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43.ユニと研究センター
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叔父が重い口を開く。
「“ フェムト研究センター ”がユニに目を付けたのは、彼がまだ15才 ――― 高校1年の時だ。 ある日、彼が瀕死の状態でここの病院の救急に担ぎ込まれて来た。」
!! それは・・!
「ユニが媚薬の過剰摂取で倒れた時ですね? ここの病院だったんですか・・・」
「シティの学生に怪しげな毒物を飲ませた事を隠したかったんだろう。
ユニを担ぎ込んで来た連中はユニをユニとしてではなく、旅の一座の一人として一座の誰かのIDで診察を受けさせようとしていたが、IDエラーで搬入口で揉めていた。 私はカメラでその様子を見ていたんだが、・・もちろん私の気のせいだと思うが、ユニが苦しい息の中、ふとカメラを見て、私と目が合った・・・と、私は感じた。
カメラは壁埋め込み型で、そこにあるとは分からない。
ユニはただ何の変哲もない壁を見ただけなんだろうが・・・目を離さないんだ・・私は雷に打たれた様に感じ・・すぐにユニを受け入れるよう命を出した。
それでやっと治療が始まったが・・救えないだろうと医師は言った。
媚薬の過剰摂取なんてカワイイものじゃない、致死量を遥かに超える毒物を飲まされていたんだ。」
「・・!? 媚薬を多めに飲まされてしまった・・と聞いていたが・・」
「媚薬ではなかった。 毒だった。 猛毒だ。 助かるわけがないと医師は断じたが、私は治療を継続するよう命じた。 そして驚いた事に彼は回復していった。」
「ユニは完全に回復する前に学校の門の前に放置されたようですが、何故・・」
「あぁ、忌々しい事に、病院から攫われたんだ。 ユニを連れて来た連中だろう。 病院に連れて来たくらいだから殺す気は無かったんだろうが、あれだって殺人行為だった。 まだ意識が混濁した状態で連れ出すとは・・・しかも放置したのか!?
・・・今からでも罰を与えたいものだな・・・」
「・・同感ですがユニが望みません。 それは諦めて下さい。」
その時病院にユニを担ぎこんだ連中の中には、フットさんもいただろう。
リーダーだったかもしれない。 一座を守る事が第一だったろうから、ナノの気が済む様に病院には連れて行っても、その後ユニが死のうがどうなろうが関係なかったんだろうな・・・
一座からすればユニは、一座の大黒柱であるナノを狂わせてしまった憎い少年だったろうし。 一座の中の誰かが媚薬を猛毒にすり替えたのかもしれない・・・
あぁ、いけない、これ以上考えると叔父に完全同意し、実行してしまう。
「・・それで、研究センターがユニに目を付けた、というのはやはり研究対象としてですよね?」
「あぁ、そうだ。 あの驚異の回復力・・・ぜひユニの体を詳しく研究させてほしいと・・・ゴホン、分かっているだろうが、イヤラシイ意味ではないぞ? いや、言うまでもない事だがな・・ゴホン、」
「言い訳がましい咳払いが耳障りです。 言いうまでもない事をわざわざ言うあたり、逆に下心満載だったと言っているような・・・怪しさしか感じませんね・・」
俺は不快を露わにする。
「そ、そうですよね! 誰にも何にも言われてないのに、わざわざ言うとか、アレですよね、疑っちゃいますよね!」
カンデラ君も激しく同意する。
・・・カンデラ君のボスは、雇い主の叔父よりもユニなんだな・・・今でも・・
「・・きっ、君達が! 私が“ ユニの体 ”と口にした瞬間、変な顔をするからだなぁっ・・・ゴホゴホッ・・・」
「「「 ・・・・・・・・ 」」」
赤面して無言になる男たち・・・
俺達はバカなのか・・・
「“ フェムト研究センター ”がユニに目を付けたのは、彼がまだ15才 ――― 高校1年の時だ。 ある日、彼が瀕死の状態でここの病院の救急に担ぎ込まれて来た。」
!! それは・・!
「ユニが媚薬の過剰摂取で倒れた時ですね? ここの病院だったんですか・・・」
「シティの学生に怪しげな毒物を飲ませた事を隠したかったんだろう。
ユニを担ぎ込んで来た連中はユニをユニとしてではなく、旅の一座の一人として一座の誰かのIDで診察を受けさせようとしていたが、IDエラーで搬入口で揉めていた。 私はカメラでその様子を見ていたんだが、・・もちろん私の気のせいだと思うが、ユニが苦しい息の中、ふとカメラを見て、私と目が合った・・・と、私は感じた。
カメラは壁埋め込み型で、そこにあるとは分からない。
ユニはただ何の変哲もない壁を見ただけなんだろうが・・・目を離さないんだ・・私は雷に打たれた様に感じ・・すぐにユニを受け入れるよう命を出した。
それでやっと治療が始まったが・・救えないだろうと医師は言った。
媚薬の過剰摂取なんてカワイイものじゃない、致死量を遥かに超える毒物を飲まされていたんだ。」
「・・!? 媚薬を多めに飲まされてしまった・・と聞いていたが・・」
「媚薬ではなかった。 毒だった。 猛毒だ。 助かるわけがないと医師は断じたが、私は治療を継続するよう命じた。 そして驚いた事に彼は回復していった。」
「ユニは完全に回復する前に学校の門の前に放置されたようですが、何故・・」
「あぁ、忌々しい事に、病院から攫われたんだ。 ユニを連れて来た連中だろう。 病院に連れて来たくらいだから殺す気は無かったんだろうが、あれだって殺人行為だった。 まだ意識が混濁した状態で連れ出すとは・・・しかも放置したのか!?
・・・今からでも罰を与えたいものだな・・・」
「・・同感ですがユニが望みません。 それは諦めて下さい。」
その時病院にユニを担ぎこんだ連中の中には、フットさんもいただろう。
リーダーだったかもしれない。 一座を守る事が第一だったろうから、ナノの気が済む様に病院には連れて行っても、その後ユニが死のうがどうなろうが関係なかったんだろうな・・・
一座からすればユニは、一座の大黒柱であるナノを狂わせてしまった憎い少年だったろうし。 一座の中の誰かが媚薬を猛毒にすり替えたのかもしれない・・・
あぁ、いけない、これ以上考えると叔父に完全同意し、実行してしまう。
「・・それで、研究センターがユニに目を付けた、というのはやはり研究対象としてですよね?」
「あぁ、そうだ。 あの驚異の回復力・・・ぜひユニの体を詳しく研究させてほしいと・・・ゴホン、分かっているだろうが、イヤラシイ意味ではないぞ? いや、言うまでもない事だがな・・ゴホン、」
「言い訳がましい咳払いが耳障りです。 言いうまでもない事をわざわざ言うあたり、逆に下心満載だったと言っているような・・・怪しさしか感じませんね・・」
俺は不快を露わにする。
「そ、そうですよね! 誰にも何にも言われてないのに、わざわざ言うとか、アレですよね、疑っちゃいますよね!」
カンデラ君も激しく同意する。
・・・カンデラ君のボスは、雇い主の叔父よりもユニなんだな・・・今でも・・
「・・きっ、君達が! 私が“ ユニの体 ”と口にした瞬間、変な顔をするからだなぁっ・・・ゴホゴホッ・・・」
「「「 ・・・・・・・・ 」」」
赤面して無言になる男たち・・・
俺達はバカなのか・・・
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