人魚姫とよばれた美少女は、王子様を助けた為に魔女にゴブリンにされましたが全く問題ありません

ハートリオ

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第三章

3の41 考えを改める新郎

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ハの字眉の必死な顔で異議を唱える新婦。

ゴブリン・レイもさすがに驚き、ゴブリン・シレーヌの前に跪くと、問い掛ける。



「異議とは‥‥
この結婚が嫌か?」

「違ッ!
だって、まや‥‥
キシュ、
誓いのキシュ‥‥」



必死にそれだけ言うと、真っ赤になって俯いてしまうシレーヌ。

レイはハッと目を見開き、自分の至らなさ、思い込みに気付く。


自分は普通に年相応のゴブリンになったとレイは思う。

だが、シレーヌは、来賓が言っていた通り、どう見ても幼児ゴブリンだ。

もしかして第二王子フラットに『女』として求められる事を嫌悪・恐怖していたあまり、その思いが反映されたのかもしれない。

明確な原因が分からない以上、今後シレーヌが成長するかどうかは不確かだ。

だから。

レイは、シレーヌと家族になろうと決意していた。

夫というよりは父や兄、親友の様に寄り添おうと。

普通の新婚夫婦は、ある程度の『男女の期間』を経て、ゆっくりと時間をかけて家族になるのだろう。

でも、『男女の期間』など無くてもいい。

シレーヌを尊敬している。

愛している。

ずっと一緒にいたいと心から願う。

シレーヌがいるだけで、生きる力が湧いて来るのだ。

シレーヌの為に生き、命尽きるまで守りたい。


(多分この想いが ”愛 ”なんだろう)


そう思った時、レイの心が温かいもので満たされ、喜びで溢れた。

だが。

見た目の幼さで惑わされていたが、シレーヌは16才。

心はれっきとした大人の女性なのだ。

そして大人の女性として、友人や兄ではなく、夫として自分を求めてくれている。

その事に驚き戸惑うと同時に‥‥

嬉しい。

このまま体の成長が無く、一生体を繋げる事は無いかもしれない。

だが、心は。

男女として愛し合おう。

レイがそう考えを改めた時、俯いたままシレーヌが声を絞り出す。
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