14 / 155
第一章
1の14 不思議な事態
しおりを挟む
「スメルト、今、ブルーフィンの第二王子殿下を『イケメンでカッコイイ』って言ったよね?
何で?」
「はぁ!?
何でって、イケメンでカッコイイじゃない!
アンタ、頭と顔とスタイルと性格だけじゃなくて目も悪いワケ!?」
「殿下はあなたの美意識から完全にアウトよね?
10年以上も私にガアガア言い続けて来た美醜の判断基準はどうしたの?
金色メッシュが入った美しいオレンジ色の真っ直ぐな髪!
チョコレート色の瞳!
男女ともにガッシリとした骨太の体躯!
金色の輝くような美しい肌!
それが普通で美しくて、そこから外れていれば『醜い』んでしょう?
殿下は筋肉質の様だけど、ガッシリ系じゃなくてスラリとした長身。
アイスグリーンの髪にミントグリーンの瞳。
肌は私と同じ様な白。
――何で?
私はバケモノなのに、何で殿下はイケメンてなるの?」
「そッ、ソレはッ!
え~と、え~と、え?
だって‥‥ブツブツ
い、いいのよ!
男はいいのッ!
だってカッコイイって思うもん!」
「うわー、最低‥‥」
こんな場だけど思った事を思ったまま言ってしまった。
と、近付いて来ていたスメルトの護衛騎士が憤怒の表情で私を睨み剣に手をかけ、
「貴様ッ!
我が姫を侮辱するとは許せん!」
そう叫んで剣を抜――
ザザザッ!
ビュビュビュッ!
――抜けなかった。
6人のブルーフィンの騎士達が目にもとまらぬ速さで駆け寄り剣を抜き、
スメルトの護衛騎士を取り囲んでビュビュビュッ!とその刃を向けたのだ。
何という、不思議な。
自国の騎士から剣を抜かれそうになり。
他国の騎士に守られている。
「ぐっ、ぐぅっ!?」
剣に手を掛けたまま抜く事の出来ないスメルトの護衛騎士。
明らかに自分とは次元の違う鍛え上げられた真の騎士6人にグルリと囲まれヒタリと刃を向けられて身動きが出来ない様子。
‥‥軽く言っとくか。
「あら。
スメルトご自慢の護衛騎士は案外なのね。
威勢がいいのは武器を持たない子供に対してだけだなんて」
「ぐっ!
な、何をッ
バケモノのクセに‥‥
《ザッ!》
ヒッ!?」
私を睨みつけながら低い声で怒鳴るスメルトの護衛騎士が高音の悲鳴を上げる。
ブルーフィンの騎士達がさらに一歩詰め寄ると同時に刃もその分近付いたのだ。
ほんの少しの身じろぎで流血必至の位置まで。
「‥あ‥‥あ‥‥」
【我が想い人シレーヌ姫に危害を加える者は即刻首を刎ねる。
暴言も同様だ。
王家の騎士であろうが、王家そのものであろうが、だ。
例外は無い。
心せよ!】
何で?」
「はぁ!?
何でって、イケメンでカッコイイじゃない!
アンタ、頭と顔とスタイルと性格だけじゃなくて目も悪いワケ!?」
「殿下はあなたの美意識から完全にアウトよね?
10年以上も私にガアガア言い続けて来た美醜の判断基準はどうしたの?
金色メッシュが入った美しいオレンジ色の真っ直ぐな髪!
チョコレート色の瞳!
男女ともにガッシリとした骨太の体躯!
金色の輝くような美しい肌!
それが普通で美しくて、そこから外れていれば『醜い』んでしょう?
殿下は筋肉質の様だけど、ガッシリ系じゃなくてスラリとした長身。
アイスグリーンの髪にミントグリーンの瞳。
肌は私と同じ様な白。
――何で?
私はバケモノなのに、何で殿下はイケメンてなるの?」
「そッ、ソレはッ!
え~と、え~と、え?
だって‥‥ブツブツ
い、いいのよ!
男はいいのッ!
だってカッコイイって思うもん!」
「うわー、最低‥‥」
こんな場だけど思った事を思ったまま言ってしまった。
と、近付いて来ていたスメルトの護衛騎士が憤怒の表情で私を睨み剣に手をかけ、
「貴様ッ!
我が姫を侮辱するとは許せん!」
そう叫んで剣を抜――
ザザザッ!
ビュビュビュッ!
――抜けなかった。
6人のブルーフィンの騎士達が目にもとまらぬ速さで駆け寄り剣を抜き、
スメルトの護衛騎士を取り囲んでビュビュビュッ!とその刃を向けたのだ。
何という、不思議な。
自国の騎士から剣を抜かれそうになり。
他国の騎士に守られている。
「ぐっ、ぐぅっ!?」
剣に手を掛けたまま抜く事の出来ないスメルトの護衛騎士。
明らかに自分とは次元の違う鍛え上げられた真の騎士6人にグルリと囲まれヒタリと刃を向けられて身動きが出来ない様子。
‥‥軽く言っとくか。
「あら。
スメルトご自慢の護衛騎士は案外なのね。
威勢がいいのは武器を持たない子供に対してだけだなんて」
「ぐっ!
な、何をッ
バケモノのクセに‥‥
《ザッ!》
ヒッ!?」
私を睨みつけながら低い声で怒鳴るスメルトの護衛騎士が高音の悲鳴を上げる。
ブルーフィンの騎士達がさらに一歩詰め寄ると同時に刃もその分近付いたのだ。
ほんの少しの身じろぎで流血必至の位置まで。
「‥あ‥‥あ‥‥」
【我が想い人シレーヌ姫に危害を加える者は即刻首を刎ねる。
暴言も同様だ。
王家の騎士であろうが、王家そのものであろうが、だ。
例外は無い。
心せよ!】
1
あなたにおすすめの小説
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される
柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。
だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。
聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。
胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。
「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」
けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」
噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情――
一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる