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5.(過去回1.)ユニとの出会い
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俺とユニは、もう19年も前、つまりは大昔、シティの高校で出会った。
俺は大金持ちの叔父さんの強い意向で家族とシティに住み、住んでいるから普通に近所の高校に通う、という形。 そんな俺の、平凡な高校進学とは真逆で、ユニは・・・かなりレアな入学だった。
ユニは地方の孤児院出身で、シティのエリートや金持ちとは本来一切関わらないはずだったが、とにかく優秀だった。
シティでは特例として地方の優秀な人材を選び、教育を受けさせ、頭脳集団に組み入れる制度があるというが、実際の例は本当に僅か、いや、多分ゼロ。
なぜなら生まれた時からシティで英才教育を受けた子供達に教育水準が低い地方出身者が叶うはずはなく、特例試験に合格出来た者がいた、という話は聞いた事が無いからだ。
地方出身者はシティで生きる事に憧れる者が多いというが、実際にシティに入り込むのはかなり大変なのだ。
フェムト星人はどこで生まれたかで、その一生がほぼ決まってしまっているのだ。
そんな常識を楽々飛び越えて、ユニはシティの高校に入学して来た。
この超レアな新入生と時を過ごす事になる同級生、上級生、教師達の反応はというと・・・
地方の、しかも孤児院出身という事で、どんなにギラついた男が入学して来るのだろう、危険ではないか、シティの世間知らずの少年達を騙したり、暴力で金品を奪ったりする心配はないのか、シティには無い地方独特の病気を持ち込むのではないか・・・等々、不安に思う者がほとんど。
それと同時に、生まれた時から脳の発達、情緒の安定等を考え抜かれて、科学・技術の粋を極めて作られた教育ケースの中に入れられ乳幼児期を過ごした後は、考えられる最高の環境の中でスクスクと育てられた自分達より高い能力を発揮したなど信じられない、何か裏があるのではないかという疑念を持つ者、
さらに、もし本当に自分達より優秀だというのなら、ソレはあってはならない事で、自分たちの存在を否定してしまう事で、だから・・だから抹殺するべきだ! などという過激な想いを抱く者も珍しくなく・・・
つまりユニはたった15才で四面楚歌の状況に足を踏み入れる事となった。
そして高校入学一日目、入学式の日の僅か数時間で完全アウェイの状況を見事にひっくり返してしまった。
美しい容姿、気品溢れる佇まい、柔らかな物腰・・・
優しい微笑は春を運ぶそよ風の如く、明るく笑えば太陽の輝きの如く・・・
彼がはにかめば対する者も思わず赤面し、彼が表情を翳らせれば対する者は何か力になりたいと願い・・・つまり誰もが彼に落ちた――恋をしてしまったのだ。
俺は何でもナナメに見るガキだったから、みんなみたいにチョロくなかった。
クラスも違うし(ユニは超デキる特別クラス)、関わらない様にしようと決めていた。 俺は光 ―― 輝かしいものとは無縁の存在だから。
そんなある日、学校の中ではマイナーな一角、いつもは人影のない第3校庭の噴水の周りの芝生の上を這いつくばって何かを探しているユニを見た。
小さな物を探しているんだろう、芝生を丹念にかき分けまくっている。 あまりの必死さに、普段は臆病で人前に姿を現す事のない小動物「シマッチ」が少年を手伝おうとしているかの様に数匹ウロウロしている。
「シマッチ」は大人しく害の無い二足歩行の小動物。
広大な校庭に放し飼いにされているはずなのだが、今まで目撃した人がいなかったので、既に死んでしまっているのだろうと言われていた。
・・・いたな! 「シマッチ」!
ユニは見慣れているのか激レア小動物に頓着することなく芝生をかき分け続けている。 たまに気付いたように「シマッチ」の頭を撫でてやると、「シマッチ」は嬉しそうに体をゆする。
・・はっ・・・ 俺は何をやっているんだ・・ 見とれている場合じゃない!
彼に関わってはいけない! 関わってしまったら、きっと、俺は・・・
逃げる様に(いや、実際逃げようと)無言のまま足早に通り過ぎようとしたら、ユニがフと顔を上げ俺を見、力なく笑い、また熱心に何かを探し始め・・・
俺は関わらない様にしようと決めていた事など、どこかへ飛んで行ってしまい、
「・・何やってんの。 何か落とした?」 と聞いていた。
聞いてしまった後に、ユニの力ない笑いに一発で心を掴まれてしまった事に気付き、自分のチョロさに愕然としつつ、怒りさえ覚えながらこのまま去ろう、去らなきゃと思っていたところに、ユニが力ない、蚊の鳴くような声で
「・・・鍵が・・・」
・・・こんな死にそうな声を無視できるはずないだろう?
たとえ俺がみんなに“ 気難しやのモル ”とか“ 天邪鬼のモル ”とか言われているヤツだとしても・・!
「なに? 鍵? 学生寮の? あそこまだそんなアナログなシステムなんだ? で、ここで落としたと思う根拠は?」
俺は心を無にして首を突っ込み、お節介に一緒に探し、見事ユニの探し物を見つけ出した。 これは偶然の出来事、イレギュラーな珍事。 今後はこの王子みたいな地方出身者に関わらなければいい。 そうだ、俺はこの事を明日には忘れて見せる・・!
そんな事を考えていると、ユニがキラキラした笑顔で
「ありがとう! 君はB組のモル君だよね?」
と言って来た。
「え・・何で俺の名前知ってんの?」
ユニは有名人だから、俺がユニを知っているのは当然だが、何でユニが俺を?
