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風が呼び
草原からはじまる
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ラトスは、もう一度白い柱にふれてみた。
手のひらに、振動が伝わってくる。同時に、風のようなささやき声が、聞こえてきた。
頭の中に、別の光景が映しだされていく。今度は、石窟の中をのぞいているような感覚になった。光っている杭のようなものも見える。
ラトスは、手をはなした。
手のひらから振動は消えて、頭の中に映しだされていた光景も消えていった。
石室からここに来るときも、この洞窟の中の光景が見えていた。やはり、この柱は、移動するための道具なのだろう。柱を使えば、また石室に戻れるのかもしれないと、ラトスは考えた。
石室にいた時に見た光景がここだとすれば、草原のような場所もあるはずだ。ラトスは、辺りを見回してみた。しかし、草原も、洞窟の出口も近くにはないようだった。
気付けば、メリーの姿もない。
理解のおよばないことが立てつづけに起こっていたので、一瞬、ラトスはぞくりとした。しかし、すぐに安心した。少しはなれたところで、足音がしたのだ。メリーだろう。彼は、小さく息を吐きだした。
「あ、ラトスさん。あそこ、あそこに光が見えます!」
メリーの声が、反響して聞こえきた。
この洞窟のどこかに、通路があるのだろう。いつの間にかメリーは、先のほうまで歩いて行ったようだった。
「あれ? ラトスさん?」
「ここにいる」
「まだそこにいたんですか? 早く行きましょうよ!」
「……そうだな」
ラトスは、もう一度小さく息を吐きだした。
今さら呆れても、仕方がない。ラトスは、メリーの声を追いかけるようにして、洞窟を歩きだした。
洞窟内は少し水気があり、すべりやすくなっていた。
比較的平坦で、なめらかな地面だったのは、幸いだった。もし、強い勾配や凸凹があれば、道具なしでは歩けないだろう。
最初は自然の洞窟かと思ったが、やはり普通の場所ではないのかもしれない。
かと言って、人の手によって造られたような感じもしなかった。
どこもかしこも、全体的におかしい。
「メリーさん、あまり先には行かないでくれよ」
「え?」
「こんな異常な場所、俺はすぐに対処していける自信が、まだない」
「確かに不思議ですね!」
能天気な黄色い声で、メリーは楽しそうに言った。
彼女の様子に、ラトスは少し肩を落とした。だが、今はやはりこれくらいのほうがいいのかもしれないと、思いもした。視界と共に、心まで色褪せているラトスにとっては、気をまぎらわせるのに役に立つ。
「まあ……いいか」
「なにがです?」
「いいや。なんでも」
ラトスは、小さく頭をふってメリーに答えた。
歩く先に目を向けると、小さな光が見えていた。外の光だろうか。ラトスは、額に手をかざしてみた。かすかに、風が流れてくるのを感じる。メリーも空気の流れを感じたようだ。明るい声を上げて、光のほうを指差した。
二人は足元に気を配りながら、ゆっくりと歩いて行った。メリーは数度、水気を多くふくんだ地面に足を取られていた。平坦な道なので、足をすべらせても滑落することはないだろう。だが、メリーは何度も大きな悲鳴を上げて、足をふるわせていた。その様子は、道化を見ているようで少し面白いものがあった。
やがて光は大きくなり、外の景色が見えてくる。
「うわあ!」
メリーは、ラトスの隣で大きな声を上げた。能天気な気持ちをおさえられなくなったようだ。彼女は、少しずつ歩く速度を上げていく。
ラトスは速度を落として、彼女が歩いていく先を見た。
洞窟の中からのぞいた外の世界は、緑一色だった。外から、ゆるやかに風が流れこむ。ふわりと草の香りがして、ラトスは息を大きく吸い込んだ。
先を行くメリーは、とうとう走り出していた。何度か足をすべらせながらも、洞窟から飛び出していく。
彼女が飛び出していく先をしばらく見て、ラトスは違和感を感じた。
外から飛び込んでくる緑が、とてもあざやかに見えたのだ。
多くの者は、そこに違和感などないだろう。だが、ラトスは、妹を失ってから、視界から色がほとんど抜け落ちていた。わずかにしか色が識別できないのだ。だが、今ははっきりと、洞窟の外にあざやかな緑が広がっているのが分かった。
「すごいです!」
あまり先に行かないでくれと言ったばかりだったが、メリーは何も覚えていないのだろう。黄色い声が、洞窟の外から聞こえてきた。仕方なく、ラトスも洞窟から出ようと、足早に進む。ラトスをつつむ洞窟の中の冷えた空気が、次第に、外のあたたかな空気に入れ替わっていくのを感じた。
「ラトスさん。遅いですよ!」
「分かったよ」
「見てください! あれ!」
洞窟から顔を出したラトスを、メリーが出迎えた。
彼女は、さっとラトスの隣に立って、大げさに手を広げながら外の景色を見せた。そのしぐさに、ラトスはにがい顔をした。
だが、にがい顔をしたのは一瞬だった。二人の前に現れたその景色を見て、ラトスは大きく目を見開いた。
それは圧倒的だった。
石室から洞窟に来る前に、白い柱が、頭の中に見せた光景が広がっている。事前の知識のおかげで、草原のようなものがあるのだろうということは分かっていた。だが、眼前に広がるそれは、ただの草原ではなかった。今までに見たことがないほど、無限に広がる大草原がそこにあったのだ。
黄色と緑色の光が、混ざりあって、おどっている。
美しい草原にあふれた光と、澄み切った青い空が、ラトスの目を強く刺激した。
これはどういうことなのだろう?
ラトスは、小さく首をかしげた。かしげながら、メリーのほうを横目に見たが、メリーの姿だけは、やはり色褪せて見えた。
色あざやかな草原と、色褪せたままのメリーを、ラトスは何度か見比べた。
色が見えるようになった、というわけではないらしい。あまりに不思議な状況に、ラトスは困惑した。だが、それ以上深く考えるのは止めた。
そして、ラトスは目の前に広がる美しい大草原に、もう一度目を向けた。
草原のここそこには、なだらかな丘がいくつも見えた。はるか先の地平線をながめてみたが、そこには、山も海もないようだった。
風がゆるやかに吹きこんで、草原を波立たせている。まるで、緑色の海の上に立っているようだった。あまりに異様で幻想的な風景に、ラトスは心をふるわせるのだった。
だが、幻想的というだけでは、済ませられないこともあった。
それこそが、メリーが驚いて、最初に指差したものだった。ラトスもそれを見た瞬間、目と口を大きく開けることしかできなかった。
空に、山のように巨大な岩が、浮かび上がっていたのだ。
それはひとつだけではない。
いくらかの間隔をあけて、巨大な岩山が無数に浮かび上がっていた。岩山の大きさや形はそれぞれ異なっていた。どの岩山も、よく見ると、ゆっくりと上下している。目の錯覚で、浮かんでいるように見える、というわけではないようだった。
二人はしばらくの間、その景色をながめていた。
時間が経てば経つほど、言葉が出なくなった。先ほどまでさわいでいたメリーも、静かになっている。現実的ではない光景を見て、目も口も大きく開けたままだ。
ふと、遠くのほうで、いびつな形をした岩山が、ゆっくりと上昇していた。
いびつな岩山は、徐々に高度を上げているようだった。そのうちに、周りの、どの岩山よりも高く昇っていく。上昇の速度はゆるまらず、そのまま空に飛んでいった。
やがて、いびつな岩山は、見えなくなり、空に溶けた。
またしばらくながめていると、別の場所で、小さな丸い岩が草原の中から生まれた。
わずかに大地が盛り上がり、ふわりと浮かび上がる。
盛り上がった大地には、小さな塔があった。よく見ると、浮かんでいるすべての巨大な岩山の真下には、小さな丘があるようだった。そして、どの丘の頂上にも、小さな円錐状の塔が建っていた。
「夢でも見ているのか」
ラトスは小さく声をこぼした。隣にいたメリーも小さくうなずいた。全部夢かもしれないですねと言って、口を開けながら、無数に浮いている巨大な岩山をながめていた。
すると、すぐ近くで、草原をかき分ける音がした。
それは、風が草原をなでる音とは違った。不規則に音をたてながら、ゆっくりと二人に近付いてきていた。メリーが一歩後ろに下がって、草が鳴る方向を見る。ラトスは、腰の短剣に手をかけた。上体を下げながら、草が鳴る方向をにらむ。
