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しおりを挟む翌日、頭痛と吐き気が治った私は、鏡に向かいました。見事に肌艶の無いガリガリの女の子が幽霊のような顔色で立っています。
17歳まであと10年。私はゲーム開始に向けて、準備をすることにしました。
私が住んでいる公爵領にある公宮には、生前お母様が使っていた研究施設があります。
それがこの離宮なんですよね。
お母様の遺品共々、私を閉じ込めるにはもってこいだと父は思ったんでしょうか? 私には好都合ですけどね。確かに植物に興味がない人達にとってはガラクタ同然でしょうから。
まずは、私は味方を増やすことにしましょうか。私の世話をしてくれるのは、2人(2本)のゴーレムメイドという前世で言うところのお世話ロボットにあたる者達がいます。数え方は1本2本と数えます。
このゴーレムは、お母様が発明した者達で、水さえあれば半永久的に動きます。スキル『植物魔法』持ちのメンテナンスは定期的に必要です。受け答えも出来るので、AIに近い機能もありそうです。研究しがいがありますね。
離れの宮に閉じ込められては居ますが、私の事は完全にゴーレム任せで、生存確認の方法としては、食事を残さず食べているかで判断されているようです。前世の世界でしたら、育児放棄と虐待の域に達していますね。
公爵宮邸の方にもゴーレム達が居ますが、スキル『植物魔法』を持っているのは王族のみなので、そのうちゴーレムに不具合が生じてしまうでしょうね。
という事で、この宮から出なければ私は自由に動いても良いのです。
手始めにお母様の書斎に行きまして、お母様の書記を片っ端から読んでいきます。
ほとんどが植物図鑑のようで、お母様がお持ちだったスキル『シード創造』は既存の植物の種を創造できる素晴らしいスキルだったことがうかがえます。ゲーム内の図鑑と書かれ方がそっくりですね。
植物と種の絵柄に、特徴や種の柔らかさと重さまで掛かれています。私は無意識にお母様の細かい詳細を読みながら、想像の中で、このくらいの大きさ、このくらいの感触と重みの種かなと楽しんでいると、いつの間にかなにも持っていなかったはずの右手の掌の中に植物の種が存在していました。
ステータスを確認すると、スキル『シード創造』が加わっています。これが主人公特性というやつなのでしょうか。驚きです。
お母様の書物を読む毎日を過ごしていると、どんどんステータスにスキルが増えて行きました。『植物知識』に『シード改良』
『シード継承』という、お母様でも持って居なかったスキルも手に入りました。
もちろん実験も試しつつですが、公宮邸にいる父とその愛人と子供に見つからないようにやっています。ちなみにゴーレムメイドについても解ったことがいくつかあるので自分なりに別紙にまとめてみました。
ゴーレムメイドはお母様が造り上げた最高傑作の発明植物だったんです。
元になった種は水を求めて動くウッドゴーレムという魔樹です。トゲの無いサボテンに似ています。こちらの種を『シード改良』にて改良したのでしょうか。
見た目を人形のメイドさんにして、動きに意味を持たせたようですが、改良のみでここまで出来るのでしょうか? 謎です。
見た目は前世のビスクドール程に美しい見た目をしています。人形愛好家さんにはたまらないでしょうね。
公宮邸で働くゴーレムメイドであれば、命令権の優先順位順に動きを設定してあり、自力で学習できる機能も搭載されております。
植物も生き物ですので、自力で学習させる能力を与える事が出来たと言うことでしょうね。うーん。私ではここまで精密な行動を起こさせるように改良は出来そうもありません。お母様は天才だったのですね。
次に命令権ですが、これは王族の血を持つ者で『植物魔法』と『シード改良』を持っている者であれば、命令の上乗せも出来るらしいので、私は早速、私のお世話をしている2人のゴーレムメイドの額に光る種に触れました。
目の前に出てきた半透明のコンソールに驚きです。私への監視報告が生存確認となっていたのでそのままにして、離宮の外へ私が出た場合の父への報告を消しました。他にも、私が出された食事以外のものを口にした場合の報告というのも在りました。これは拾い食いや毒などを警戒しての報告でしょうか? この命令を逆手にとって逆に毒を盛られかねませんね。当然削除です。
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