俺は大金持ちの叔父さんの強い意向で家族とシティに住み、住んでいるから普通に近所の高校に通う、という形。 そんな俺の、平凡な高校進学とは真逆で、ユニは・・・かなりレアな入学だった。
ユニは地方の孤児院出身で、シティのエリートや金持ちとは本来一切関わらないはずだったが、とにかく優秀だった。
シティでは特例として地方の優秀な人材を選び、教育を受けさせ、頭脳集団に組み入れる制度があるというが、実際の例は本当に僅か、いや、多分ゼロ。
なぜなら生まれた時からシティで英才教育を受けた子供達に教育水準が低い地方出身者が叶うはずはなく、特例試験に合格出来た者がいた、という話は聞いた事が無いからだ。
地方出身者はシティで生きる事に憧れる者が多いというが、実際にシティに入り込むのはかなり大変なのだ。
フェムト星人はどこで生まれたかで、その一生がほぼ決まってしまっているのだ。
そんな常識を楽々飛び越えて、ユニはシティの高校に入学して来た。
この超レアな新入生と時を過ごす事になる同級生、上級生、教師達の反応はというと・・・
地方の、しかも孤児院出身という事で、どんなにギラついた男が入学して来るのだろう、危険ではないか、シティの世間知らずの少年達を騙したり、暴力で金品を奪ったりする心配はないのか、シティには無い地方独特の病気を持ち込むのではないか・・・等々、不安に思う者がほとんど。
それと同時に、生まれた時から脳の発達、情緒の安定等を考え抜かれて、科学・技術の粋を極めて作られた教育ケースの中に入れられ乳幼児期を過ごした後は、考えられる最高の環境の中でスクスクと育てられた自分達より高い能力を発揮したなど信じられない、何か裏があるのではないかという疑念を持つ者、
さらに、もし本当に自分達より優秀だというのなら、ソレはあってはならない事で、自分たちの存在を否定してしまう事で、だから・・だから抹殺するべきだ! などという過激な想いを抱く者も珍しくなく・・・
つまりユニはたった15才で四面楚歌の状況に足を踏み入れる事となった。
そして高校入学一日目、入学式の日の僅か数時間で完全アウェイの状況を見事にひっくり返してしまった。
美しい容姿、気品溢れる佇まい、柔らかな物腰・・・
優しい微笑は春を運ぶそよ風の如く、明るく笑えば太陽の輝きの如く・・・
彼がはにかめば対する者も思わず赤面し、彼が表情を翳らせれば対する者は何か力になりたいと願い・・・つまり誰もが彼に落ちた――恋をしてしまったのだ。
俺は何でもナナメに見るガキだったから、みんなみたいにチョロくなかった。
クラスも違うし(ユニは超デキる特別クラス)、関わらない様にしようと決めていた。 俺は光 ―― 輝かしいものとは無縁の存在だから。
そんなある日、学校の中ではマイナーな一角、いつもは人影のない第3校庭の噴水の周りの芝生の上を這いつくばって何かを探しているユニを見た。
小さな物を探しているんだろう、芝生を丹念にかき分けまくっている。 あまりの必死さに、普段は臆病で人前に姿を現す事のない小動物「シマッチ」が少年を手伝おうとしているかの様に数匹ウロウロしている。
「シマッチ」は大人しく害の無い二足歩行の小動物。
広大な校庭に放し飼いにされているはずなのだが、今まで目撃した人がいなかったので、既に死んでしまっているのだろうと言われていた。
・・・いたな! 「シマッチ」!
ユニは見慣れているのか激レア小動物に頓着することなく芝生をかき分け続けている。 たまに気付いたように「シマッチ」の頭を撫でてやると、「シマッチ」は嬉しそうに体をゆする。
・・はっ・・・ 俺は何をやっているんだ・・ 見とれている場合じゃない!
彼に関わってはいけない! 関わってしまったら、きっと、俺は・・・
逃げる様に(いや、実際逃げようと)無言のまま足早に通り過ぎようとしたら、ユニがフと顔を上げ俺を見、力なく笑い、また熱心に何かを探し始め・・・
俺は関わらない様にしようと決めていた事など、どこかへ飛んで行ってしまい、
「・・何やってんの。 何か落とした?」 と聞いていた。
聞いてしまった後に、ユニの力ない笑いに一発で心を掴まれてしまった事に気付き、自分のチョロさに愕然としつつ、怒りさえ覚えながらこのまま去ろう、去らなきゃと思っていたところに、ユニが力ない、蚊の鳴くような声で
「・・・鍵が・・・」
・・・こんな死にそうな声を無視できるはずないだろう?
たとえ俺がみんなに“ 気難しやのモル ”とか“ 天邪鬼のモル ”とか言われているヤツだとしても・・!
「なに? 鍵? 学生寮の? あそこまだそんなアナログなシステムなんだ? で、ここで落としたと思う根拠は?」
俺は心を無にして首を突っ込み、お節介に一緒に探し、見事ユニの探し物を見つけ出した。 これは偶然の出来事、イレギュラーな珍事。 今後はこの王子みたいな地方出身者に関わらなければいい。 そうだ、俺はこの事を明日には忘れて見せる・・!
そんな事を考えていると、ユニがキラキラした笑顔で
「ありがとう! 君はB組のモル君だよね?」
と言って来た。
「え・・何で俺の名前知ってんの?」
ユニは有名人だから、俺がユニを知っているのは当然だが、何でユニが俺を?
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