32 / 46
32.一カ月前、シティの駅で
しおりを挟む
「それでは・・・踊って頂けますか? レディ?」
芝居がかった仕草と台詞で本日の主役のピコさんを恭しくダンスに誘うと、赤面して俯いてしまっていたピコさんがパァッと顔を輝かせて、
「はいっ! 喜んで!!」
と言い、差し出した俺の手に少しおずおずと自分の震える手を乗せる。 何だかこっちまで緊張するね。
ホラ、君達も! と目で合図すると、カンデラ君とジュール嬢もダンスの態勢を取る。 彼等は彼等で、果し合いの様な緊張感だ。
音楽に合わせて踊り出せば、単純な動作の繰り返しなのですぐにスムーズに踊れるようになるが・・・座っている人たちが手拍子をして来るのには何かむず痒さを感じる。 まぁ、ピコさんが楽しそうだからいいか・・・
「ピコさん、モルさんに恋してるわね!」
パートナーチェンジした途端、ジュール嬢が耳打ちして来る。 ・・は?
「彼女にとって俺は“ 父親の大切な人 ”って位置だよ。 ・・まぁ中々に複雑な位置ではあるが、恋ではあり得ない。 心配しなくても、君やカンデラ君のライバルにはならないよ。」
笑いながらそう言うと、ジュール嬢は震える瞳で数秒俺を見つめた後、大きく視線を外しながら、
「・・ッ、本当に、鈍感な人ね・・」
と言う。 ??
―― 女性は、何考えているのかまるで分からないな・・・
俺は視線を上げて柔らかく輝く月を見る。 ユニが好きだと言う光景・・・
柔らかな月光に融けて行く感覚が、俺をあの瞬間に引き戻す。
ビット村からシティ行きの列車に乗り、フットさんから渡されたピコさんの手紙に目を通した瞬間、雷に打たれたような、あの衝撃 ―――
働かない頭で取り敢えず辿り着いた。
―― 俺はまず、自分の命を助けたのが誰なのか知る必要がある、と。
一刻も早く知らねばならない・・だが知るのが恐ろしい・・知りたくない・・
何とも言えない複雑な心境でようやくシティへ到着する。
地方からシティへ入るにはちょっと手続きが面倒だが、セルシウスが第2ゲートを通りやすくしておいてくれているはず・・・と思ったら、あの人影・・・セルシウスか? (老けたな!!) わざわざ来たのか・・・
「ハッ・・わわわ、ひぃぃっ!? な、何この・・犬!? デカッ・・!! 獅子かと思った・・・何かの撮影かと思ったら・・全く・・ワイルドな旅行系の広告かよ!・・いや、お前ぇ・・・(一応小声で)探偵なんだろ? 駅イチで目立ってるけど?」
「あぁ、この犬は目立つよな・・駅のペット預かりサービスに預け「クゥンッ!」
・・預けようかと思ったら犬がイヤイヤをする。 この犬、察知能力凄いな!
「随分懐かれてるな、モル! ユニもそうだったよな、何にでも懐かれてた。」
「・・・・・・」
「高校の寮の中で皆色々ペット飼ってたろ? 中には爬虫類系とか猛獣系飼ってる奴等もいて、たまにペット同士でケンカが勃発しそうになると、ユニが収めてたんだ。 どのペットにも懐かれてたから出来たんだ。 ・・ま、一番驚いたのはモルまで懐いた時だけどね! あの時はモルファンが全員ぶっ倒れて大変だったんだぜェ!?」
「・・・俺は猛獣扱いか。」
「イエス、そしてユニは天才猛獣使い。 そのユニからって体のメッセージが送られて来た。 こっち、俺の車で見せるよ。」
芝居がかった仕草と台詞で本日の主役のピコさんを恭しくダンスに誘うと、赤面して俯いてしまっていたピコさんがパァッと顔を輝かせて、
「はいっ! 喜んで!!」
と言い、差し出した俺の手に少しおずおずと自分の震える手を乗せる。 何だかこっちまで緊張するね。
ホラ、君達も! と目で合図すると、カンデラ君とジュール嬢もダンスの態勢を取る。 彼等は彼等で、果し合いの様な緊張感だ。
音楽に合わせて踊り出せば、単純な動作の繰り返しなのですぐにスムーズに踊れるようになるが・・・座っている人たちが手拍子をして来るのには何かむず痒さを感じる。 まぁ、ピコさんが楽しそうだからいいか・・・
「ピコさん、モルさんに恋してるわね!」
パートナーチェンジした途端、ジュール嬢が耳打ちして来る。 ・・は?
「彼女にとって俺は“ 父親の大切な人 ”って位置だよ。 ・・まぁ中々に複雑な位置ではあるが、恋ではあり得ない。 心配しなくても、君やカンデラ君のライバルにはならないよ。」
笑いながらそう言うと、ジュール嬢は震える瞳で数秒俺を見つめた後、大きく視線を外しながら、
「・・ッ、本当に、鈍感な人ね・・」
と言う。 ??
―― 女性は、何考えているのかまるで分からないな・・・
俺は視線を上げて柔らかく輝く月を見る。 ユニが好きだと言う光景・・・
柔らかな月光に融けて行く感覚が、俺をあの瞬間に引き戻す。
ビット村からシティ行きの列車に乗り、フットさんから渡されたピコさんの手紙に目を通した瞬間、雷に打たれたような、あの衝撃 ―――
働かない頭で取り敢えず辿り着いた。
―― 俺はまず、自分の命を助けたのが誰なのか知る必要がある、と。
一刻も早く知らねばならない・・だが知るのが恐ろしい・・知りたくない・・
何とも言えない複雑な心境でようやくシティへ到着する。
地方からシティへ入るにはちょっと手続きが面倒だが、セルシウスが第2ゲートを通りやすくしておいてくれているはず・・・と思ったら、あの人影・・・セルシウスか? (老けたな!!) わざわざ来たのか・・・
「ハッ・・わわわ、ひぃぃっ!? な、何この・・犬!? デカッ・・!! 獅子かと思った・・・何かの撮影かと思ったら・・全く・・ワイルドな旅行系の広告かよ!・・いや、お前ぇ・・・(一応小声で)探偵なんだろ? 駅イチで目立ってるけど?」
「あぁ、この犬は目立つよな・・駅のペット預かりサービスに預け「クゥンッ!」
・・預けようかと思ったら犬がイヤイヤをする。 この犬、察知能力凄いな!
「随分懐かれてるな、モル! ユニもそうだったよな、何にでも懐かれてた。」
「・・・・・・」
「高校の寮の中で皆色々ペット飼ってたろ? 中には爬虫類系とか猛獣系飼ってる奴等もいて、たまにペット同士でケンカが勃発しそうになると、ユニが収めてたんだ。 どのペットにも懐かれてたから出来たんだ。 ・・ま、一番驚いたのはモルまで懐いた時だけどね! あの時はモルファンが全員ぶっ倒れて大変だったんだぜェ!?」
「・・・俺は猛獣扱いか。」
「イエス、そしてユニは天才猛獣使い。 そのユニからって体のメッセージが送られて来た。 こっち、俺の車で見せるよ。」
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
シリアス成分が少し多めとなっています。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる