部屋の真ん中で止まった。
「何もないようね」
「さっさと行こうぜ」
全員が順に部屋の中へ入る。そろそろと歩いていき、中央に差し掛かったところで、リュウの踏んだタイルが、光とともにポーンと音を立てた。
「あ?」
「――っえ!? どうしよう、動けない!」
同時に、少し前を歩いていた玲奈の足は、床に張り付いて上がらなくなってしまった。他の三人は大丈夫なようだ。
「踏んだら発動する魔術か」
「引っ張るぞ」
「うん、あ待って、いたたたた」
リュウが腕を引っ張るも、全く足は動かない。他の二人も近寄ってきて、三人がかりで玲奈を引き剥がしにかかる。
「ぐっ……固……」
「待っ、痛い、痛いってー!」
「力付くは無理だな。解除する方法を探そう」
とりあえず痛みから解放された。三人はまず、リュウの踏んだタイルに向かう。そこはまだチカチカと発光している。リュウがもう一回踏むも、特に変わった様子はない。
「一通り踏んでみる? どれかが対で解除になってるかも」
「分かった」
三方から、それぞれ一つずつタイルを踏んでいくことになったようだ。その間、かみなりは玲奈の肩から降りて、小さい前足でンー、ンーと唸って玲奈を引っ張ろうとしていた。
「たぶん、かみなりの力じゃ無理だよ」
「ンンン……」
かみなりは力を使って疲れたらしく、へたりと頭を垂れた。
「かみなりは動けるんだよね、ふしぎ」
「さっき石を投げたとき、今光ってる所も通ってたはずよ。人間であるとか、一定以上の重さじゃないと魔術の発動や効果の対象にならない可能性はあるわ」
「なるほどなあ」
タイルを踏みしめていく中、今度はトキが踏んだものがポーンと音を上げた。
「お」
「鳴った……けどだめ、動かない」
「……どうすりゃいいんだ」
「あれ!? 私も動けなくなっちゃった!」
「ええっ!」
トキが引っ張りにいくも、足元はセメントで固められたかのように張り付いている。玲奈に続き、ナシュカまで身動きが取れなくなってしまった。
「そんな……」
「踏んでいくだけ被害が増える可能性もあるな」
リュウは一度奥の扉まですたすたと歩き、すっと扉を開けた。
「開くな」
「リュウー、見捨てないでー」
「ねえけど、どうすっか」
「何かしら、手がかりを見つけないと」
男子二人は部屋をくまなく調べ始めた。
「かみなり、何か分かる?」
「ンー?」
「駄目そうだ」
きょとんと首を傾ける姿は可愛らしいが、頼りにはならなそうだった。玲奈は棒立ちになり、動き回るトキとリュウを目で追うしかできなかった。
(足疲れてきた……)
ずっと動かさないでいたから、ジンジンと痺れが来ている。脹脛を叩いて痺れを軽減させようとしていると、けたましいベル音が、ジリリリリ!!! と鳴った。
「うわっ!」
「何の音?」
「また別の引き金が作動したか」
「……オイ、何か臭うぞ」
「え?」
リュウが鼻を鳴らし、入ってきた扉を睨む。
「な、なに……」
「ッチ! 火だ!」
「火ィっ!?」
「火が迫ってくる! 逃げろ! って、ああクソっ!」
リュウが縫い付けられた玲奈とナシュカの足元を見て舌打ちする。
「どうする!」
「私が環術で時間を稼ぐ! 二人は解除方法を探して!」
「分かった!」
(火、火って……どうすれば)
玲奈は慌てふためくしかできない。ナシュカは桃色の光を纏い、手を前方へ突き出す。扉の向こうで、迷宮の地面がゴゴ、と動く音がした。土や岩を操って火を防ごうとしているのだ。
(私にできること……)
微量な環術しか使えないのではまるで役に立たない。足も塞がってる。迷う内に、リュウが解除のヒントになり得そうなものを発見する。
「何か書いてあんぞ!」
「見せろ!」
「……なんだこれ、暗号か?」
トキがすぐさま駆け寄った。リュウが見つけたのは洋紙の切れ端だった。部屋の端にあった棚の引き出しに入っていたようだ。
「上の単語は読めるが……下の記号はなんだ」
「っ、お前ならまた読めんじゃねえか!?」
そう言いつつ、リュウは洋紙を玲奈の下へ持って飛んできた。
「っ、読める」
「本当か!」
そこにあったものは、玲奈に慣れ親しんだものだった。洋紙の上側には、この世界の文字が五つ並んでいる。ただ、意味の通る言葉ではない。下側の、リュウたちが読めないと言ったほう。それは、玲奈が知る世界の、数字の羅列だった。
「あそこまで行けってことか」
「さっきの例もある。また小石投げてみるか」
「うん」
