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41.カンデラ君、危機一髪!
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「ふんっ! ・・むぅっ!? ・・くぅっ・・!! な、何故・・!? き、君にはあの強力な麻酔銃が効かないのか!?」
麻酔弾を左頬に受けた俺から逃れようと病院長がもがくが、俺は一切手を緩めない。 ん? いや、緩めてもいいか。 そう思って病院長を解放する。
「すみませんでした。 いくら叔父が答える事を拒否しても、やはり叔父に訊くべきでした。」
「・・な、何故・・・モル、何故麻酔薬が効かない!?」
と叔父が訊いて来る。 正気か?
俺は特効薬が出来るまでは自力で、既にほぼダメになった命星をフォローしながら生命を維持させていた。 麻酔薬を無効化するぐらい造作ない。 こんな、説明するまでもない事に叔父が気付かなかったという事は、叔父にとってもっと重要な何かに気を取られているという事だろう。 それは一体何だ?
「叔父上、答えて頂きます。 あなたの答えたくない感情より、俺の聞かずにいられない気持ちの方が上回っている事を理解して下さい。」
「・・・・・・」
叔父が葛藤している様だ。 往生際が悪い。 ・・・面倒くさい・・
「あ、あの! ケルビン様! この恐い一団を何とかして頂けませんか!? 僕、僕がモルさんに説明します!」
デカいロボット警備員10体にグルッと取り囲まれて身動き出来ないカンデラ君が必死の声を上げる。
「・・あぁ、今どかす。」
そう言って叔父が小型機器を取り出し操作する。
ヴヴン・・・ ロボット警備員達は一斉に震え、一斉に動き出す。
「え!? ちょ!? ケルビン様っ!? 何かさらに向かって来るっていうか・・・ひっ!? 止め、止めて下さいっ!」
ロボット警備員は明らかにカンデラ君を襲おうとしている。 ガツガツと互いに体がぶつかるのも構わずに、我先にとカンデラ君に掴みかかろうとしている。
「・・なっ!? 制御できない!? ・・くっ・・ カ、カンデラ君!!」
叔父が小型機器を放り出してロボット警備員を力尽くでカンデラ君から引き離そうとする。 だが、いかに巨躯で頑強であってもロボットに敵うはずが無い。 叔父は必死だが一体のロボット警備員すら引き離せない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ!!」 カンデラ君がとうとう一体のロボット警備員に腕を掴まれてしまう! それを見た叔父が絶叫する・・!!
「カ、カンデラ君っ!! 腹を・・・ユニの命星を守ってくれぇっ!!」
――― 言った。 間違いないと思ってはいたが、心のどこかで違っていて欲しいと願っていた。 だが、やはり ―――
「クゥ~~ン・・」 犬が不安そうに俺を見上げる。 あぁ、分かってる。
「・・落ちろ。」
とにかく先ずはロボット警備員の暴走を止める為、特殊な信号となる電流をロボット警備員に放つ。 カンデラ君や叔父には何の害も無い微弱なものだ。
ヴヴン・・・ ロボット警備員達は一斉に震え、一斉に停止する。
「・・うっ・・うぅぅっ・・ふえぇ、ふひぃぃぃ・・・」
カンデラ君が変な声を出しながら、動かなくなったロボット警備員の手からソロソロと腕を引き抜き、ロボット達の隙間を乗り越えて、俺の前まで来ると涙目で抱きついて来る。 可哀想に、よほど恐かったんだね。
「し、死ぬかと思っ・・「カンデラ君っ!! 私の甥に抱きついてもらっては困る!!」
「「 ・・・・・・ 」」
思わずカンデラ君と二人で叔父をジト目で見る。
・・一体、誰のせいでカンデラ君がこんな恐い思いをしたと思っているのだ?
俺は叔父に構わずカンデラ君を優しく抱きしめてやる。
「・・なっ!? ・・モルっ!! お前は、私には一度だってそんな優しさを見せた事無いのにっ・・」
「微弱な電流で簡単に暴走し、微弱な電流で簡単にダウンする。 こんなお粗末なロボットで恐い思いをさせて何ですか。 反省して下さい。」
カンデラ君の背中を優しくさすりながら、ゴチャゴチャ言って来る叔父に反省を促すと、叔父がハッと目を見開き、
「・・今の暴走は君がやったのか・・!! “ 微弱な電流で ”!? ・・は・・何という・・ ハッ! カンデラ君! 離れなさい! そして怒りなさい! 聞いていただろう!? 今、君に恐い思いをさせたのは、そのモルなのだ!」
「・・あ・・あの・・僕・・・」
カンデラ君が俺の腕の中でボンヤリ答える。
「・・・聞いてませんでした「サッサと離れろーーーーーっっ!!」
足元から響き渡る様な叔父の必死のバス、アート作品の様に不自然な状態で微動だにしないロボット警備員達、部屋の主は部屋の隅っこにしゃがみ込みフルフル震えるのみ・・・大病院の院長室は実にシュール。
シュールで、面倒くさい・・・
麻酔弾を左頬に受けた俺から逃れようと病院長がもがくが、俺は一切手を緩めない。 ん? いや、緩めてもいいか。 そう思って病院長を解放する。
「すみませんでした。 いくら叔父が答える事を拒否しても、やはり叔父に訊くべきでした。」
「・・な、何故・・・モル、何故麻酔薬が効かない!?」
と叔父が訊いて来る。 正気か?
