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37.ユニの命星
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「・・・フ・・・」
ケルビン叔父は力ない声を発し、大きな机の上に無造作に置かれていた小型の機器を手に取り操作し、
「君の機器に息子の命星を提供してくれた人物のファイルを送信した。 それで確認するといい。 要らなければ消去していい。 ――― どうだね? 久しぶりに夕食でも一緒に・・・オイ、もう確認するかね?」
俺はポケットから取り出した小型機器で早速ファイルをシティのデータと照合しようとするが、ユニの生存情報を全て消去したであろう相手の茶番に付き合ってやる余裕はないと気付く。
「・・・どうも。 急いでますのでこれで。 失礼しま「モルッ・・!!」
巨躯のわりに驚くほど素早く近付いて来ていた叔父に腕を取られ引き戻される。
・・ッ、バカ力が・・俺は掴まれた腕とは逆の手を叔父に向け・・
「グゥアッ!?」
巨躯の叔父が10メートルほど吹き飛ぶ。
「・・・なっ・・い、今のは・・!?」
体もそれなりに痺れているはずなのに倒れないのはさすがではある。
「・・ご安心を。 ただの微弱電撃波です。 叔父上の様子が変だったので放ちました。」
俺は手を引っ込めながら説明する。 当然謝罪はしない。
「・・すっ・・素晴らしい!! 君は、王家の祝福を・・第二のフェムトの超能力を開花させたのだな!!」
わなわなと震えながら叔父が叫ぶ。
わなわなと震えているのが感動のせいなのか電撃波のせいなのか判断がつかない。
「超能力は元々ありました。 ただ、全て生命維持に使っていたので、それ以外に使う余裕が無かっただけです。」
「王家の血を引いていても、超能力を開花させられる者は殆どいない。 君はフェムト一族の宝と言えよう!」
「これっぽっちの超能力があったって、何になると言うのです? 無いも同然だ。
こんな無意味なモノの為に、一族内で近親結婚が繰り返され、俺の様な体の子供が生まれ続けている。 こんな体に生まれた苦しみが分かりますか? 移植までの31年間、体が辛くない日は1日も無かった! いつ死ぬか分からない体では、心から愛する人がいても、引くしかなかった・・・! 未来も希望も愛する事さえも許されず絶望の世界で生きて・・いや死に損なっていた虚しさが、分かりますか・・・」
命星がダメになる原因3.元々命星が不完全だったり、働きが弱かったりする ―― そんな状態で生まれて来るのは、近親結婚により生まれた子供に圧倒的に多い。 俺の両親もいとこ同士だ。
「・・・それに、今の電撃波は第二のフェムトの超能力ではない・・・系統が違うし、手術前には無かった超能力だ。 ・・・叔父上、あなたも疑っていたはずだ。 第三のフェムトは幻ではなかった。 実在した。
ユニは第三のフェムトの末裔だ。 これは、第三のフェムトの超能力・・・俺に移植された、ユニの命星の超能力だ!」
ユニが第三のフェムトの末裔・・・自分で言いながら、納得する。 仕事柄、こんな風に潜在的には分かっていた事が無意識のまま口をついて出る、という事がよくある。
・・そうだ、ユニは・・・彼が纏う空気はあまりにも特別・・・王族慣れしている俺ですらハッと息を呑まずにいられない、特別な輝きを放つオーラ・・・そうだ・・・間違いない、ユニは幻の第三のフェムトの末裔だ。
「・・・!!!」
ケルビン叔父の顔が苦痛に歪む。 やはり、叔父もそう考えていたんだろう。
それなのに、
「・・・ユニという人の事を私は知らない・・・」
俯き、憔悴しきった様子で叔父が呟く。
・・・まだ白を切るのか! 忌々しさに眉根を寄せながら俺は叔父の部屋を後にする。 ドアを閉めた直後、ドアの向こうで巨躯が崩れ落ちる気配がしたが、誤魔化し続ける叔父に対する怒りは治まらない。 一体、ユニに何をしたんだ!? 何でッ
・・・何で、ここに・・・ 俺の体内に君の命星があるんだ・・・!?
