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重い未来
風の警告からはじまる
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黒い石畳の道が、上に折れ曲がっていた。
折れ曲がった先は、さらに曲がっていて、道がひっくり返っていた。
悪夢の回廊は、縦も横も関係なく道が延びている。ひっくり返った道はめずらしくなかった。ところが、ひっくり返った道の先は途切れていて、そこに出入り口となる不思議な泉があるようだった。
泉からは、水がこぼれ落ちてきていた。こぼえ落ちる水は、薄暗い空間の中に溶けるように消えていく。あれでは水の輪ができないのではないかと心配したが、セウラザは問題ないと一蹴した。
「逆さまの道、嫌なんですよね……。落ちそうで……」
泉までたどり着くと、メリーが顔をゆがめて言った。
メリーの長い総髪が、垂れ上がっている。メリーだけではなく、他の三人も髪が逆立っていた。足は石畳の道に吸い付いているのに、重力だけはどこを歩いていても同じ方向なのだ。その場で飛び跳ねたら、道からはなれて宙に落ちてしまうのではという恐怖がよぎる。
「早く、ここを出よう。俺もここには長居したくないからな」
逆立った髪に触れながら、ラトスが言った。
心なしか、頭に血が上っていくような感覚がある。長話したい雰囲気でもなかった。
セウラザが泉に触れる。流れ上がる水が黒く染まり、人の目が見えた。目は、ぎょろりと周囲をうかがうように動き回る。二度目なのでラトスとメリーは驚かなかったが、フィノアは小さく悲鳴をあげた。メリーの背に隠れて、小さくなる。
目は、回廊の番人のものなのだろう。泉の周りに夢魔などがいないのか、見ているのかもしれない。
やがて、流れ上がる水の中から目が消えた。滝のように流れる水に、小さな穴が開いていく。みるみるうちに穴は大きくなり、人がとおれるほどの大きさまで広がった。
「女の子優先! 先に行っていいよー!」
ペルゥが言う。
メリーとフィノアは頭を下げると、大きく飛びあがった。二人の身体は、穴に吸いこまれていく。柱に触れてからの転送もそうだが、水の輪に飛びこむ転送も奇妙なものだと、ラトスは思った。どうにも慣れそうにない。
二人が転送されると、わずかな緊張感が走った。夢魔が現れたわけではない。ラトスの肩の上にいるペルゥが、小さく、冷たい息を吐いたからだ。
「ラトス」
冷たい声で、ペルゥが言う。時々見せる、ペルゥの素の表情と声だ。メリーたちは嫌がるが、ペルゥの素の表情が、ラトスはそれほど嫌ではなかった。
「左手、黒いままだろう?」
「そうだな」
「もう分っていると思うけど、それは夢魔だ」
「……そうだろうな」
ペルゥの言葉に、ラトスはうなずいた。
悲嘆の夢魔の時も、貪食の夢魔の時も、黒い靄が左手に移るのが見えた。その直後に左手から感じた力は、人間の力とは別物だと、ラトスは分かっていた。夢魔だと確信したのは、貪食の夢魔と戦っている時だった。
「分かっているなら、話は早い。それ以上、その夢魔を成長させないことだ」
「成長を抑えられるのか?」
「少しは抑えられる。理性を失わないこと。祓う力を使い切らないことだ」
「無理するなってことか。セウラザも、そう言っていたな」
ラトスがうなずくと、セウラザも静かにうなずいてみせた。自分の分身だというからには、セウラザも気付いていたのだろう。時々ラトスの身体を気にかけているように見えたが、なるほどと、ラトスは合点した。
「出来るだけ、気を付けはするさ」
「そうしてくれると、助かる。夢魔に乗っ取られてしまったら、どうにも出来ないからね」
