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ハートリオ

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11 一年前の事件3『第一王子』

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「‥ハァッ、ハァッ」


床に倒れ込んだまま震えながら激しい呼吸をするのが精一杯のプラリネの耳に、その姿を嘲る王妃の醜い声が突き刺さる。


「何て卑しい姿なの!
男が欲しくて身悶えているだなんてねッ!
令嬢として上品ぶって生きて来たんだろうけど、それがお前の本性よ!
あぁ、それにしても酷い震えだこと!
ねぇ、そんなに欲しいの?
したくてしょうがないの?
綺麗な顔して、相当な淫乱だわねぇ?
場末の娼館の色狂いだってそこまでじゃぁないわよ‥‥」

「母上!
もういいからドアを閉めてッ‥‥!
早くプラリネと二人きりにさせて下さい!」


部屋の奥から上ずった男の声がして、堪らずプラリネの頬を涙が伝う。

こんな卑怯者たちに辱めを受けるぐらいなら‥‥

そう思うのに、自分の体なのにいう事を聞かず、ガチガチと噛み合わない歯では舌を噛み切る事も出来ない。


「だって、いい気味なんだものッ
それに私だって‥‥
ね、手伝ってあげる!
腕を押えといてあ‥」
「要りませんから!」


プラリネの耳にバタン!とドアが閉まる音と、ガチャッ、ガチャッと施錠と思われる音が2度聞こえた。


「‥‥ッたく、
サッサと失せろ、
変態が‥‥
色狂いババアがッ」


どんな時でも唯一見方をしてくれる母を口汚く罵る第一王子。

彼は、母親が実はレズビアンで、自分同様、ショコラ公爵夫人、そしてその娘であるプラリネに執着しているのを知っているのだ。

物欲し気な顔でプラリネを舐めまわす様に見て興奮する母には嫌悪感しかない。

――とは言え、母上が一番――

父上や妃達や子供達より大切な存在である事は変わらないが。

母上だってそうだろう。

私と母上は互いに唯一無二の存在なのだ。


なのだが、やっと想いが叶う私の焦る気持ちも気遣って欲しいものだ。


まあ、プラリネが魅力的過ぎるのが悪いのだな。


3ヵ月前、プラリネが通う淑女学園を訪れた際に見つけ、見初めた絶世の美少女。

恋焦がれた隣国の王女はショコラ公爵夫人となってしまったが、彼女にソックリ――いや、更に美しく魅力的な彼女の娘プラリネはまだ誰のものでもない。

まだデビュタント前――男共の目に晒される前に見つけられたのは僥倖だった。

誰にも見つからぬうちに私のものにする!


愛妾とは言え、第一王子――いずれ王太子となる男に囲われるのだ。

誉れな事であるのに何故断って来たのかいまだに理解出来ない――


「ま、それよりも今は早くコレを、プラリネの中に――」


先ずはあの可愛い口を無理矢理大きく開けさせて捻じ込んでやろうか――

既に下半身は下着すら着けていない第一王子は己の股間で猛り勃つモノを見てニヤリといやらしく口角を上げる。

そしてゆっくりと獲物の方へ振り向く。


「お待たせ、プラリ―
―――ん!?」


床に倒れたまま媚薬による欲情に悶え苦しんでいるプラリネを想像していた第一王子だったが――

目に映るものが理解出来ず、目を見開いたまま立ち尽くす。
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