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82話
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「ッ、リュウ!」
「あ!?」
「良かった……本物のリュウだった~……」
「おま、言葉通じてんな!? ようやくかよ!」
「うう、リュウー……」
「泣きべそかいてんな、後にしろ」
「うんっ……」
まだトキとナシュカは闘っている。鎧の槍を、人型は難なく受け止めていなしている。リュウがあっという間に片付いたのとは対照的だ。
リュウはナシュカの方へ滑るように近づき、人型のナシュカの横っ面を殴打した。
(うわっ……画やば)
偽物とはいえ、女性の姿をしたそれに躊躇いなく手を挙げる光景に、玲奈は身震いした。リュウの拳を受けたナシュカの形をしたものは、呆気なく倒れて、煙に包まれた。先に煙を上げていたリュウだったものを見ると、シルエットはそのままに肌が崩れ落ち、下から粘土質の土が覗いていた。
(やっぱり、あれは魔術で作られたもの……)
「トキ! こいつら魔術は効かないんだ!」
「ヲ窶ヲ��!」
ナシュカの声も聞こえるようになった。そして最後まで戦っていたトキの鎧は槍を投げ捨て、拳を振りげた。人型のトキは、ぐらっと大きく身体が傾く。
(魔術が槍に見えてたんだ)
ナシュカの分析通り、魔術を使わない攻撃の方が効果的なようだ。しかし、トキの力では、敵は直ぐにはダウンせず、再び襲いかかってくる。
「チンタラやってんじゃねえわ!」
リュウは一足飛びにトキたちに近づくと、踵を振り上げ脳天を強襲した。
「ぐあっ……」
「ハッ、雑魚じゃねえか」
「……助かった」
リュウの一撃でトキの形をした物も倒れ、本物のトキが姿を現す。自分が苦戦した敵を呆気なく倒したリュウに、トキは複雑そうな顔をしている。
(かみなりは……)
辺りを見回すと、偽の猫は姿を消していた。
「レナ! ちゃんと言葉伝わってるわね!?」
「伝わってる……ぅ~、良かった」
「とりあえず、一見落着か」
「うん……でも、かみなり、どこ行っちゃったんだろう」
「偽物のかみなりは何もせず消えちゃったのね」
「魔石に戻ってるんじゃねえの」
「うん……、そうだね」
「で、何が起こったんだよ」
リュウが玲奈に問いかけた。
「トンネル潜ると、いきなり三人がいなくなって、鎧姿の三人が現れたんだよ」
「鎧ィ?」
「うん。槍も持ってたよ。皆は自分たちに何も変化がないように見えてたの?」
「見えてたも何も、全く変わってない。お前の方が幻覚を見てたんだよ」
「私たちからすると、玲奈がいきなり外国語で捲し立て出したのよ。それで、逃げ出すから追いかけて」
「気がおかしくなったかと思ったぞ」
「ごめん。そっか、皆は変わってなかったんだ」
「仲間の姿が分からず、言葉が通じなくなる魔術がレナにかかったってことか」
「そして、私たちの写しが出現した」
視線を下ろすと、三体の土人形は既にボロボロに崩れ、人のシルエットも消えていた。
「見た目だけじゃなく、声も口調もそっくりだった」
「迷宮に入ってからの言動を元に作られたんだろうな」
「どうしてあっちが偽物だって分かったの?」
「……あっちのリュウが、私の名前呼んでたから」
「あー、なるほどね~」
やはりナシュカたちも、リュウが人の名前を呼ばないことに気づいてたようだ。リュウは涼しい顔をしている。
「俺が名前呼んでなくて命拾いしたな」
「それは、そうなんだけど……」
「なんだよ?」
じとりとリュウを見つめると、怪訝な顔が返ってきた。
「……何で名前呼んでくれないのかなって」
「……別にいいだろ。通じるんだから」
「駄目じゃないけど……寂しいじゃん」
「あっそ」
(何か理由があるなら、知りたいけど)
それきり、リュウは黙ってしまい、玲奈は大人しく諦めるほかなかった。
居なくなったかみなり。気にかけながらも、先へ進むしか選択肢はない。相変わらず南国じみた青空をバックに、大きな鳥が優雅に翼を広げていた。