「分かった」
そう言ってラトスは、もう一度うなずいた。するとペルゥは険しい表情を消して、いつものお気楽な表情にもどった。
「よーし! じゃあ、行こう! メリーが待ってるもんね!」
「お前、メリー大好きだな」
「もちろんさ! 友達だからね!」
先ほどまでの冷たい雰囲気などなかったかのように、ペルゥは明るく振舞った。仕方ないと、ラトスもペルゥの嘘っぽい雰囲気に合わせた。ついでセウラザに苦笑いを向けると、彼は無表情に小さく息を吐いてうなずき返した。
ひるがえったセウラザが、水の輪に飛び込む。
音もなく輪に吸いこまれていくのを見てから、ラトスも泉の淵に足をかけた。
「ペルゥ」
「なにー?」
「お前は、意外といい奴だな」
「え。なに。気持ち悪ーい」
「ははっ、そうだな。気持ち悪いことを言った」
笑って、泉の淵を蹴る。水の輪をくぐると、薄暗い石室に入った。石の床に着地し、手を突く。ひやりと冷たい感触が伝わってきた。やっと悪夢の回廊をぬけだしたのだと、ラトスは安堵の息をこぼした。
周りを見ると、三人が回廊の番人の近くに集まっていた。
ラトスとペルゥも、三人のそばに寄る。セウラザが、回廊の番人に礼をしていた。番人の老人はやはりいつもと同じ老人のようで、石室もまたいつもと同じ場所のようだった。
「本来の目的は果たせなかったが、このまま国王の夢の世界に行くか?」
番人から目線をはずして、セウラザが言った。
確かに本来の目的は、悪夢の回廊の最奥に行くことだった。それは、鉄の扉があって叶わなかった。できるかぎり早く現の世界にもどるのであれば、国王の夢の世界に行く必要はない。ラトスは一瞬考えたが、ふとフィノアの顔を見ると悩むのをやめた。
「せっかく来たんだ。入ってもいいだろう」
「そうか」
「このまま帰っては、王女様が拗ねる」
「……な!」
ラトスの言葉に、フィノアが大声をあげた。無礼者と言いたげな表情だったが、一瞬前までは明らかに困惑した表情だった。ここで帰るとなれば、がっかりでは済まないだろう。下手をすれば、恨まれるかもしれない。
フィノアがその気なのであれば、ラトスも調べておきたいことがあった。妹の死を、国王が把握しているかどうかだ。
王がもし知っていれば、国の意思が働いて宝石を奪い、妹の命まで奪った可能性が高くなる。そうなれば大臣は、依頼の報酬として犯人の名を明かさないかもしれないのだ。ならばここで妹を手にかけた者の名を知っておけば、現の世界にもどった時にやりやすくなる。
「だが、王女さん。覚悟したほうがいい」
「している、つもりです」
「そうか」
フィノアが顔をこわばらせると、ラトスは静かにうなずいた。
国王の夢の世界を見るだけではない。フィノアは、国王である父の考えを知りたいのだ。他人の心をのぞきこんで、意図したものだけを知ることなどできるはずがない。見たくないもの、見られたくないものまで、必ず見ることになる。
もちろんラトスも同様に、見たくないものを見ることになるだろう。フィノアに言いながら、自身の覚悟の再確認をするのかと、ラトスは内心自嘲した。
緊張気味のフィノアの肩を、メリーがそっと支える。
少女はかすかに肩をふるわせたが、メリーの顔を見ると口元をわずかにゆるませた。
石室の隅にある、黒い柱に触れていく。
目の前が暗くなり、全身の感覚が途絶えた。
転送中のこの時間は、やはり慣れなかった。意識だけのこの空間で、他の三人と一匹も近くを飛んでいるのだろうか。気になって、ラトスは辺りを見回してみた。しかし、それらしいものは見当たらなかった。
やがて暗闇からぬける。
革靴の底に、硬い岩の感覚が伝わってきた。肌には、冷たい風が当たった。
「寒いな」
