えっ私人間だったんです?

ハートリオ

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02 場違いな存在

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「わぁ~~、凄い!
牛…馬も羊も!
ふふっ、可愛い!」

カーヌス王宮を出立してから1週間…
延々と続く田園風景や酪農地帯を飽きもせずうっとりと眺めるのは【魔力】。

アルデアに『私の【魔力】』と呼ばれる少女は頭からスッポリ灰色のベールを被っており、かなり不気味だが。

「うわ、何か跳んだ!
ウサギだ!可愛い!」

キャッキャと燥ぐ姿にはほのぼのとしたものがある。
大抵の人は暫くすれば飽きてしまう単調な風景を楽しみ続けられるのは…

「はぁ~~、
遠出なんて初めて…
王宮の地下の自室か…
アルデア様に侍って王宮内のどこかか…
魔獣が出没した場所に魔獣退治に行くかしかした事無いから…
ゆっくり風景を見られるなんて素敵…
空気も美味しいな…」

そう、ジメジメした地下室か
傍若無人なアルデアに緊張し続ける王宮内か
魔獣が出没した瘴気だらけの場所しか知らないからである。

(このままずっと旅していたいな…)

そんな願いが叶う訳もなく。
その1週間後、一行はアウレウス帝国帝都にある大宮殿に到着する。

その翌日午後3時、宮殿の宴の間では歓迎パーティーが開かれている。
「アルデア・カーヌス第一王女殿下御一行様ご入場~」

簡単な紹介を受けて宴の間に足を踏み入れるアルデア一行。
アルデアの半歩後ろには数名の通訳と侍女達
その後に護衛騎士達が続き――
総勢10名程の集団はすこぶる目立つ。

と言っても――

アラウダ・スパーディクス
スパーディクス王国第一王女御一行様

オルロ・アルブム
アルブム王国第二王女御一行様

コルウス・アートルム
アートルム王国第一王女御一行様

――と、アルデア同様帝国の招集に応じた属国の『魔力持ち』達は皆似たり寄ったりの小集団でパーティーに参加している。

だが、アルデア一行には他の集団にはいない『不気味な存在』がいる。
集団の最後尾を歩く頭からスッポリと灰色のベールを被った者だ。

全身を隠した奇妙な者の存在は人々の視線を集める。

当の本人は悪目立ちしている事に気付いていない様で…

(わぁ~~~、
キラキラな世界!
帝国貴族は皆キラキラだぁ…
でも何と言っても各国の姫達!
それぞれの魔力の輝きが素晴らしいわ!
クスクス…魔力達がそれぞれの得意魔法を主張してる…
綺麗、面白い!)

と、その心中は大興奮状態である。

(出席して良かった…
私は【魔力】だからパーティーには場違いだとアルデア様に言ったら
『どんな形でも皆より目立って皇太子にアピールするのよ!
お前は黙ってその不気味な姿を晒せばいいの!』
と言われて…
こんな華やかな場は恐れ多いけど姫達の魔力を見れて良かった♪)

見た目からは考えられないくらいほっこりしている【魔力】だが…

ザワザワザワッ‥

小さいが濃度の濃いざわめきが起こり――

「いらっしゃるわ!」
「こ、心の準備がッ」
「きゃあ、きゃあぁ」

――など、特に令嬢の高音の歓声が目立つ中

パパパパ~~!
ラッパが鳴らされ

「恐れ多くも世界を照らすアウレウス帝国の若き太陽、
ファルコ・アウレウス皇太子殿下、ご入場~~~!」
「続きましてアウレウス帝国の若獅子、
パーウォー・アウレウス第二皇子殿下、ご入場~~~!」
「続きましてアウレウス帝国の若虎、
ピークス・アウレウス第三皇子殿下、ご入場~~~!」
「続きましてアウレウス帝国の若牛、
アンセル・アウレウス第四皇子殿下、ご入場~~~!」

帝国が誇る4皇子。
いずれも17才。
いずれも魔力持ち!
美しく才気溢れる異母兄弟達の御登場である。

ザッ!

パーティー会場にいる全員が膝を折り腰を低くして敬意を表す。
それは『お客様』である各国王女達とて同じである。
だが――

(‥す、凄い‥
何?皇太子の魔力量!
質!輝き!
1人だけ桁違い、
異常レベル‥
だけど…辛そう…)

【魔力】はショックで立ち尽くしてしまった。

皇太子ファルコが口を開く。

「皆、楽に」

低く厳かな声は広い会場の隅々にまで届く。
それを合図に皆姿勢を元に戻す。

「そうそう、
パーティーを楽しんで」

第三皇子ピークスが明るい声で言えば、会場には音楽が戻り人々の笑顔が戻る。
ざわめきが戻った会場の中、皇太子が【魔力】の前に来る。

(え?何?うわ、)
「姿を隠す理由は?」

【魔力】に問う皇太子ファルコ。

「我等の前で身を隠す行為は『腹に一物ある』と思われても仕方のない事だ」

と続ける第二皇子パーウォー。

「う~~んそうだね…
納得できる理由が無いとアウトかな」

と苦笑いする第三皇子ピークス。

「早く説明した方がいいよ。
あの人達本気だから」

ボソッと言う第四皇子アンセル。

(あぁ疑われてる…
この格好が問題なのね…
やっぱり来るんじゃなかった…
でも私はアルデア様の【魔力】だから。
命令に背けないからどうしようもない。
この格好も
ここにいることも)

灰色のベールの下で
目を閉じ溜息をつく【魔力】である。
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