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第一章

1の15 島を出る決意

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私(シレーヌ)に危害(暴言含む)を加える者は誰であろうが即刻首を刎ねる――


ドスの利いた低い声でブルーフィンの第二王子が宣言した内容。

うん、この人本気でやりそう。

いや、絶対やるんだろうな。

彼の周りの人達の表情を見ればわかる。


冗談が通じない困ったタイプ‥‥ハッ!

スメルトがウットリネットリした目でブルーフィンの第二王子を見詰めている!?


本当に相手が男なら、あれ程主張し続けて来た色の違いが気にならないんだ‥‥

心底気持ち悪い女‥‥


気持ち悪いと言えば。

家族と思っていた人たちは私を家族とは思っていなかった。

国王陛下や王太子殿下が私を愛人にしようとしていたなんて‥‥

き、気持ち悪すぎる!

『嫁ぎ先が無くて可哀想だから』とか、『亡くなった王妃陛下の為に』とか、それで何で私を愛人にしようと思うのか全く理解できない!

8才ぐらいまでは二人とも可愛がってくれていた記憶がある。

でも、お母様が珍しく困った顔で『二人ともシレーヌに興味を持ちすぎるから』と言って、もう何年も二人とはあまり交流が無かった。

それでも、二人ともチョコチョコとプレゼントを届けてくれたりしてたから、父や兄として慕っていたのに‥‥


終わった‥‥


スメルトの私に対する憎しみも止まるところを知らない。

お母様が亡くなった途端、私を離宮へ追いやって、それまで私が使っていた部屋を使い、ドレスも装飾品も全て奪った。

そして声高に私を罵り続けた。

そんな中でも私の侍女たちは私を守り続けてくれて来た。

私が離宮で不自由なく暮らせていたのは、彼女達のおかげ。


でも‥‥


王妃陛下の後ろ盾を失くした私に味方すればどんどん侍女たちの立場が悪くなる。

もう、これ以上彼女達に甘えてはいけない。

お母様亡き今、この島にはもう私の居場所は無いのだ。

遅かれ早かれ出なければならないのだ。

今回の留学の話は、丁度良かったのかもしれない‥‥

もちろん、妃云々の話は全力回避だけど!


ん?


スメルトが行くと主張しているなら、そうなるのかな。

何でも自分の思い通りにしないと気が済まないスメルト。

お母様が存命なうちはお母様が抑えていたけど、国王も王太子も彼女を抑える気ゼロなのよね。

面倒臭い気持ちも関わりたくない気持ちも分かるけど。

ちゃんとしなきゃダメでしょう。

今思えば、この国を守って来たのはお母様だったのね。

お母様は国王を立てていたけど、実際はね。



さて、そうなると、私はどうやって島を出ようか?
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