視力が元にもどると、ラトスは辺りを見回した。足元の岩は、妙に汚れていた。岩の隙間には、一本も草花が生えていない。まるで荒れ地のような光景だった。見あげると空は薄暗く、夕暮れのような色を浮かべていた。
「他の岩山が、見当たらないな」
ラトスと同じように辺りを見回すセウラザが、ぽつりと言った。
改めてラトスが空に目を移すと、確かに周囲には、他の岩山が浮いていなかった。不思議に思って岩山の淵まで歩いていく。すると眼下に広がっているはずの草原が、ぼんやりとしか見えなくなっていた。
「離れているのか」
「……そうみたいですね」
追いかけてきたメリーが、ラトスの隣で下をのぞきこみながら言った。
草原に浮いている他の岩山は、いくつか眼下に浮いているようだった。それらもやはり、ずいぶん下のほうをただよっていた。
「これは、まずいんじゃないか」
「まずいねー。この夢の世界の主が、だいぶ弱っているかも」
「陛下が、ですか?」
「まあ、そう」
「そんな……!」
ぼやけた草原を見下ろしてメリーが叫ぶと、ラトスの後ろで小さな足音が鳴った。ラトスの代わりにメリーが振り返る。フィノアだった。少女は呆然とした表情でメリーの隣まで歩いてくると、そっと下をのぞきこんだ。その眼にたたえる光は弱かった。いつの間にか、呆然というよりは無表情な顔になっていた。
「行かないと」
「行ってどうするんだ」
「どうって」
「ここは夢の世界だぞ。何も出来やしない」
フィノアの様子を見て焦りだすメリーに、ラトスが静かに言った。
酷なことだが、実際できることはほとんどないはずだ。弱っているのは現の世界の身体であって、夢の世界ではない。
ラトスの言葉に、メリーはにがい顔をして黙った。危険な状態だと分かっているのに、なにもできないというのは歯痒いことだ。ここがラトスの友人の夢の世界なら、彼女と同じように多少焦ったかもしれない。
「とにかく、あまり長居は出来ないからね。これ、もうすぐ消えるかもしれないし」
ペルゥが足元を指差しながら言った。
主を失えば、この夢の世界も消える。中に侵入したラトスたちも、消滅に巻き込まれるということだろうか。
「もちろん、長居はしない。それでいいな、王女さん」
ラトスは、フィノアに向かって言った。
少女は動かなかった。虚ろな瞳で、ぼんやりと宙を見ていた。つづけてメリーが声をかけても、少女は無表情のままだった。
「大丈夫か」
ラトスは、フィノアの肩を叩いた。
少女はびくりと肩をふるわせて、ラトスの顔をじっと見る。その瞳には力が感じられなかった。人形のように、思考が停止しているかのようだった。
「フィノア?」
「……え、あ……何ですか……?」
メリーの再三の呼びかけに、ようやくフィノアは瞳に光を取りもどした。
呆然としていたことに、気付いてもいなかったようだ。フィノアはメリーの顔を見て、首をかしげた。彼女がもう一度呼びかけると、少女は、なんですか? と、もう一度返事した。
「ここには、あまり長居できないという話だ」
「そうですか。とにかく、父のセウラザに会えれば多くを知ることが出来るかもしれません」
「それは良い。時間を短縮できそうだ」
フィノアの提案に、ラトスがうなずいてみせる。
先ほどとは打って変わって、少女はいつも通りの王女様にもどっていた。なにか思うところがあって、ぼうっとしていたのだろうか。たずねようとしてみると、メリーがラトスの服を軽くつまんで止めた。
なんだと、眉根を寄せてメリーの顔を見ると、彼女は頭を横に振って、フィノアのほうをちらりと見た。少女を見る彼女の顔は、少し苦しそうにも見えた。
メリーは、フィノアの呆然としてしまう理由を知っているようだった。彼女の様子を見るかぎり、あまり触れないで欲しいことなのだろう。ラトスは仕方なく、黙ってメリーにうなずいてみせた。意思疎通に大きな影響がないのなら、過度に気にかける必要はない。
