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第一章
12 不穏な影
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エリダヌス伯爵夫人は夫の愛人の相談中、不意に
『君、先に帰ってくれないか。』
と夫に言われてしまいました。
「えッ‥‥‥えぇっ!?
ダメですよ!
今日は、あなた様の愛人を決めるまで、ここを動きません!
ですから‥‥」
「分かった。
愛人を持つことにする。」
「‥‥まぁっ!? 本当に!?
あぁ、そうなの、やっと世間並みの夫になって下さいますのね‥‥
あら、でも、私が先に帰る必要なんてありませんわよね?
まさか上手い事言ってこの尊すぎる私を騙くらかすつもりでは‥‥」
「私は少年の愛し方を知らない。
それをこの方達に説明してもらおうと思う。
女性の前でする話ではないので、君は先に帰るといい。」
「まッ‥‥あら‥‥
その話、是非聞きたい‥‥‥はっ‥‥‥」
前のめりになっていた伯爵夫人ですが‥‥
さすがに男性陣の視線が冷え切っている事に気付いたようで。
「べ、別にそんな話、聞きたくありませんわっ!
まったくもって、興味ありませんことよ!!
ええ、一切、どうでもいい事ですもの!!!
何をどこにどうやってどうするとか、ホント私、全ッ然‥‥‥」
どう見ても名残惜しそうに立ち上がり、ドア方向へ歩き出す伯爵夫人。
慌ててお見送りしようと立ち上がろうとすると、伯爵様に制されます。
「危険だから、君は一人になってはいけない。
とにかくこの部屋で、3人固まっているべきだ。
彼女は標的ではないはずだから、大丈夫だろう。」
そう小声で僕達に告げると、夫人には普通に声を掛けます。
「済まないが急ぐので、一人で帰れるね?
事務所ドアのすぐ外に、ウチの馬車が停まっているはずだ。
気を付けて帰るように。」
伯爵様は乗ってきた馬車を事務所のすぐ外に待たせてあります。
馬車には、御者の他に護衛と侍女もいます。
ベテルとギウスに確認済みです。
「子供じゃないんです、一人で帰れますわよ!
約束ですよ、必ず愛人を決めて下さいませね!」
夫人が部屋を出て扉を閉めた瞬間。
伯爵様が纏うオーラが緊張したものに変わった事を感じたデネブ様。
「どういう事ですか?」
同じく緊張感を纏って伯爵様に訊ねます。
‥‥‥‥‥ん?
このお二方、伯爵様とデネブ様、何か‥‥似てる?
そう言えば、高身長でガッシリ、でもスマート‥‥
端正な顔立ち、高貴な香り‥‥
あ、そうだ、年齢も同じだ! 21才!
――― のわりにやたら貫禄ある所とか、
‥‥‥な、何かちょっと、カ、カワイイ所とか‥‥(赤面)
あ、いやいや、今、それを検証しているバヤイではないですね!
「外にいる連中の事、ですか?」
気を引き締め、実は僕も気になっていた事を聞いてみます。
「外!?
‥‥ッ!?
な、何だ、ヤツ等は‥‥‥」
デネブ様も事務所の外を取り囲む不穏な存在に気付きました。
デネブ様ほどの魔法使いなら、気付いていなきゃダメですよ?
迂闊です、注意力散漫です、何に気を取られていたんですか?
「ああ。
魔力のある者達に取り囲まれているな。
特に魔力量の多い奴は私がここへ来るのとほぼ同時に現れた。
多分、そいつを待ってここを襲撃するつもりだったんだろう。
だが魔力量の多い私が現れた事で奴らは様子を見る事にした。
ジリジリしながら私が出て行くのを待っている、という所か。」
伯爵様はずっと外の様子を窺ってくれていたのですね。
夫人と不毛なやり取りをしながら‥‥
え。
カ、カッコイイ‥‥‥
ん、いや、こんな時に赤面している僕って‥‥‥
『君、先に帰ってくれないか。』
と夫に言われてしまいました。
「えッ‥‥‥えぇっ!?
ダメですよ!
今日は、あなた様の愛人を決めるまで、ここを動きません!
ですから‥‥」
「分かった。
愛人を持つことにする。」
「‥‥まぁっ!? 本当に!?
あぁ、そうなの、やっと世間並みの夫になって下さいますのね‥‥
あら、でも、私が先に帰る必要なんてありませんわよね?
まさか上手い事言ってこの尊すぎる私を騙くらかすつもりでは‥‥」
「私は少年の愛し方を知らない。
それをこの方達に説明してもらおうと思う。
女性の前でする話ではないので、君は先に帰るといい。」
「まッ‥‥あら‥‥
その話、是非聞きたい‥‥‥はっ‥‥‥」
前のめりになっていた伯爵夫人ですが‥‥
さすがに男性陣の視線が冷え切っている事に気付いたようで。
「べ、別にそんな話、聞きたくありませんわっ!
まったくもって、興味ありませんことよ!!
ええ、一切、どうでもいい事ですもの!!!
何をどこにどうやってどうするとか、ホント私、全ッ然‥‥‥」
どう見ても名残惜しそうに立ち上がり、ドア方向へ歩き出す伯爵夫人。
慌ててお見送りしようと立ち上がろうとすると、伯爵様に制されます。
「危険だから、君は一人になってはいけない。
とにかくこの部屋で、3人固まっているべきだ。
彼女は標的ではないはずだから、大丈夫だろう。」
そう小声で僕達に告げると、夫人には普通に声を掛けます。
「済まないが急ぐので、一人で帰れるね?
事務所ドアのすぐ外に、ウチの馬車が停まっているはずだ。
気を付けて帰るように。」
伯爵様は乗ってきた馬車を事務所のすぐ外に待たせてあります。
馬車には、御者の他に護衛と侍女もいます。
ベテルとギウスに確認済みです。
「子供じゃないんです、一人で帰れますわよ!
約束ですよ、必ず愛人を決めて下さいませね!」
夫人が部屋を出て扉を閉めた瞬間。
伯爵様が纏うオーラが緊張したものに変わった事を感じたデネブ様。
「どういう事ですか?」
同じく緊張感を纏って伯爵様に訊ねます。
‥‥‥‥‥ん?
このお二方、伯爵様とデネブ様、何か‥‥似てる?
そう言えば、高身長でガッシリ、でもスマート‥‥
端正な顔立ち、高貴な香り‥‥
あ、そうだ、年齢も同じだ! 21才!
――― のわりにやたら貫禄ある所とか、
‥‥‥な、何かちょっと、カ、カワイイ所とか‥‥(赤面)
あ、いやいや、今、それを検証しているバヤイではないですね!
「外にいる連中の事、ですか?」
気を引き締め、実は僕も気になっていた事を聞いてみます。
「外!?
‥‥ッ!?
な、何だ、ヤツ等は‥‥‥」
デネブ様も事務所の外を取り囲む不穏な存在に気付きました。
デネブ様ほどの魔法使いなら、気付いていなきゃダメですよ?
迂闊です、注意力散漫です、何に気を取られていたんですか?
「ああ。
魔力のある者達に取り囲まれているな。
特に魔力量の多い奴は私がここへ来るのとほぼ同時に現れた。
多分、そいつを待ってここを襲撃するつもりだったんだろう。
だが魔力量の多い私が現れた事で奴らは様子を見る事にした。
ジリジリしながら私が出て行くのを待っている、という所か。」
伯爵様はずっと外の様子を窺ってくれていたのですね。
夫人と不毛なやり取りをしながら‥‥
え。
カ、カッコイイ‥‥‥
ん、いや、こんな時に赤面している僕って‥‥‥
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