掟に縛られたブキミ令嬢ですが3大国宝イケメンを翻弄してます

ハートリオ

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11 醜い女

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公爵令嬢ヤンディ・ロップ――

煌めく銀髪にティスリー王族の血を引く瑠璃色の瞳を持つ彼女は唯一人の王太子妃候補。

ティスリー王立貴族女学園卒業間近の18才。

優秀で万人に平等に優しく人望も厚い彼女は類まれなる美しさと将来国母となる資質を兼ね備え…

王国イチの令嬢と名高い――

(さすがに盛り過ぎ――と言うか実際は他の令嬢と何ら変わりない平凡且つ退屈な令嬢。公爵令嬢としては普通に品行方正で落ち着いた令嬢だと思っていたが――体が不自由な状態のラマンジェ嬢を集団で害そうとしただと?…そう言えばあの時…)

ザートは1週間前の、馬車の中からルミエを見掛けた時のことを思い出す。

『何だアレは…酷いものだな』

青果マルシェをノロノロ歩くルミエを白く濃い靄の様なものが包んでいるのを見て思わず剣呑な声を出したザート。

馬車に同乗していたヤンディがそれに対して

『アレは貧乏伯爵令嬢ルミエですわ。何と私と同じ王貴女の3年ですの。あんなモノと同級生だなんて恥ずかしい限りですわ。アレは王貴女の恥ですの』

『アレでよく生きられるものだな…』

相当に体がきつい事だろうと思ったザートがそう口にすれば…

『まぁ!ほほほ、それはあんまり可哀想ですわ。あんな奇妙な格好もきっと何か訳があるのだと思いますもの…でも、そうですわね…私ならあんな珍妙なヘアスタイルをするぐらいなら死んだ方がマシですわ、ほほほ、ほほほほ!』

(――全く興味が無い故スルーしていたが確かそんな事を言っていたな…私がラマンジェ嬢の容姿を揶揄したとでも勘違いしたのだろうが…どうでもいいから気付いていなかったが吐き気がする女だな…)

アンニュイさも無表情も消え失せて険しい顔をするザート。

ルミエが兄を諫める様に言う。

「お兄様、『醜い女』って…公爵令嬢はティスリー…ううん、世界で1番美しいと言われているのよ?」
(…間違いないな…やはりヤンディ嬢の事を話している様だ…)
「心の醜さが顔に出ています。世界で1番醜い女です」
(リー…何と素晴らしい眼力だ…思い出してみれば確かにそうだ…今頃気付くなど)「お兄様ったら…あら、皆さん顔色が悪いようですけど‥」
「あ、いや、何でもない」

そう言いながらも反省と怒りでかなり顔色が悪いザート。

3人組も同様で…特に…

「腰が抜けてしまって元に戻らないのですね?」

ルミエにそう声を掛けられたブレ。

「はい…よく知りもせず他人の噂話を鵜呑みにしてラマンジェ嬢に失礼な事を言ってしまった罰です…確かに前髪は変ですが…それにさっきまでは様子も変でしたが…今のラマンジェ嬢は軽やかで気持ちの良い感じの良い令嬢です…それなのに私は…」
「あら、ふふふ、ありがとうございます。お礼におまじないを。はい!」
「‥ッ!?」

ルミエが倒れているブレの肩辺りをポンと叩いた瞬間、ザートが目を瞠る。

「ははは、ありがとうござい‥え!?」

ブレは(お茶目で可愛らしい御方だ)と思いながら礼を言っている途中でギョッとする。そして――

「え‥な‥これは‥!?」
と言いながらスッと立ち上がる。

「ブレ…治ったのか?」

ザートが信じられないという表情で尋ねる。

「はい…凄いおまじないです…一瞬で治った…と言うか…」
「嘘みたいに体が軽いのだろう?」

リーが頷きながら訊けば…

「!‥はい!その通りです!今まで生きて来た中で一番軽いんです!」

もう口を利いてもらえないと思っていたリーに訊かれ興奮気味に答えるブレ。

もちろん、自分の体に起きた不思議が興奮の一番の理由だが。

「姫のおまじないは凄いんだ。俺も凄く助かっているんだよ。危険な魔獣討伐の仕事を続けられるのも姫のおまじないのお陰で間違いないんだ」
「おまじない…」(ではない…何だ今視えたものは…)

ザートの視線が自然とルミエを探せばルミエは窓から外を見ていて…

振り返って静かに告げる。

「嵐が来ます」
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