「向こうに転送石がある。急ごう」
遠くからセウラザの声が聞こえた。振り返ると、岩山の高いところからセウラザがこちらを見下ろしていた。ラトスは彼に手を振る。そして、隣にいる二人と一匹に、行こうと、声をかけた。
登っていくために手をかけた岩肌は、風化しているように崩れやすかった。色はくすんでいて、どことなく萎れているようにも見えた。気を抜けば滑落しそうだと、ラトスは皆の最後尾から登っていくことにした。
軽々と登っていくメリーはともかく、フィノアの足取りは重かった。か細い身体は、時々大きくよろめいた。いつでも下で受け止められるようにしようと、ラトスはさらにゆっくりと登っていく。
「王女さん、ゆっくりでいいぞ」
「……はい」
フィノアの声は暗かった。よく見ると、全身がかすかにふるえているようだった。
山登りが苦手なだけで、よろめいているのではない。もうすぐ、父親の夢の世界に入るのだ。臆したとしても、おかしくはないだろう。
なんとか全員登りきると、岩山の一番高いところに白い柱が建っているのが見えた。
勇むように、誰よりも先にペルゥが柱に向かって飛んでいく。追いかけるようにして、メリーが走っていった。一人と一匹を見送ったセウラザが、少し遅れて歩くラトスとフィノアに振り返った。大丈夫かと声をかけたが、フィノアは小さくうなずくだけだった。
「とりあえず、ボクはここで待つよ。いつも通り」
柱の前に四人がそろうと、ペルゥが小さな前足を組みながら言った。
「悪いな」
「岩山の様子が変になったら、すぐに連絡するよ。そのときはすぐに脱出してね」
「わかった」
ラトスがうなずくと、ペルゥはくるくると回りながら飛びあがった。そしてメリーとフィノアの前に、ふわりと降りたつ。またワイワイと騒ぐのかと思ったが、ペルゥの瞳は静かだった。
「メリー。フィノア。いいかい? ここから先、出来るだけ魔法を使ってはダメだ」
「どうしてですか?」
「……個の夢の世界は、別属性を異物と判断する。覚えているかい?」
「い、一応」
真面目なペルゥに気圧されたのか、メリーは戸惑いながらうなずいた。
うなずいた彼女を見て、ペルゥもうなずくと、ふわりとフィノアの前へ移動した。
「ここの夢の世界は弱っている。生きながらえるために、異物を反射的に排除するはずだ」
「……はい」
「魔法を使えば、君たちはすぐに追い出される。それどころか」
「それどころか?」
「排除するために力を使い切って、夢の世界が崩れるかもしれない」
淡々と話すペルゥの言葉に、フィノアの身体はびくりとふるえた。
個の夢の世界が崩れるということは、死ぬということだろう。できることなら救いたい父親を殺してしまっては、後悔しきれない。脅すつもりはなかっただろうが、強い牽制になったとラトスは思った。
「……わかりました」
フィノアが静かに言う。メリーも黙ってうなずいた。
二人を見て、ペルゥは寄り添うように近付く。フィノアの頭を軽くなでると、頑張ってねと小さくこぼした。
「じゃあ、行ってくる」
「気を付けてねー」
ラトスの言葉に、ペルゥが明るい声で返事した。
白い柱に向き直り、ラトスは手をかざした。ならうように、三人も柱に手をかざす。
指先が、柱の表面に触れる。風のささやき声が、指先からひびいた。同時に、怒鳴るような声も聞こえた。
今までにない、鋭い振動が指先から駆けあがってくる。
隣を見ると、メリーとフィノアの顔が引きつっていた。セウラザもかすかに目をほそめていた。
まるで警告のようだ。
風の怒鳴り声を聞きながら、全身が光につつまれていった。