手のひらに、振動が伝わってくる。同時に、風のようなささやき声が、聞こえてきた。
頭の中に、別の光景が映しだされていく。今度は、石窟の中をのぞいているような感覚になった。光っている杭のようなものも見える。
ラトスは、手をはなした。
手のひらから振動は消えて、頭の中に映しだされていた光景も消えていった。
石室からここに来るときも、この洞窟の中の光景が見えていた。やはり、この柱は、移動するための道具なのだろう。柱を使えば、また石室に戻れるのかもしれないと、ラトスは考えた。
石室にいた時に見た光景がここだとすれば、草原のような場所もあるはずだ。ラトスは、辺りを見回してみた。しかし、草原も、洞窟の出口も近くにはないようだった。
気付けば、メリーの姿もない。
理解のおよばないことが立てつづけに起こっていたので、一瞬、ラトスはぞくりとした。しかし、すぐに安心した。少しはなれたところで、足音がしたのだ。メリーだろう。彼は、小さく息を吐きだした。
「あ、ラトスさん。あそこ、あそこに光が見えます!」
メリーの声が、反響して聞こえきた。
この洞窟のどこかに、通路があるのだろう。いつの間にかメリーは、先のほうまで歩いて行ったようだった。
「あれ? ラトスさん?」
「ここにいる」
「まだそこにいたんですか? 早く行きましょうよ!」
「……そうだな」
ラトスは、もう一度小さく息を吐きだした。
今さら呆れても、仕方がない。ラトスは、メリーの声を追いかけるようにして、洞窟を歩きだした。
洞窟内は少し水気があり、すべりやすくなっていた。
比較的平坦で、なめらかな地面だったのは、幸いだった。もし、強い勾配や凸凹があれば、道具なしでは歩けないだろう。
最初は自然の洞窟かと思ったが、やはり普通の場所ではないのかもしれない。
かと言って、人の手によって造られたような感じもしなかった。
どこもかしこも、全体的におかしい。
「メリーさん、あまり先には行かないでくれよ」
「え?」
「こんな異常な場所、俺はすぐに対処していける自信が、まだない」
「確かに不思議ですね!」
能天気な黄色い声で、メリーは楽しそうに言った。
彼女の様子に、ラトスは少し肩を落とした。だが、今はやはりこれくらいのほうがいいのかもしれないと、思いもした。視界と共に、心まで色褪せているラトスにとっては、気をまぎらわせるのに役に立つ。
「まあ……いいか」
「なにがです?」
「いいや。なんでも」
ラトスは、小さく頭をふってメリーに答えた。
歩く先に目を向けると、小さな光が見えていた。外の光だろうか。ラトスは、額に手をかざしてみた。かすかに、風が流れてくるのを感じる。メリーも空気の流れを感じたようだ。明るい声を上げて、光のほうを指差した。
二人は足元に気を配りながら、ゆっくりと歩いて行った。メリーは数度、水気を多くふくんだ地面に足を取られていた。平坦な道なので、足をすべらせても滑落することはないだろう。だが、メリーは何度も大きな悲鳴を上げて、足をふるわせていた。その様子は、道化を見ているようで少し面白いものがあった。
やがて光は大きくなり、外の景色が見えてくる。
「うわあ!」
メリーは、ラトスの隣で大きな声を上げた。能天気な気持ちをおさえられなくなったようだ。彼女は、少しずつ歩く速度を上げていく。
ラトスは速度を落として、彼女が歩いていく先を見た。
洞窟の中からのぞいた外の世界は、緑一色だった。外から、ゆるやかに風が流れこむ。ふわりと草の香りがして、ラトスは息を大きく吸い込んだ。
先を行くメリーは、とうとう走り出していた。何度か足をすべらせながらも、洞窟から飛び出していく。
彼女が飛び出していく先をしばらく見て、ラトスは違和感を感じた。
外から飛び込んでくる緑が、とてもあざやかに見えたのだ。
多くの者は、そこに違和感などないだろう。だが、ラトスは、妹を失ってから、視界から色がほとんど抜け落ちていた。わずかにしか色が識別できないのだ。だが、今ははっきりと、洞窟の外にあざやかな緑が広がっているのが分かった。
「すごいです!」
