Man under the moon

ハートリオ

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6.曖昧な関係

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「あ・・だって君って有名人だから・・」


キラキラした笑顔を翳らせる事無くそう話すユニに、途端に俺は嫌な気持ちになる。 俺が陰気で暗くて感じ悪いって、そんなに有名なのか・・・ソレはこの、キラキラ輝いている俺とは真逆の美少年の耳に入る程なのか!?

自分の評判は悪くて当たり前、と思う一方、ソレをユニに知られてしまっていた事に何かやるせない気持ちになり、思わず赤面して俯くと、


「・・あの、クールでカッコイイって・・・何か、ファンクラブがあるらしいよ。 すごいね・・俺は田舎者だから、男子が男子に恋愛的に憧れるってちょっと感覚的に分かんないけど、何かシティでは普通にある事なんだってね?」


「・・・・・は・・?」


俺は言われている事は理解は出来るけど分からない、分かるけど理解出来ない感じで、つまり大混乱して言葉を失っていると、


「・・あ、俺はユニ。 同じ新入生だよ。 よろしくね! 鍵、ありがとう!」

と言ってキラキラしながら去って行って・・・その姿をボーゼンと見つめながら、俺はこの事を多分一生忘れないだろうと確信していた。


それが最初の出会いで ―― その一か月後には俺達は親友と呼べる関係になっていた。



「“ 大切な人 ”―― か。 うん、俺とユニは親友だった・・・短い期間ではあったけどね・・」


どこか曖昧な返答にピコさんが大きく目を瞬く。

ふ、まぁ、“ 大切な人 ”なんて言い方自体が曖昧以外の何物でもないしね・・・


「・・で、このユニの写真は、一番新しい物? 何か大昔 ―― 俺が知ってた頃とあまり変わってないんだけど・・」


俺はテーブルの上に置かれたユニの写真を手に取り、もう一度ユニの写真がいつ頃の物なのかピコさんに訊く。 ・・・はっ・・写真を持つ手が震えて・・

俺は慌てて写真をテーブルに戻し・・・何なんだ、もうとっくに乗り越えたはずなのに・・・俺、全然平気じゃない・・・ユニの写真・・・すぐに手に取る事が出来なくて、今やっと動揺を抑えて触れた・・と思ったらやっぱり手が震えるとか・・・


俺は動揺を隠す様に、何の興味もない昔の新聞の切り抜きを手に取り・・ん?


「・・コレ、よく俺って分かったな・・いや、変だと思ったんだけど。 俺、新聞に出た事なんて無かったはずだし・・」


その古い新聞に載っている写真は、俺を写したものではなく、誰か他の対象者・・えーと、その町の英雄を建物の前で写したもので、俺はそこに写り込んでいる通行人・・しかも変装していて・・・


「お父さん、その写真を見て泣いてたんです。」


「・・!!!」

泣いて ―― ??
新聞の日付は5年ほど前 ―― 俺の事なんて、とっくに忘れているだろうと・・・
・・あぁ、また手が震える・・俺は新聞の切り抜きもテーブルに戻す。


「私、ビックリしてお父さんに『どうしたの? 悲しいの?』って聞いたんです。  そしたらお父さんは『違うよ、懐かしい人を見て、嬉しいんだ。』って言いました。 そのモルさん・・本当に、別人みたいですね・・」


「・・そう思うよね? 君は何でこの写真で俺が分かったの?」

俺は心の動揺を隠し、冷静な声で質問する。


「あぁ、いえ、その時お父さんが変装してないモルさんの写真とテレビ ―― 動画?を見せてくれたんです。 お父さんがシティに居た頃使ってたっていう“持ち運べる電話”っていうのに入ってるやつを。 モルさんもその頃とあまり変わってないですから、すぐ分かりました。
モルさんみたいに綺麗でカッコイイ人、テレビでも雑誌でも見た事無いですもん、すぐ分かりますよ!」


・・・過大な評価をどうも。

田舎の子から見たら都会的に見えるのかもしれないけど、シティの奴等から見れば目つきが悪く不愛想な感じ悪いオジサンなんだけどね。

見る側によって評価は変わる。 ピコさんだってここでは村の普通の女の子だろうけど、シティに行けば超・絶滅危惧少女として宝物扱い間違いなしだろう。

・・見る側によって評価が変わらないヤツもごくごく稀にいるけどね・・。


「俺はシティでは残念な奴だよ。 ユニはシティでも誰からでも魅力的な存在だった。 ここでもそうだろう?」

そう訊くと、ピコさんは嬉しそうに胸を張る。


「はいっ! お父さんは村一番の美人さんなんです!!」


・・・ウン、“村一番”なんて狭いレベルじゃないけどね・・・(薄い笑い)



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