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第14話 新たな公爵の誕生
第14話 新たな公爵の誕生
王の裁きが下された夜。
華やかな夜会の大広間は、先ほどまでの緊張が嘘のように、再び穏やかな空気に包まれていた。しかし、そこに集う貴族たちの視線は、ただ一人の女性へと注がれている。
――セリシア・ルヴァリエ。
父アルドリックの公爵位剥奪に伴い、新たにルヴァリエ公爵家の当主として認められた彼女は、堂々とした佇まいで貴族たちの祝福を受けていた。
「セリシア公爵閣下、この度は誠におめでとうございます」
「今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」
次々と寄せられる挨拶に、セリシアは優雅な微笑で応じる。
「ありがとうございます。皆様のお力添えを賜りながら、ルヴァリエ家の名に恥じぬよう努めてまいりますわ」
その姿は、もはやかつての“婚約者に捨てられた令嬢”ではない。気品と自信に満ちた、新たな公爵そのものであった。
少し離れた場所では、貴族たちが小声で語り合っている。
「見事なお方だ……」
「まさに理想的な公爵だな」
「王太子殿下が手放したことが、いかに愚かだったかがよく分かる」
その言葉は、セリシアの価値を改めて社交界に印象づけていた。
やがて、彼女のもとへカイル皇子が歩み寄る。
「改めて、おめでとうございます、セリシア公爵」
「ありがとうございます、カイル殿下。殿下のお力添えがなければ、ここまで辿り着くことはできませんでした」
セリシアが感謝を述べると、カイルは穏やかに首を振った。
「私は、ただ真実が正しく評価されるよう手助けをしただけです。すべては貴女自身の強さによるものですよ」
その言葉に、セリシアの表情が柔らかくなる。
「それでも、殿下の存在が大きな支えとなりました。心より感謝しております」
カイルは一瞬、真剣な眼差しで彼女を見つめた。
「……もし許されるなら、これからもその支えであり続けたい」
不意に投げかけられた言葉に、セリシアはわずかに目を見開く。
「それは……」
「急ぐつもりはありません。ただ、貴女の隣に立つ資格を得たいのです」
その誠実な申し出に、セリシアの胸は静かに高鳴った。かつての婚約が義務と打算に満ちていたのに対し、カイルの言葉には純粋な敬意と想いが込められている。
「ありがとうございます、カイル殿下。今はまだ、公爵として果たすべき責務がございます。ですが――」
彼女は微笑み、静かに続けた。
「そのお言葉、大切に胸に留めさせていただきますわ」
「それだけで十分です」
二人の間には、穏やかで温かな空気が流れていた。
その後、国王と王妃がセリシアのもとを訪れる。
「セリシア公爵、改めて礼を言おう。そなたの勇気ある行動により、王国は大きな混乱を未然に防ぐことができた」
「ありがたきお言葉にございます、陛下」
王妃もまた優しく微笑む。
「これからは公爵として、多くの責務を担うことになるでしょう。ですが、そなたなら必ずや立派に務めを果たせると信じています」
「そのご期待に応えられるよう、精一杯努めてまいります」
セリシアは深く一礼した。
夜会の終盤、彼女はバルコニーへと足を運ぶ。夜空には無数の星が輝き、静かな風が頬を撫でた。
「すべて、終わりましたね」
その呟きに応えるように、背後からカイルの声が届く。
「ええ。そして、ここからが始まりです」
セリシアは振り返り、穏やかに微笑んだ。
「はい。これからは、自分自身のため、そして領民のために生きていきたいと思います」
「その道を、共に歩める日を楽しみにしています」
二人は並んで夜空を見上げる。
かつて四面楚歌の中で絶望していた少女は、今や多くの人々に祝福され、新たな未来へと踏み出していた。
復讐は終わり、物語は新たな章へ。
セリシア・ルヴァリエ公爵の輝かしい人生が、ここから始まるのであった。
王の裁きが下された夜。
華やかな夜会の大広間は、先ほどまでの緊張が嘘のように、再び穏やかな空気に包まれていた。しかし、そこに集う貴族たちの視線は、ただ一人の女性へと注がれている。
――セリシア・ルヴァリエ。
父アルドリックの公爵位剥奪に伴い、新たにルヴァリエ公爵家の当主として認められた彼女は、堂々とした佇まいで貴族たちの祝福を受けていた。
「セリシア公爵閣下、この度は誠におめでとうございます」
「今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」
次々と寄せられる挨拶に、セリシアは優雅な微笑で応じる。
「ありがとうございます。皆様のお力添えを賜りながら、ルヴァリエ家の名に恥じぬよう努めてまいりますわ」
その姿は、もはやかつての“婚約者に捨てられた令嬢”ではない。気品と自信に満ちた、新たな公爵そのものであった。
少し離れた場所では、貴族たちが小声で語り合っている。
「見事なお方だ……」
「まさに理想的な公爵だな」
「王太子殿下が手放したことが、いかに愚かだったかがよく分かる」
その言葉は、セリシアの価値を改めて社交界に印象づけていた。
やがて、彼女のもとへカイル皇子が歩み寄る。
「改めて、おめでとうございます、セリシア公爵」
「ありがとうございます、カイル殿下。殿下のお力添えがなければ、ここまで辿り着くことはできませんでした」
セリシアが感謝を述べると、カイルは穏やかに首を振った。
「私は、ただ真実が正しく評価されるよう手助けをしただけです。すべては貴女自身の強さによるものですよ」
その言葉に、セリシアの表情が柔らかくなる。
「それでも、殿下の存在が大きな支えとなりました。心より感謝しております」
カイルは一瞬、真剣な眼差しで彼女を見つめた。
「……もし許されるなら、これからもその支えであり続けたい」
不意に投げかけられた言葉に、セリシアはわずかに目を見開く。
「それは……」
「急ぐつもりはありません。ただ、貴女の隣に立つ資格を得たいのです」
その誠実な申し出に、セリシアの胸は静かに高鳴った。かつての婚約が義務と打算に満ちていたのに対し、カイルの言葉には純粋な敬意と想いが込められている。
「ありがとうございます、カイル殿下。今はまだ、公爵として果たすべき責務がございます。ですが――」
彼女は微笑み、静かに続けた。
「そのお言葉、大切に胸に留めさせていただきますわ」
「それだけで十分です」
二人の間には、穏やかで温かな空気が流れていた。
その後、国王と王妃がセリシアのもとを訪れる。
「セリシア公爵、改めて礼を言おう。そなたの勇気ある行動により、王国は大きな混乱を未然に防ぐことができた」
「ありがたきお言葉にございます、陛下」
王妃もまた優しく微笑む。
「これからは公爵として、多くの責務を担うことになるでしょう。ですが、そなたなら必ずや立派に務めを果たせると信じています」
「そのご期待に応えられるよう、精一杯努めてまいります」
セリシアは深く一礼した。
夜会の終盤、彼女はバルコニーへと足を運ぶ。夜空には無数の星が輝き、静かな風が頬を撫でた。
「すべて、終わりましたね」
その呟きに応えるように、背後からカイルの声が届く。
「ええ。そして、ここからが始まりです」
セリシアは振り返り、穏やかに微笑んだ。
「はい。これからは、自分自身のため、そして領民のために生きていきたいと思います」
「その道を、共に歩める日を楽しみにしています」
二人は並んで夜空を見上げる。
かつて四面楚歌の中で絶望していた少女は、今や多くの人々に祝福され、新たな未来へと踏み出していた。
復讐は終わり、物語は新たな章へ。
セリシア・ルヴァリエ公爵の輝かしい人生が、ここから始まるのであった。
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