トキが投げた小石は、コンコンと跳ねて部屋の真ん中で止まった。
「何もないようね」
「さっさと行こうぜ」
全員が順に部屋の中へ入る。そろそろと歩いていき、中央に差し掛かったところで、リュウの踏んだタイルが、光とともにポーンと音を立てた。
「あ?」
「――っえ!? どうしよう、動けない!」
同時に、少し前を歩いていた玲奈の足は、床に張り付いて上がらなくなってしまった。他の三人は大丈夫なようだ。
「踏んだら発動する魔術か」
「引っ張るぞ」
「うん、あ待って、いたたたた」
リュウが腕を引っ張るも、全く足は動かない。他の二人も近寄ってきて、三人がかりで玲奈を引き剥がしにかかる。
「ぐっ……固……」
「待っ、痛い、痛いってー!」
「力付くは無理だな。解除する方法を探そう」
とりあえず痛みから解放された。三人はまず、リュウの踏んだタイルに向かう。そこはまだチカチカと発光している。リュウがもう一回踏むも、特に変わった様子はない。
「一通り踏んでみる? どれかが対で解除になってるかも」
「分かった」
三方から、それぞれ一つずつタイルを踏んでいくことになったようだ。その間、かみなりは玲奈の肩から降りて、小さい前足でンー、ンーと唸って玲奈を引っ張ろうとしていた。
「たぶん、かみなりの力じゃ無理だよ」
「ンンン……」
かみなりは力を使って疲れたらしく、へたりと頭を垂れた。
「かみなりは動けるんだよね、ふしぎ」
「さっき石を投げたとき、今光ってる所も通ってたはずよ。人間であるとか、一定以上の重さじゃないと魔術の発動や効果の対象にならない可能性はあるわ」
「なるほどなあ」
タイルを踏みしめていく中、今度はトキが踏んだものがポーンと音を上げた。
「お」
「鳴った……けどだめ、動かない」
「……どうすりゃいいんだ」
「あれ!? 私も動けなくなっちゃった!」
「ええっ!」
トキが引っ張りにいくも、足元はセメントで固められたかのように張り付いている。玲奈に続き、ナシュカまで身動きが取れなくなってしまった。
「そんな……」
「踏んでいくだけ被害が増える可能性もあるな」
リュウは一度奥の扉まですたすたと歩き、すっと扉を開けた。
「開くな」
「リュウー、見捨てないでー」
「ねえけど、どうすっか」
「何かしら、手がかりを見つけないと」
男子二人は部屋をくまなく調べ始めた。
「かみなり、何か分かる?」
「ンー?」
「駄目そうだ」
きょとんと首を傾ける姿は可愛らしいが、頼りにはならなそうだった。玲奈は棒立ちになり、動き回るトキとリュウを目で追うしかできなかった。
(足疲れてきた……)
ずっと動かさないでいたから、ジンジンと痺れが来ている。脹脛を叩いて痺れを軽減させようとしていると、けたましいベル音が、ジリリリリ!!! と鳴った。
「うわっ!」
「何の音?」
「また別の引き金が作動したか」
「……オイ、何か臭うぞ」
「え?」
リュウが鼻を鳴らし、入ってきた扉を睨む。
「な、なに……」
「ッチ! 火だ!」
「火ィっ!?」
「火が迫ってくる! 逃げろ! って、ああクソっ!」
リュウが縫い付けられた玲奈とナシュカの足元を見て舌打ちする。
「どうする!」
「私が環術で時間を稼ぐ! 二人は解除方法を探して!」
「分かった!」
(火、火って……どうすれば)
玲奈は慌てふためくしかできない。ナシュカは桃色の光を纏い、手を前方へ突き出す。扉の向こうで、迷宮の地面がゴゴ、と動く音がした。土や岩を操って火を防ごうとしているのだ。
(私にできること……)
微量な環術しか使えないのではまるで役に立たない。足も塞がってる。迷う内に、リュウが解除のヒントになり得そうなものを発見する。
「何か書いてあんぞ!」
「見せろ!」
「……なんだこれ、暗号か?」
トキがすぐさま駆け寄った。リュウが見つけたのは洋紙の切れ端だった。部屋の端にあった棚の引き出しに入っていたようだ。
「上の単語は読めるが……下の記号はなんだ」
「っ、お前ならまた読めんじゃねえか!?」
そう言いつつ、リュウは洋紙を玲奈の下へ持って飛んできた。
「っ、読める」
「本当か!」
そこにあったものは、玲奈に慣れ親しんだものだった。洋紙の上側には、この世界の文字が五つ並んでいる。ただ、意味の通る言葉ではない。下側の、リュウたちが読めないと言ったほう。それは、玲奈が知る世界の、数字の羅列だった。
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