俺は特効薬が出来るまでは自力で、既にほぼダメになった命星をフォローしながら生命を維持させていた。 麻酔薬を無効化するぐらい造作ない。 こんな、説明するまでもない事に叔父が気付かなかったという事は、叔父にとってもっと重要な何かに気を取られているという事だろう。 それは一体何だ?
「叔父上、答えて頂きます。 あなたの答えたくない感情より、俺の聞かずにいられない気持ちの方が上回っている事を理解して下さい。」
「・・・・・・」
叔父が葛藤している様だ。 往生際が悪い。 ・・・面倒くさい・・
「あ、あの! ケルビン様! この恐い一団を何とかして頂けませんか!? 僕、僕がモルさんに説明します!」
デカいロボット警備員10体にグルッと取り囲まれて身動き出来ないカンデラ君が必死の声を上げる。
「・・あぁ、今どかす。」
そう言って叔父が小型機器を取り出し操作する。
ヴヴン・・・ ロボット警備員達は一斉に震え、一斉に動き出す。
「え!? ちょ!? ケルビン様っ!? 何かさらに向かって来るっていうか・・・ひっ!? 止め、止めて下さいっ!」
ロボット警備員は明らかにカンデラ君を襲おうとしている。 ガツガツと互いに体がぶつかるのも構わずに、我先にとカンデラ君に掴みかかろうとしている。
「・・なっ!? 制御できない!? ・・くっ・・ カ、カンデラ君!!」
叔父が小型機器を放り出してロボット警備員を力尽くでカンデラ君から引き離そうとする。 だが、いかに巨躯で頑強であってもロボットに敵うはずが無い。 叔父は必死だが一体のロボット警備員すら引き離せない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ!!」 カンデラ君がとうとう一体のロボット警備員に腕を掴まれてしまう! それを見た叔父が絶叫する・・!!
「カ、カンデラ君っ!! 腹を・・・ユニの命星を守ってくれぇっ!!」
――― 言った。 間違いないと思ってはいたが、心のどこかで違っていて欲しいと願っていた。 だが、やはり ―――
「クゥ~~ン・・」 犬が不安そうに俺を見上げる。 あぁ、分かってる。
「・・落ちろ。」
とにかく先ずはロボット警備員の暴走を止める為、特殊な信号となる電流をロボット警備員に放つ。 カンデラ君や叔父には何の害も無い微弱なものだ。
ヴヴン・・・ ロボット警備員達は一斉に震え、一斉に停止する。
「・・うっ・・うぅぅっ・・ふえぇ、ふひぃぃぃ・・・」
カンデラ君が変な声を出しながら、動かなくなったロボット警備員の手からソロソロと腕を引き抜き、ロボット達の隙間を乗り越えて、俺の前まで来ると涙目で抱きついて来る。 可哀想に、よほど恐かったんだね。
「し、死ぬかと思っ・・「カンデラ君っ!! 私の甥に抱きついてもらっては困る!!」
「「 ・・・・・・ 」」
思わずカンデラ君と二人で叔父をジト目で見る。
・・一体、誰のせいでカンデラ君がこんな恐い思いをしたと思っているのだ?
俺は叔父に構わずカンデラ君を優しく抱きしめてやる。
「・・なっ!? ・・モルっ!! お前は、私には一度だってそんな優しさを見せた事無いのにっ・・」
「微弱な電流で簡単に暴走し、微弱な電流で簡単にダウンする。 こんなお粗末なロボットで恐い思いをさせて何ですか。 反省して下さい。」
カンデラ君の背中を優しくさすりながら、ゴチャゴチャ言って来る叔父に反省を促すと、叔父がハッと目を見開き、
「・・今の暴走は君がやったのか・・!! “ 微弱な電流で ”!? ・・は・・何という・・ ハッ! カンデラ君! 離れなさい! そして怒りなさい! 聞いていただろう!? 今、君に恐い思いをさせたのは、そのモルなのだ!」
「・・あ・・あの・・僕・・・」
カンデラ君が俺の腕の中でボンヤリ答える。
「・・・聞いてませんでした「サッサと離れろーーーーーっっ!!」
足元から響き渡る様な叔父の必死のバス、アート作品の様に不自然な状態で微動だにしないロボット警備員達、部屋の主は部屋の隅っこにしゃがみ込みフルフル震えるのみ・・・大病院の院長室は実にシュール。
シュールで、面倒くさい・・・
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