折れ曲がった先は、さらに曲がっていて、道がひっくり返っていた。
悪夢の回廊は、縦も横も関係なく道が延びている。ひっくり返った道はめずらしくなかった。ところが、ひっくり返った道の先は途切れていて、そこに出入り口となる不思議な泉があるようだった。
泉からは、水がこぼれ落ちてきていた。こぼえ落ちる水は、薄暗い空間の中に溶けるように消えていく。あれでは水の輪ができないのではないかと心配したが、セウラザは問題ないと一蹴した。
「逆さまの道、嫌なんですよね……。落ちそうで……」
泉までたどり着くと、メリーが顔をゆがめて言った。
メリーの長い総髪が、垂れ上がっている。メリーだけではなく、他の三人も髪が逆立っていた。足は石畳の道に吸い付いているのに、重力だけはどこを歩いていても同じ方向なのだ。その場で飛び跳ねたら、道からはなれて宙に落ちてしまうのではという恐怖がよぎる。
「早く、ここを出よう。俺もここには長居したくないからな」
逆立った髪に触れながら、ラトスが言った。
心なしか、頭に血が上っていくような感覚がある。長話したい雰囲気でもなかった。
セウラザが泉に触れる。流れ上がる水が黒く染まり、人の目が見えた。目は、ぎょろりと周囲をうかがうように動き回る。二度目なのでラトスとメリーは驚かなかったが、フィノアは小さく悲鳴をあげた。メリーの背に隠れて、小さくなる。
目は、回廊の番人のものなのだろう。泉の周りに夢魔などがいないのか、見ているのかもしれない。
やがて、流れ上がる水の中から目が消えた。滝のように流れる水に、小さな穴が開いていく。みるみるうちに穴は大きくなり、人がとおれるほどの大きさまで広がった。
「女の子優先! 先に行っていいよー!」
ペルゥが言う。
メリーとフィノアは頭を下げると、大きく飛びあがった。二人の身体は、穴に吸いこまれていく。柱に触れてからの転送もそうだが、水の輪に飛びこむ転送も奇妙なものだと、ラトスは思った。どうにも慣れそうにない。
二人が転送されると、わずかな緊張感が走った。夢魔が現れたわけではない。ラトスの肩の上にいるペルゥが、小さく、冷たい息を吐いたからだ。
「ラトス」
冷たい声で、ペルゥが言う。時々見せる、ペルゥの素の表情と声だ。メリーたちは嫌がるが、ペルゥの素の表情が、ラトスはそれほど嫌ではなかった。
「左手、黒いままだろう?」
「そうだな」
「もう分っていると思うけど、それは夢魔だ」
「……そうだろうな」
ペルゥの言葉に、ラトスはうなずいた。
悲嘆の夢魔の時も、貪食の夢魔の時も、黒い靄が左手に移るのが見えた。その直後に左手から感じた力は、人間の力とは別物だと、ラトスは分かっていた。夢魔だと確信したのは、貪食の夢魔と戦っている時だった。
「分かっているなら、話は早い。それ以上、その夢魔を成長させないことだ」
「成長を抑えられるのか?」
「少しは抑えられる。理性を失わないこと。祓う力を使い切らないことだ」
「無理するなってことか。セウラザも、そう言っていたな」
ラトスがうなずくと、セウラザも静かにうなずいてみせた。自分の分身だというからには、セウラザも気付いていたのだろう。時々ラトスの身体を気にかけているように見えたが、なるほどと、ラトスは合点した。
「出来るだけ、気を付けはするさ」
「そうしてくれると、助かる。夢魔に乗っ取られてしまったら、どうにも出来ないからね」
「分かった」
そう言ってラトスは、もう一度うなずいた。するとペルゥは険しい表情を消して、いつものお気楽な表情にもどった。
「よーし! じゃあ、行こう! メリーが待ってるもんね!」
「お前、メリー大好きだな」
「もちろんさ! 友達だからね!」
