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2.依頼される男
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“ 探し物係のモル ”
かの人が俺をそう呼んだのは大昔、まだ学生の頃だ。
彼が物を失くし、俺がそれを見つけてやった。 そんな事が何度か続いた。
それで彼は何か失くすと『“ 探し物係のモル ”、頼むよ、あれが無いと困るんだ』と言って俺を頼るようになった。 俺はそれが嬉しくて・・・
俺はぼんやりと目の前の少女を見る。 彼には似ていない。 でも、そうか・・
「・・・随分懐かしい呼び名だ・・・ピコさん、君はそれを・・俺の事を誰に聞いたのかな? お父さん?」
「あ・・はい! あなたが新聞に載っていた事があって、あ、全部手紙に入れたから今ここに持っています! (ガサガサ)これ、この手紙です。 開けますね、(ビリビリ、カサカサ)」
そうしてピコさんがテーブルに昔の新聞の切り抜き、『何でも言うこと聞きます by モル』と書かれた手作りのチケット(学生の頃、遊びで作ったヤツ)、・・・写真・・ピコさんと共に写るかの人・・ユニの写真・・
俺は写真の中で優しく笑うユニを指差し、ピコさんに質問する。
「・・これが君のお父さんの写真だね。 いなくなる直前のモノ? 随分と若く見えるけど・・いついなくなったんだい?」
「・・もう随分になるよなぁ?」
「そうだよな、彼がいないと村が寂しくていけねえ。」
「祭りも他の行事もな、火が消えた様でなぁ・・」
「彼は若く見えるんじゃなくて、実際若いのさ。 30才位だもんな。 あぁ、勿論若くも見えるか・・可愛い顔をしてるからな!」
「学生って言われてもおかしくない・・あ、でも中身はしっかりしてるよ、立派な父親だ、な、ピコ!」
ピコさんでなくカフェ内の客達がグイグイ答えて来る・・・彼はここでも皆から恋されている様だね・・
「・・あの、モルさん、二人だけで話せますか? 家の事とか、色々あるし・・あ、ごめんなさい、皆さん、お父さんを心配してくれてるのに・・」
純粋無垢な瞳を陰らせて、ピコさんがおずおずと言うのを聞いて、村人達がハッとして、
「あ、あぁ、そうだよな、デ、デ、デリケエトな事とかもあるよな、俺達こそすまねえ、ついユニが心配でよ、」
「んだな、まずピコから話聞いて、で、俺らにも聞きてえ事あったらいつでも話すからよ、探偵の兄さん、頼んだぜ! ユニがいねえと寂しいからな!」
「ホラ、行こう行こう!」
「あ、でも・・」「いいから! 行くぞ!」
そんな事を言いながら皆カフェから出て行く・・・優しい人達だね。
シンとした店の中で、店のマスターが慌ててドアに掛けてある“ 営業中 ”のボードをひっくり返して“ 準備中 ”に変えて、まだ何も注文していない俺の前にお茶とクッキーを置くと、
「じゃ、俺もちょっと買い物あるから、ちょっと出て来るよ。 そこにコーヒーもあるから、好きに飲んでくれ。 じゃ、ピコ、しっかり話聞いてもらうんだよ。 探偵の兄さん、頼むよ、」
と言って店を出て行く・・・ふうぅ・・・
たまたま間違えて途中下車した村で出会った、俺に頼み事がある少女。
少女の頼み事は人捜し。 そしてその“ 捜してほしい人 ”は、俺の ―――
ここまで見事に重なった偶然 ―― まるで呪いの様な偶然から、かつての俺なら全力ダッシュで逃げただろう。 だけど俺はここ数年、変わってきている・・・と知り合いからも言われるし、自分でもそう感じている。
“ 丸くなってきている ”ってことなのかな・・・
とにかく、目の前のピコさんのいたたまれない感じは、19年前の自分と重なって・・
・・・たく・・・ユニ、お前は行方不明になるのが趣味か?
19年前、俺の前から行方不明になったお前が、今度は最愛のはずの娘の前から行方不明って・・・
「・・許さん・・」
思わずつぶやく俺に、ピコさんがサッと蒼ざめてしまう。
「わ・・ご、ごめんなさい、私、あなたの都合も考えず・・」
「あぁ、違う違う、許せないのはユニだよ。 アイツ、人に心配かける為に生まれて来たのか!? フッといなくなって、残された者がどれだけ苦しい思いするのか・・ピコさん、俺は必ずユニを捜し出す! 捜し出したら何するか分からないけど、そこは承知しておいてくれ! ん? ピコさん?」
ピコさんがフルフル、ウルウルしている・・・どうした?
