掟に縛られたブキミ令嬢ですが3大国宝イケメンを翻弄してます

ハートリオ

文字の大きさ
10 / 88

10 コレがソレ!?

しおりを挟む
兄妹の住まい。

その入口ドアを入った所にあるスペース。

そこが建物の中で1番広いスペースなので椅子を並べて話し合っていた5人。(実際話していたのはリーとザートの2人)

そのスペースの奥にある階段をトントンと下りながら兄に注意するのは

「姫!あぁ良かった!目覚めたんですね!」

リーが歓喜の声を上げる。

「はい!だって夕方6時ですから」
「あ、もうそんな時間になりますか」
「はい!‥まぁお兄様ったらお茶も出さずに」
「あぁいやお構いなく。それより目が覚めて本当に良かった」
「‥あ‥えぇとザート様…馬車で送って下さってありがとうございました」
「どういたしまして。…それよりまるで別人だね?動きも話し方も軽やかだ」
「実は夕方6時になると体が軽くなるんです」
「…そうだね。白い靄が無くなっているね」
「白い靄ですか??」

~~カクカクシカジカ~~

「‥えぇッ私に霊が憑りついているんですか!?」

青褪めるルミエ。

「それで日中体が重いのね…さっきは体を乗っ取られてしまったという事?‥えええ怖い、怖すぎる…ザート様は除霊とか出来ますか?」
「え‥あぁいや私は視えるだけでそういった事は‥」
「チッ」
「‥ラマンジェ嬢?今もしかして『使えない奴』って思った?」
「まさかそんな事。『意識低いなぁ』と思っただけです」
「「「「ッ!?」」」」

ザート一行が言葉を失う。

「だって『視える』ってことはソッチ系の能力が有るってことでしょう?何故その先の段階へ進もうと思わないのかなぁって」
「その先の段階…」
「ええ。私みたいに困った状態になっている人達を助けられるかもしれないのに」
「ッザート様は大変お忙しい御方なのだッ!」
「他の者には任せられない大切なお仕事で手一杯で‥」

スケットとツキーが声を荒げるのをザートが手で制する。

ルミエは不思議そうに呟く。

「『大切なお仕事』…困った人を助けるより大切な仕事があるかしら?」
「「ッ…」」

思わず言葉を失うスケットとツキー。

「そうだね…君はそういう人だ…
1週間前君を見掛けた時もそうだった。
君は動くのも辛そうだったのに――
袋が破れたのかバラバラと果物を落としてしまった老人を手伝ってあげていた」
「1週間前?…あぁ、確か青果マルシェ…」
「そうだよ。老人は身なりからして貧しい平民の様だったからだろうか…周りには人が大勢いたのに老人を手伝ったのは君だけだった――私は『美しい人とはこういう人を言うのだ』と心が震えて…それ以来ずっと君のことが気になって…何も手につかないし夜も眠れなくて…」
「ザート…ソレだぞ?」
「ん?何が‥ハッ!」

リーの険しい表情を見てザートは不意に気付く。

一目惚れ!?

「‥え‥コレが‥そ‥え‥」
(((ザ、ザート様!?)))

頬を染め瞳を泳がせるザート。

そんな姿を初めて見る3人組は目を丸くする。

その内の1人、ブレはいまだ床に這いつくばったままだ。

「――ところであなたはどうしたの?立てないの?」
「ハッ!‥さ、先程は大暴言を‥も、申し訳ありませんでしたッ!」

1番謝るべき相手に必死に謝るブレ。

ルミエは苦笑する。

「大暴言?まぁ何かしら?もしかして『ブキミ令嬢』?
…ふふふっ、そうみたいね?別にいいわ。皆がそう呼んでいるのを知っているし――それに王貴女の女王様達の罵詈雑言に比べたら何でもないもの」
「ああ、今日姫を突き飛ばして転ばせた挙句頭を踏もうとしていた女達の事ですか?」
「ええ。何故か1週間ぐらい前から急に私を敵視する様になって…」
「連中のボスはあの銀髪に瑠璃色の瞳の女ですね?あの醜い女…」
「「「「!!」」」」

銀髪に瑠璃色の瞳――
その色を持ち、現在王貴女に通う女性と言えば1人しか居ない。

ザート一行は信じられない面持ちになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

処理中です...