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私には前世の記憶がある。
それが分かったのは10年前。
王宮でのお茶会に参加した時。
アー公爵令嬢を見た途端頭の中で前世が話し掛けて来たのだ。
私の前世によれば私の前世はタロウ。
アー公爵令嬢の前世はハナコ。
私達は前世夫婦だった。
ハナコは決して評判のいい妻ではなかったがタロウはハナコを見捨てる事はしなかったしハナコもタロウに寛容だった。
2人は深く深く愛し合っていたのだ――
「――という訳だ」
「はぁ、確かにリング様は昔から不思議な知識をお持ちで。
そのおかげでボウ侯爵家は随分助けられて来ましたからね…
『前世の記憶持ち』の報告はこれまでにも数例聞いた事がございます。
なるほど、ではリング様とアー公爵令嬢は『運命の相手』…」
「ま、そういうことだ。
だから心配しなくても彼女が私から離れることはないのだ、ハッハッハ」
――どういう事だッ!?
アー公爵家に両親共々呼び出され。
仮婚約が破棄になってしまった!
んなバカな!
破棄の理由は私の女関係…
何故バレたんだ!?
ミントン・バド子爵令嬢、リン・ケイ子爵令嬢、ポリン・トラン男爵令嬢の事!
もちろん彼女達の事は本気じゃない。
私が愛しているのはチェリー嬢だけだ!
だが…
私は健康な19才男子。
あの3人は性欲処理の相手として丁度良かったのだ。
ああ、スッパリ別れておけば良かった!
チェリー嬢が妊娠した時の為にとキープなどしなければ良かった!
あの3人の誰か…もしくは全員が私との関係を証言してしまったに違いない。
口止めも無意味だったか…
全く、何もかもイージーな女達だな!
だが…
どういう事なんだろう…
前世でタロウはちょいちょい浮気行為に及んだが――
ハナコは全てを許してくれてた…
「何故今世では私の女性関係を許してくれないのだと思う?」
私は私が前世の記憶持ちである事を唯一話した執事に聞いてみる。
私より6才上でイケメンなので経験も豊富であろう…
「――バカですか?
あ、失礼を…コホン。
女性であれ男性であれ婚約者の浮気を許せる者はいません。
前世のハナコ様はタロウ様を愛していなかったのでしょう」
――買い被りし過ぎていたな。
ハナコの深い愛を理解するのは無理だったか…
こと恋愛に関しては経験など無意味だという事か――
「‥ッ!そうか分かったぞ!
チェリー嬢には前世の記憶が無いのだ!
だから自分がどれだけ深く私を愛しているのか分かっていないのだ!」
「リング様、前世の記憶など無いのが普通です。
もしあったとて前世は前世。
今世は今世です。
今世で1から真心を尽くしてこそ愛は育まれるものでしょう。
――ま、もう手遅れでしょうがね」
ムカッ!
何だコイツ!
私の執事のクセに冷淡ではないか!?
「私は女性の味方ですからね。
毎週末手作りのお菓子を抱えて通って来られる令嬢はいじらしく魅力的でした。
私が仮婚約者であれば全てを捧げて愛したでしょう。
友人相手にバカ話をして待たせた挙句悪口を言って傷つけるなど絶対に致しません。
過去の女をキープしておくなんてもっての他です」
――何だろうこのぐうの音も出ない感じ。
まるで私が間違っているみたいではないか?
私は間違っていない!
チェリー嬢がハナコだった時の事を思い出せば全て丸く収まるのは間違いない!
頭の中でタロウもそう言っている!
だがどうすれば思い出させられる?
いずれにしろ先ずは会って話さなければ!
それが分かったのは10年前。
王宮でのお茶会に参加した時。
アー公爵令嬢を見た途端頭の中で前世が話し掛けて来たのだ。
私の前世によれば私の前世はタロウ。
アー公爵令嬢の前世はハナコ。
私達は前世夫婦だった。
ハナコは決して評判のいい妻ではなかったがタロウはハナコを見捨てる事はしなかったしハナコもタロウに寛容だった。
2人は深く深く愛し合っていたのだ――
「――という訳だ」
「はぁ、確かにリング様は昔から不思議な知識をお持ちで。
そのおかげでボウ侯爵家は随分助けられて来ましたからね…
『前世の記憶持ち』の報告はこれまでにも数例聞いた事がございます。
なるほど、ではリング様とアー公爵令嬢は『運命の相手』…」
「ま、そういうことだ。
だから心配しなくても彼女が私から離れることはないのだ、ハッハッハ」
――どういう事だッ!?
アー公爵家に両親共々呼び出され。
仮婚約が破棄になってしまった!
んなバカな!
破棄の理由は私の女関係…
何故バレたんだ!?
ミントン・バド子爵令嬢、リン・ケイ子爵令嬢、ポリン・トラン男爵令嬢の事!
もちろん彼女達の事は本気じゃない。
私が愛しているのはチェリー嬢だけだ!
だが…
私は健康な19才男子。
あの3人は性欲処理の相手として丁度良かったのだ。
ああ、スッパリ別れておけば良かった!
チェリー嬢が妊娠した時の為にとキープなどしなければ良かった!
あの3人の誰か…もしくは全員が私との関係を証言してしまったに違いない。
口止めも無意味だったか…
全く、何もかもイージーな女達だな!
だが…
どういう事なんだろう…
前世でタロウはちょいちょい浮気行為に及んだが――
ハナコは全てを許してくれてた…
「何故今世では私の女性関係を許してくれないのだと思う?」
私は私が前世の記憶持ちである事を唯一話した執事に聞いてみる。
私より6才上でイケメンなので経験も豊富であろう…
「――バカですか?
あ、失礼を…コホン。
女性であれ男性であれ婚約者の浮気を許せる者はいません。
前世のハナコ様はタロウ様を愛していなかったのでしょう」
――買い被りし過ぎていたな。
ハナコの深い愛を理解するのは無理だったか…
こと恋愛に関しては経験など無意味だという事か――
「‥ッ!そうか分かったぞ!
チェリー嬢には前世の記憶が無いのだ!
だから自分がどれだけ深く私を愛しているのか分かっていないのだ!」
「リング様、前世の記憶など無いのが普通です。
もしあったとて前世は前世。
今世は今世です。
今世で1から真心を尽くしてこそ愛は育まれるものでしょう。
――ま、もう手遅れでしょうがね」
ムカッ!
何だコイツ!
私の執事のクセに冷淡ではないか!?
「私は女性の味方ですからね。
毎週末手作りのお菓子を抱えて通って来られる令嬢はいじらしく魅力的でした。
私が仮婚約者であれば全てを捧げて愛したでしょう。
友人相手にバカ話をして待たせた挙句悪口を言って傷つけるなど絶対に致しません。
過去の女をキープしておくなんてもっての他です」
――何だろうこのぐうの音も出ない感じ。
まるで私が間違っているみたいではないか?
私は間違っていない!
チェリー嬢がハナコだった時の事を思い出せば全て丸く収まるのは間違いない!
頭の中でタロウもそう言っている!
だがどうすれば思い出させられる?
いずれにしろ先ずは会って話さなければ!
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