「あ、あの、お父さんを殴らないで・・お父さんは、きっと何か事情があって・・だから、だから、」
言いながらピコさんの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。 あぁっ・・・と。
「あ、ごめん、俺、恐かったかな? いや、ユニはこれが初犯じゃないからね、それでつい・・・あ・・」
俺は意識的にも無意識的にも頭から排除していたある人物を思い出す。 そうだ、瞳が純粋無垢だから気付かなかったけど、ピコさんは彼女にソックリだ。
・・・どうせならユニに似れば良かったのにね・・・
俺は出来るだけ自然な感じでピコさんに質問する。
「君のお母さんは、ぎ、元気?」
・・・ッ、・・噛んじゃったよ・・・
かの人が俺をそう呼んだのは大昔、まだ学生の頃だ。
彼が物を失くし、俺がそれを見つけてやった。 そんな事が何度か続いた。
それで彼は何か失くすと『“ 探し物係のモル ”、頼むよ、あれが無いと困るんだ』と言って俺を頼るようになった。 俺はそれが嬉しくて・・・
俺はぼんやりと目の前の少女を見る。 彼には似ていない。 でも、そうか・・
「・・・随分懐かしい呼び名だ・・・ピコさん、君はそれを・・俺の事を誰に聞いたのかな? お父さん?」
「あ・・はい! あなたが新聞に載っていた事があって、あ、全部手紙に入れたから今ここに持っています! (ガサガサ)これ、この手紙です。 開けますね、(ビリビリ、カサカサ)」
そうしてピコさんがテーブルに昔の新聞の切り抜き、『何でも言うこと聞きます by モル』と書かれた手作りのチケット(学生の頃、遊びで作ったヤツ)、・・・写真・・ピコさんと共に写るかの人・・ユニの写真・・
俺は写真の中で優しく笑うユニを指差し、ピコさんに質問する。
「・・これが君のお父さんの写真だね。 いなくなる直前のモノ? 随分と若く見えるけど・・いついなくなったんだい?」
「・・もう随分になるよなぁ?」
「そうだよな、彼がいないと村が寂しくていけねえ。」
「祭りも他の行事もな、火が消えた様でなぁ・・」
「彼は若く見えるんじゃなくて、実際若いのさ。 30才位だもんな。 あぁ、勿論若くも見えるか・・可愛い顔をしてるからな!」
「学生って言われてもおかしくない・・あ、でも中身はしっかりしてるよ、立派な父親だ、な、ピコ!」
ピコさんでなくカフェ内の客達がグイグイ答えて来る・・・彼はここでも皆から恋されている様だね・・
「・・あの、モルさん、二人だけで話せますか? 家の事とか、色々あるし・・あ、ごめんなさい、皆さん、お父さんを心配してくれてるのに・・」
純粋無垢な瞳を陰らせて、ピコさんがおずおずと言うのを聞いて、村人達がハッとして、
「あ、あぁ、そうだよな、デ、デ、デリケエトな事とかもあるよな、俺達こそすまねえ、ついユニが心配でよ、」
「んだな、まずピコから話聞いて、で、俺らにも聞きてえ事あったらいつでも話すからよ、探偵の兄さん、頼んだぜ! ユニがいねえと寂しいからな!」
「ホラ、行こう行こう!」
「あ、でも・・」「いいから! 行くぞ!」
そんな事を言いながら皆カフェから出て行く・・・優しい人達だね。
シンとした店の中で、店のマスターが慌ててドアに掛けてある“ 営業中 ”のボードをひっくり返して“ 準備中 ”に変えて、まだ何も注文していない俺の前にお茶とクッキーを置くと、
「じゃ、俺もちょっと買い物あるから、ちょっと出て来るよ。 そこにコーヒーもあるから、好きに飲んでくれ。 じゃ、ピコ、しっかり話聞いてもらうんだよ。 探偵の兄さん、頼むよ、」
と言って店を出て行く・・・ふうぅ・・・
たまたま間違えて途中下車した村で出会った、俺に頼み事がある少女。
少女の頼み事は人捜し。 そしてその“ 捜してほしい人 ”は、俺の ―――
ここまで見事に重なった偶然 ―― まるで呪いの様な偶然から、かつての俺なら全力ダッシュで逃げただろう。 だけど俺はここ数年、変わってきている・・・と知り合いからも言われるし、自分でもそう感じている。
“ 丸くなってきている ”ってことなのかな・・・
とにかく、目の前のピコさんのいたたまれない感じは、19年前の自分と重なって・・
・・・たく・・・ユニ、お前は行方不明になるのが趣味か?
19年前、俺の前から行方不明になったお前が、今度は最愛のはずの娘の前から行方不明って・・・
「・・許さん・・」
思わずつぶやく俺に、ピコさんがサッと蒼ざめてしまう。
「わ・・ご、ごめんなさい、私、あなたの都合も考えず・・」
「あぁ、違う違う、許せないのはユニだよ。 アイツ、人に心配かける為に生まれて来たのか!? フッといなくなって、残された者がどれだけ苦しい思いするのか・・ピコさん、俺は必ずユニを捜し出す! 捜し出したら何するか分からないけど、そこは承知しておいてくれ! ん? ピコさん?」
ピコさんがフルフル、ウルウルしている・・・どうした?
「あ、あの、お父さんを殴らないで・・お父さんは、きっと何か事情があって・・だから、だから、」
言いながらピコさんの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。 あぁっ・・・と。
「あ、ごめん、俺、恐かったかな? いや、ユニはこれが初犯じゃないからね、それでつい・・・あ・・」
俺は意識的にも無意識的にも頭から排除していたある人物を思い出す。 そうだ、瞳が純粋無垢だから気付かなかったけど、ピコさんは彼女にソックリだ。
・・・どうせならユニに似れば良かったのにね・・・
俺は出来るだけ自然な感じでピコさんに質問する。
「君のお母さんは、ぎ、元気?」
・・・ッ、・・噛んじゃったよ・・・
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