先ほどまでの冷たい雰囲気などなかったかのように、ペルゥは明るく振舞った。仕方ないと、ラトスもペルゥの嘘っぽい雰囲気に合わせた。ついでセウラザに苦笑いを向けると、彼は無表情に小さく息を吐いてうなずき返した。
ひるがえったセウラザが、水の輪に飛び込む。
音もなく輪に吸いこまれていくのを見てから、ラトスも泉の淵に足をかけた。
「ペルゥ」
「なにー?」
「お前は、意外といい奴だな」
「え。なに。気持ち悪ーい」
「ははっ、そうだな。気持ち悪いことを言った」
笑って、泉の淵を蹴る。水の輪をくぐると、薄暗い石室に入った。石の床に着地し、手を突く。ひやりと冷たい感触が伝わってきた。やっと悪夢の回廊をぬけだしたのだと、ラトスは安堵の息をこぼした。
周りを見ると、三人が回廊の番人の近くに集まっていた。
ラトスとペルゥも、三人のそばに寄る。セウラザが、回廊の番人に礼をしていた。番人の老人はやはりいつもと同じ老人のようで、石室もまたいつもと同じ場所のようだった。
「本来の目的は果たせなかったが、このまま国王の夢の世界に行くか?」
番人から目線をはずして、セウラザが言った。
確かに本来の目的は、悪夢の回廊の最奥に行くことだった。それは、鉄の扉があって叶わなかった。できるかぎり早く現の世界にもどるのであれば、国王の夢の世界に行く必要はない。ラトスは一瞬考えたが、ふとフィノアの顔を見ると悩むのをやめた。
「せっかく来たんだ。入ってもいいだろう」
「そうか」
「このまま帰っては、王女様が拗ねる」
「……な!」
ラトスの言葉に、フィノアが大声をあげた。無礼者と言いたげな表情だったが、一瞬前までは明らかに困惑した表情だった。ここで帰るとなれば、がっかりでは済まないだろう。下手をすれば、恨まれるかもしれない。
フィノアがその気なのであれば、ラトスも調べておきたいことがあった。妹の死を、国王が把握しているかどうかだ。
王がもし知っていれば、国の意思が働いて宝石を奪い、妹の命まで奪った可能性が高くなる。そうなれば大臣は、依頼の報酬として犯人の名を明かさないかもしれないのだ。ならばここで妹を手にかけた者の名を知っておけば、現の世界にもどった時にやりやすくなる。
「だが、王女さん。覚悟したほうがいい」
「している、つもりです」
「そうか」
フィノアが顔をこわばらせると、ラトスは静かにうなずいた。
国王の夢の世界を見るだけではない。フィノアは、国王である父の考えを知りたいのだ。他人の心をのぞきこんで、意図したものだけを知ることなどできるはずがない。見たくないもの、見られたくないものまで、必ず見ることになる。
もちろんラトスも同様に、見たくないものを見ることになるだろう。フィノアに言いながら、自身の覚悟の再確認をするのかと、ラトスは内心自嘲した。
緊張気味のフィノアの肩を、メリーがそっと支える。
少女はかすかに肩をふるわせたが、メリーの顔を見ると口元をわずかにゆるませた。
石室の隅にある、黒い柱に触れていく。
目の前が暗くなり、全身の感覚が途絶えた。
転送中のこの時間は、やはり慣れなかった。意識だけのこの空間で、他の三人と一匹も近くを飛んでいるのだろうか。気になって、ラトスは辺りを見回してみた。しかし、それらしいものは見当たらなかった。
やがて暗闇からぬける。
革靴の底に、硬い岩の感覚が伝わってきた。肌には、冷たい風が当たった。
「寒いな」
視力が元にもどると、ラトスは辺りを見回した。足元の岩は、妙に汚れていた。岩の隙間には、一本も草花が生えていない。まるで荒れ地のような光景だった。見あげると空は薄暗く、夕暮れのような色を浮かべていた。
「他の岩山が、見当たらないな」
ラトスと同じように辺りを見回すセウラザが、ぽつりと言った。
