前世の素晴らしい愛を今世でも!

ハートリオ

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朗報来たーーー!

現在スノー宮殿第三庭園にて開催中のお茶会。
シューイング・スノー第一王女殿下主催のガーデンパーティー!

そこにチェリー嬢が参加しているらしい!
彼女は王宮出禁のはずだったが…
いい加減解かれたのだろう。

兎に角そこへ行けば会って話せる!
前世ハナコの深い愛を説明して…
上手くするとチェリー嬢にも前世ハナコの記憶が蘇るかも!
確か今回の茶会は高位貴族であれば誰でも参加自由だったな…
ぃよぉし!
前世の愛を今世でも手に入れて見せる!
いざ茶会!
突撃だぁ~~!

勢い込んで茶会会場へやって来た!
私の様子が変だと皆が避けてくれるお蔭で混み合う会場中をスイスイ移動しチェリー嬢を探し当てた!

だが!?

私に気付かないのか逃げるように足早で去って行くチェリー嬢…
必死に呼び止めた瞬間――

≪ブヮサッ!≫

ハッ!
聞く者を震撼させる威嚇音…
この音は!
扇を広げたその音だけで人を殺せるのではないかと囁かれる
『氷の王女』と恐れられるシューイング・スノー第一王女殿下の扇芸!

音の方へ振り向けば…
白銀髪の髪
紫紺色の瞳――
扇で口元を隠し目だけ弧を描いたスノー第一王女殿下――怖ッ!

私は氷の牢獄に囚われた事を認識する――

しばらくネチネチお小言を言われ続け。

やっと王女殿下から解放された後必死にチェリー嬢を探したが…
結局会う事は叶わなかった。

もうダメなのか…
絶望の海に沈もうとする私にチェリー嬢の方から『会って話したい』と申し入れが!

やっぱりな!
彼女だって私に運命を感じているに違いないんだ!

約束のカフェで私を待っていたチェリー嬢…
チェリーピンクの瞳に瞳の色を薄くした様な鴇色の髪。
華やかで美しい色と類いまれなる美貌…
ともすれば男を狂わせる魔性の女の様に見えてしまうが…
その凛とした佇まいが彼女の高貴さを完璧にし揺るぎない品格を与えている。
改めて何て美しい令嬢なのだろうと心が震えてしまう。

私は張り切って話し始めたが――
彼女は取り付く島もない感じで…

しかも彼女も前世ハナコの記憶を持っていると判明した!
じゃあ何故私を許さないのだ!?
そう思う私が思い知らされたのは。
タロウの記憶するハナコと実際のハナコではあまりに違うという事で――
ハナコはタロウに傷ついて…
ダメだ、チェリー嬢の言葉が入って来ない…

チェリー嬢が席を立つ。
行ってしまう。
待って、
どうして…
君は私を愛しているはずだ!
君は…
君は私のものなのに!



――ほどなくして。

私はスノー王国を出る事を余儀なくされる。

前世タロウを目の敵にしていた恐ろしい男。
デカい図体に狂人の目を光らせケンカでは負け知らず。
『狂犬』と呼ばれていた男ユウイチ。

そんな危険な男がこの世界に生まれ変わっており。
しかもスノー王国に長期滞在中である事が分かった。
私は暫くの間国を離れる決意を――
そうせざるを得ない状況に追い込まれて仕方なく出るのだ。

遠いダンス王国の親戚の元へ身を隠そうと訪ねて行った。
子供の頃1度会ったきりの私を歓迎してくれた親戚達。
子供の頃は気付かなかったが驚いたことに前世でも親戚だった人達だ。

「この子、覚えているかい?」
「リング従兄様、子供の頃会ってるんですが覚えていますか?」

私の従妹だというルサ・サは前世では会社の後輩で…
浮気相手だった女だ。

私を歓迎する宴会の席で皆口々に勝手な事を言って来る。

「アー公爵令嬢に婚約破棄されたって?」
「酷い女だね!」
「リングは最高にいい男なのにな!」
「本当はアー公爵令嬢が悪いんだろう?」
「本当ね、リング従兄様をひどい目に遭わせるなんて最低な女だわ!」
「ルサ・サはリングの事となると鼻息荒いなぁ?」

何も知らない彼らが嬉々としてチェリー嬢の悪口で盛り上がる。

「ルサ・サは可愛いだろう?」
「村で1番の美人なんだ!」
「どうだい?
結婚相手には申し分ないだろう?」
「私…初めて会った時からリング従兄様と結婚したいって思ってました…」

私は――


翌日、私はダンス王国を後にした。

『婚約破棄は私の女性問題のせいで、100%私が悪いのだ。
短い間でも仮婚約者だった女性を悪く言われるのは耐えられない。
会った事もない女性の悪口を言うルサ・サとの結婚は全く考えられない』

そう置手紙を残して。

今頃私の悪口大会で盛り上がっているだろうな。
だが私は清々しい気分だ。

「――ん?」

ふと気付いた。
私の頭の中でアレコレと話し掛けて来ていたタロウがいつの間にか消えている…

少しの寂しさは口角を上げて紛らわせて。

「行くか。
前世とは違う旅を。
愛する人を傷つけない人生を」

私はしっかりと歩き出す。

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