叔父がどんなに巧妙に誤魔化そうとも、間違いなく君は俺の中に居ると言い切れる。 ・・・感じるから。 君を。 今思えば、3年前からずっと・・・
ケルビン叔父は力ない声を発し、大きな机の上に無造作に置かれていた小型の機器を手に取り操作し、
「君の機器に息子の命星を提供してくれた人物のファイルを送信した。 それで確認するといい。 要らなければ消去していい。 ――― どうだね? 久しぶりに夕食でも一緒に・・・オイ、もう確認するかね?」
俺はポケットから取り出した小型機器で早速ファイルをシティのデータと照合しようとするが、ユニの生存情報を全て消去したであろう相手の茶番に付き合ってやる余裕はないと気付く。
「・・・どうも。 急いでますのでこれで。 失礼しま「モルッ・・!!」
巨躯のわりに驚くほど素早く近付いて来ていた叔父に腕を取られ引き戻される。
・・ッ、バカ力が・・俺は掴まれた腕とは逆の手を叔父に向け・・
「グゥアッ!?」
巨躯の叔父が10メートルほど吹き飛ぶ。
「・・・なっ・・い、今のは・・!?」
体もそれなりに痺れているはずなのに倒れないのはさすがではある。
「・・ご安心を。 ただの微弱電撃波です。 叔父上の様子が変だったので放ちました。」
俺は手を引っ込めながら説明する。 当然謝罪はしない。
「・・すっ・・素晴らしい!! 君は、王家の祝福を・・第二のフェムトの超能力を開花させたのだな!!」
わなわなと震えながら叔父が叫ぶ。
わなわなと震えているのが感動のせいなのか電撃波のせいなのか判断がつかない。
「超能力は元々ありました。 ただ、全て生命維持に使っていたので、それ以外に使う余裕が無かっただけです。」
「王家の血を引いていても、超能力を開花させられる者は殆どいない。 君はフェムト一族の宝と言えよう!」
「これっぽっちの超能力があったって、何になると言うのです? 無いも同然だ。
こんな無意味なモノの為に、一族内で近親結婚が繰り返され、俺の様な体の子供が生まれ続けている。 こんな体に生まれた苦しみが分かりますか? 移植までの31年間、体が辛くない日は1日も無かった! いつ死ぬか分からない体では、心から愛する人がいても、引くしかなかった・・・! 未来も希望も愛する事さえも許されず絶望の世界で生きて・・いや死に損なっていた虚しさが、分かりますか・・・」
命星がダメになる原因3.元々命星が不完全だったり、働きが弱かったりする ―― そんな状態で生まれて来るのは、近親結婚により生まれた子供に圧倒的に多い。 俺の両親もいとこ同士だ。
「・・・それに、今の電撃波は第二のフェムトの超能力ではない・・・系統が違うし、手術前には無かった超能力だ。 ・・・叔父上、あなたも疑っていたはずだ。 第三のフェムトは幻ではなかった。 実在した。
ユニは第三のフェムトの末裔だ。 これは、第三のフェムトの超能力・・・俺に移植された、ユニの命星の超能力だ!」
ユニが第三のフェムトの末裔・・・自分で言いながら、納得する。 仕事柄、こんな風に潜在的には分かっていた事が無意識のまま口をついて出る、という事がよくある。
・・そうだ、ユニは・・・彼が纏う空気はあまりにも特別・・・王族慣れしている俺ですらハッと息を呑まずにいられない、特別な輝きを放つオーラ・・・そうだ・・・間違いない、ユニは幻の第三のフェムトの末裔だ。
「・・・!!!」
ケルビン叔父の顔が苦痛に歪む。 やはり、叔父もそう考えていたんだろう。
それなのに、
「・・・ユニという人の事を私は知らない・・・」
俯き、憔悴しきった様子で叔父が呟く。
・・・まだ白を切るのか! 忌々しさに眉根を寄せながら俺は叔父の部屋を後にする。 ドアを閉めた直後、ドアの向こうで巨躯が崩れ落ちる気配がしたが、誤魔化し続ける叔父に対する怒りは治まらない。 一体、ユニに何をしたんだ!? 何でッ
・・・何で、ここに・・・ 俺の体内に君の命星があるんだ・・・!?
叔父がどんなに巧妙に誤魔化そうとも、間違いなく君は俺の中に居ると言い切れる。 ・・・感じるから。 君を。 今思えば、3年前からずっと・・・
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