改めてラトスが空に目を移すと、確かに周囲には、他の岩山が浮いていなかった。不思議に思って岩山の淵まで歩いていく。すると眼下に広がっているはずの草原が、ぼんやりとしか見えなくなっていた。
「離れているのか」
「……そうみたいですね」
追いかけてきたメリーが、ラトスの隣で下をのぞきこみながら言った。
草原に浮いている他の岩山は、いくつか眼下に浮いているようだった。それらもやはり、ずいぶん下のほうをただよっていた。
「これは、まずいんじゃないか」
「まずいねー。この夢の世界の主が、だいぶ弱っているかも」
「陛下が、ですか?」
「まあ、そう」
「そんな……!」
ぼやけた草原を見下ろしてメリーが叫ぶと、ラトスの後ろで小さな足音が鳴った。ラトスの代わりにメリーが振り返る。フィノアだった。少女は呆然とした表情でメリーの隣まで歩いてくると、そっと下をのぞきこんだ。その眼にたたえる光は弱かった。いつの間にか、呆然というよりは無表情な顔になっていた。
「行かないと」
「行ってどうするんだ」
「どうって」
「ここは夢の世界だぞ。何も出来やしない」
フィノアの様子を見て焦りだすメリーに、ラトスが静かに言った。
酷なことだが、実際できることはほとんどないはずだ。弱っているのは現の世界の身体であって、夢の世界ではない。
ラトスの言葉に、メリーはにがい顔をして黙った。危険な状態だと分かっているのに、なにもできないというのは歯痒いことだ。ここがラトスの友人の夢の世界なら、彼女と同じように多少焦ったかもしれない。
「とにかく、あまり長居は出来ないからね。これ、もうすぐ消えるかもしれないし」
ペルゥが足元を指差しながら言った。
主を失えば、この夢の世界も消える。中に侵入したラトスたちも、消滅に巻き込まれるということだろうか。
「もちろん、長居はしない。それでいいな、王女さん」
ラトスは、フィノアに向かって言った。
少女は動かなかった。虚ろな瞳で、ぼんやりと宙を見ていた。つづけてメリーが声をかけても、少女は無表情のままだった。
「大丈夫か」
ラトスは、フィノアの肩を叩いた。
少女はびくりと肩をふるわせて、ラトスの顔をじっと見る。その瞳には力が感じられなかった。人形のように、思考が停止しているかのようだった。
「フィノア?」
「……え、あ……何ですか……?」
メリーの再三の呼びかけに、ようやくフィノアは瞳に光を取りもどした。
呆然としていたことに、気付いてもいなかったようだ。フィノアはメリーの顔を見て、首をかしげた。彼女がもう一度呼びかけると、少女は、なんですか? と、もう一度返事した。
「ここには、あまり長居できないという話だ」
「そうですか。とにかく、父のセウラザに会えれば多くを知ることが出来るかもしれません」
「それは良い。時間を短縮できそうだ」
フィノアの提案に、ラトスがうなずいてみせる。
先ほどとは打って変わって、少女はいつも通りの王女様にもどっていた。なにか思うところがあって、ぼうっとしていたのだろうか。たずねようとしてみると、メリーがラトスの服を軽くつまんで止めた。
なんだと、眉根を寄せてメリーの顔を見ると、彼女は頭を横に振って、フィノアのほうをちらりと見た。少女を見る彼女の顔は、少し苦しそうにも見えた。
メリーは、フィノアの呆然としてしまう理由を知っているようだった。彼女の様子を見るかぎり、あまり触れないで欲しいことなのだろう。ラトスは仕方なく、黙ってメリーにうなずいてみせた。意思疎通に大きな影響がないのなら、過度に気にかける必要はない。
「向こうに転送石がある。急ごう」
遠くからセウラザの声が聞こえた。振り返ると、岩山の高いところからセウラザがこちらを見下ろしていた。ラトスは彼に手を振る。そして、隣にいる二人と一匹に、行こうと、声をかけた。
登っていくために手をかけた岩肌は、風化しているように崩れやすかった。色はくすんでいて、どことなく萎れているようにも見えた。気を抜けば滑落しそうだと、ラトスは皆の最後尾から登っていくことにした。
軽々と登っていくメリーはともかく、フィノアの足取りは重かった。か細い身体は、時々大きくよろめいた。いつでも下で受け止められるようにしようと、ラトスはさらにゆっくりと登っていく。
「王女さん、ゆっくりでいいぞ」
「……はい」
フィノアの声は暗かった。よく見ると、全身がかすかにふるえているようだった。
山登りが苦手なだけで、よろめいているのではない。もうすぐ、父親の夢の世界に入るのだ。臆したとしても、おかしくはないだろう。
なんとか全員登りきると、岩山の一番高いところに白い柱が建っているのが見えた。
勇むように、誰よりも先にペルゥが柱に向かって飛んでいく。追いかけるようにして、メリーが走っていった。一人と一匹を見送ったセウラザが、少し遅れて歩くラトスとフィノアに振り返った。大丈夫かと声をかけたが、フィノアは小さくうなずくだけだった。
「とりあえず、ボクはここで待つよ。いつも通り」
柱の前に四人がそろうと、ペルゥが小さな前足を組みながら言った。
「悪いな」
「岩山の様子が変になったら、すぐに連絡するよ。そのときはすぐに脱出してね」
「わかった」
ラトスがうなずくと、ペルゥはくるくると回りながら飛びあがった。そしてメリーとフィノアの前に、ふわりと降りたつ。またワイワイと騒ぐのかと思ったが、ペルゥの瞳は静かだった。
「メリー。フィノア。いいかい? ここから先、出来るだけ魔法を使ってはダメだ」
「どうしてですか?」
「……個の夢の世界は、別属性を異物と判断する。覚えているかい?」
「い、一応」
真面目なペルゥに気圧されたのか、メリーは戸惑いながらうなずいた。
うなずいた彼女を見て、ペルゥもうなずくと、ふわりとフィノアの前へ移動した。
「ここの夢の世界は弱っている。生きながらえるために、異物を反射的に排除するはずだ」
「……はい」
「魔法を使えば、君たちはすぐに追い出される。それどころか」
「それどころか?」
「排除するために力を使い切って、夢の世界が崩れるかもしれない」
淡々と話すペルゥの言葉に、フィノアの身体はびくりとふるえた。
個の夢の世界が崩れるということは、死ぬということだろう。できることなら救いたい父親を殺してしまっては、後悔しきれない。脅すつもりはなかっただろうが、強い牽制になったとラトスは思った。
「……わかりました」
フィノアが静かに言う。メリーも黙ってうなずいた。
二人を見て、ペルゥは寄り添うように近付く。フィノアの頭を軽くなでると、頑張ってねと小さくこぼした。
「じゃあ、行ってくる」
「気を付けてねー」
ラトスの言葉に、ペルゥが明るい声で返事した。
白い柱に向き直り、ラトスは手をかざした。ならうように、三人も柱に手をかざす。
指先が、柱の表面に触れる。風のささやき声が、指先からひびいた。同時に、怒鳴るような声も聞こえた。
今までにない、鋭い振動が指先から駆けあがってくる。
隣を見ると、メリーとフィノアの顔が引きつっていた。セウラザもかすかに目をほそめていた。
まるで警告のようだ。
風の怒鳴り声を聞きながら、全身が光につつまれていった。
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国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
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