あまり先に行かないでくれと言ったばかりだったが、メリーは何も覚えていないのだろう。黄色い声が、洞窟の外から聞こえてきた。仕方なく、ラトスも洞窟から出ようと、足早に進む。ラトスをつつむ洞窟の中の冷えた空気が、次第に、外のあたたかな空気に入れ替わっていくのを感じた。
「ラトスさん。遅いですよ!」
「分かったよ」
「見てください! あれ!」
洞窟から顔を出したラトスを、メリーが出迎えた。
彼女は、さっとラトスの隣に立って、大げさに手を広げながら外の景色を見せた。そのしぐさに、ラトスはにがい顔をした。
だが、にがい顔をしたのは一瞬だった。二人の前に現れたその景色を見て、ラトスは大きく目を見開いた。
それは圧倒的だった。
石室から洞窟に来る前に、白い柱が、頭の中に見せた光景が広がっている。事前の知識のおかげで、草原のようなものがあるのだろうということは分かっていた。だが、眼前に広がるそれは、ただの草原ではなかった。今までに見たことがないほど、無限に広がる大草原がそこにあったのだ。
黄色と緑色の光が、混ざりあって、おどっている。
美しい草原にあふれた光と、澄み切った青い空が、ラトスの目を強く刺激した。
これはどういうことなのだろう?
ラトスは、小さく首をかしげた。かしげながら、メリーのほうを横目に見たが、メリーの姿だけは、やはり色褪せて見えた。
色あざやかな草原と、色褪せたままのメリーを、ラトスは何度か見比べた。
色が見えるようになった、というわけではないらしい。あまりに不思議な状況に、ラトスは困惑した。だが、それ以上深く考えるのは止めた。
そして、ラトスは目の前に広がる美しい大草原に、もう一度目を向けた。
草原のここそこには、なだらかな丘がいくつも見えた。はるか先の地平線をながめてみたが、そこには、山も海もないようだった。
風がゆるやかに吹きこんで、草原を波立たせている。まるで、緑色の海の上に立っているようだった。あまりに異様で幻想的な風景に、ラトスは心をふるわせるのだった。
だが、幻想的というだけでは、済ませられないこともあった。
それこそが、メリーが驚いて、最初に指差したものだった。ラトスもそれを見た瞬間、目と口を大きく開けることしかできなかった。
空に、山のように巨大な岩が、浮かび上がっていたのだ。
それはひとつだけではない。
いくらかの間隔をあけて、巨大な岩山が無数に浮かび上がっていた。岩山の大きさや形はそれぞれ異なっていた。どの岩山も、よく見ると、ゆっくりと上下している。目の錯覚で、浮かんでいるように見える、というわけではないようだった。
二人はしばらくの間、その景色をながめていた。
時間が経てば経つほど、言葉が出なくなった。先ほどまでさわいでいたメリーも、静かになっている。現実的ではない光景を見て、目も口も大きく開けたままだ。
ふと、遠くのほうで、いびつな形をした岩山が、ゆっくりと上昇していた。
いびつな岩山は、徐々に高度を上げているようだった。そのうちに、周りの、どの岩山よりも高く昇っていく。上昇の速度はゆるまらず、そのまま空に飛んでいった。
やがて、いびつな岩山は、見えなくなり、空に溶けた。
またしばらくながめていると、別の場所で、小さな丸い岩が草原の中から生まれた。
わずかに大地が盛り上がり、ふわりと浮かび上がる。
盛り上がった大地には、小さな塔があった。よく見ると、浮かんでいるすべての巨大な岩山の真下には、小さな丘があるようだった。そして、どの丘の頂上にも、小さな円錐状の塔が建っていた。
「夢でも見ているのか」
ラトスは小さく声をこぼした。隣にいたメリーも小さくうなずいた。全部夢かもしれないですねと言って、口を開けながら、無数に浮いている巨大な岩山をながめていた。
すると、すぐ近くで、草原をかき分ける音がした。
それは、風が草原をなでる音とは違った。不規則に音をたてながら、ゆっくりと二人に近付いてきていた。メリーが一歩後ろに下がって、草が鳴る方向を見る。ラトスは、腰の短剣に手をかけた。上体を下げながら、草が鳴る方向をにらむ。
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