「あ!?」
「良かった……本物のリュウだった~……」
「おま、言葉通じてんな!? ようやくかよ!」
「うう、リュウー……」
「泣きべそかいてんな、後にしろ」
「うんっ……」
まだトキとナシュカは闘っている。鎧の槍を、人型は難なく受け止めていなしている。リュウがあっという間に片付いたのとは対照的だ。
リュウはナシュカの方へ滑るように近づき、人型のナシュカの横っ面を殴打した。
(うわっ……画やば)
偽物とはいえ、女性の姿をしたそれに躊躇いなく手を挙げる光景に、玲奈は身震いした。リュウの拳を受けたナシュカの形をしたものは、呆気なく倒れて、煙に包まれた。先に煙を上げていたリュウだったものを見ると、シルエットはそのままに肌が崩れ落ち、下から粘土質の土が覗いていた。
(やっぱり、あれは魔術で作られたもの……)
「トキ! こいつら魔術は効かないんだ!」
「ヲ窶ヲ��!」
ナシュカの声も聞こえるようになった。そして最後まで戦っていたトキの鎧は槍を投げ捨て、拳を振りげた。人型のトキは、ぐらっと大きく身体が傾く。
(魔術が槍に見えてたんだ)
ナシュカの分析通り、魔術を使わない攻撃の方が効果的なようだ。しかし、トキの力では、敵は直ぐにはダウンせず、再び襲いかかってくる。
「チンタラやってんじゃねえわ!」
リュウは一足飛びにトキたちに近づくと、踵を振り上げ脳天を強襲した。
「ぐあっ……」
「ハッ、雑魚じゃねえか」
「……助かった」
リュウの一撃でトキの形をした物も倒れ、本物のトキが姿を現す。自分が苦戦した敵を呆気なく倒したリュウに、トキは複雑そうな顔をしている。
(かみなりは……)
辺りを見回すと、偽の猫は姿を消していた。
「レナ! ちゃんと言葉伝わってるわね!?」
「伝わってる……ぅ~、良かった」
「とりあえず、一見落着か」
「うん……でも、かみなり、どこ行っちゃったんだろう」
「偽物のかみなりは何もせず消えちゃったのね」
「魔石に戻ってるんじゃねえの」
「うん……、そうだね」
「で、何が起こったんだよ」
リュウが玲奈に問いかけた。
「トンネル潜ると、いきなり三人がいなくなって、鎧姿の三人が現れたんだよ」
「鎧ィ?」
「うん。槍も持ってたよ。皆は自分たちに何も変化がないように見えてたの?」
「見えてたも何も、全く変わってない。お前の方が幻覚を見てたんだよ」
「私たちからすると、玲奈がいきなり外国語で捲し立て出したのよ。それで、逃げ出すから追いかけて」
「気がおかしくなったかと思ったぞ」
「ごめん。そっか、皆は変わってなかったんだ」
「仲間の姿が分からず、言葉が通じなくなる魔術がレナにかかったってことか」
「そして、私たちの写しが出現した」
視線を下ろすと、三体の土人形は既にボロボロに崩れ、人のシルエットも消えていた。
「見た目だけじゃなく、声も口調もそっくりだった」
「迷宮に入ってからの言動を元に作られたんだろうな」
「どうしてあっちが偽物だって分かったの?」
「……あっちのリュウが、私の名前呼んでたから」
「あー、なるほどね~」
やはりナシュカたちも、リュウが人の名前を呼ばないことに気づいてたようだ。リュウは涼しい顔をしている。
「俺が名前呼んでなくて命拾いしたな」
「それは、そうなんだけど……」
「なんだよ?」
じとりとリュウを見つめると、怪訝な顔が返ってきた。
「……何で名前呼んでくれないのかなって」
「……別にいいだろ。通じるんだから」
「駄目じゃないけど……寂しいじゃん」
「あっそ」
(何か理由があるなら、知りたいけど)
それきり、リュウは黙ってしまい、玲奈は大人しく諦めるほかなかった。
居なくなったかみなり。気にかけながらも、先へ進むしか選択肢はない。相変わらず南国じみた青空をバックに、大きな鳥が優雅に翼を広げていた。
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