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20 王女と護衛の出会い
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頬が熱い…何だか足元がフワフワする感じ…
(ウィースさんたら何て表情するの…もう…いつもは無表情なのに怒ったり真剣な顔をしたり…素敵に笑ったり…もしかしてそんな色々な表情って私だけに…って私ったら何を考えているの!?テナークス殿下にまるで相手にしてもらえなかったのだから対策を練らなきゃなのに!…そう言えばテナークス殿下はいつも不機嫌だったわね…昔からそっぽを向かれていたっけ…褒めてくれた事も1度も無い…確か3才で初めてお会いした時開口一番私の色がぼやけているとか仰ってたっけ…もしかしてお会いした瞬間から嫌われていたのかしら…他の男性を知らなかったから気付かなかったけど、15年間の言動を思い起こせば私嫌われていたっぽいわ…うん、間違いない!…だってウィースさんは…)
王太子の事を考えなければと思考の軌道修正をしたはずのピウスはまたいつの間にか護衛に思考が奪われる。
(…さっきだっていっぱい褒めてくれた…ふふっ、悪いことをしたわね、私が催促した様なものだもの…でも…たとえお世辞でも…)
ピウスは無意識にフッと小さく息を吐く。
(やっぱり嬉しいのよ…)
くすぐったい様な不思議な気持ちに知らず口元が緩んでしまうピウス。
いつもは長く感じる塔の天辺の部屋までの階段をいつの間にか登り切り質素な部屋のドアを開けると
「――あら…」
テーブルの上にあのバスケットが置いてある。
開けてみれば中は空っぽで底にカードが。
『ご馳走様。
君の料理は最高だ。
全部美味かったが特に青野菜と赤野菜と海老のサンドが最高だった。
こんなに美味いサンドイッチはクソ王太子には勿体ない』
くすくす笑いながら暖炉でカードを燃やすピウス。
(とっておきたかったけど…)
内容が内容なだけに誰かの目に触れればアクーメンが窮地に立たされてしまうので仕方ない。
灰になるカードを見ながらピウスは6ヶ月前の出会いを思い出す。
奉仕活動の一つ、炊き出しで出かけた広場。
ピウスは修道女達とテントの中で炊き出し準備中だった。
そこへ食料品を届けに来たのが今日護衛を務めてくれたウィースとその部下アクーメン達だった。
彼らは大きな商会…定期的に食料品を修道院に寄付してくれているベネウォルス商会で働いていて。
いつもはピウス達が炊き出し会場に着けばもう食料品は届いているのだがその日はたまたま食料品が届けられるのが遅れ。
たまたま配達員が不足した為いつもは専門的な部署を担当しているウィース達が食料品を届けた。
『たまたま』が重なった偶然の出会いだったのだ。
ウィース達は普段は世界中を飛び回っていて。
最近各地で耳にするのが『アッロガーンスの修道院には聖女のように清らかで見目麗しい王女がいて炊き出しなんかをしているらしい』という噂。
そんな夢物語は定期的に現れては消えるもので。
なので全く信じていなかったウィース達だったが…
「まぁ!ありがとう!お肉に卵、チーズにバター…小麦粉もお野菜もこんなにたくさん…!きっとみんな笑顔になることね!本当にありがとう!」
そう言ってすぐにパンを作り出した王女に商会の男達はあんぐり。
あまりにも高貴で
あまりにも美しく
あまりにも華やか
そんな規格外の美少女は無垢の微笑みを浮かべて
市井の者のように袖をまくれば
市井の者とは違う白く細くしなやかな腕
そんなハラハラドキドキする尊すぎる腕で当然の様に小麦粉を捏ねる姿に
男達は人生最大の衝撃を受けた――
――事にピウスは全く気付いていないのだが…
(ウィースさんたら何て表情するの…もう…いつもは無表情なのに怒ったり真剣な顔をしたり…素敵に笑ったり…もしかしてそんな色々な表情って私だけに…って私ったら何を考えているの!?テナークス殿下にまるで相手にしてもらえなかったのだから対策を練らなきゃなのに!…そう言えばテナークス殿下はいつも不機嫌だったわね…昔からそっぽを向かれていたっけ…褒めてくれた事も1度も無い…確か3才で初めてお会いした時開口一番私の色がぼやけているとか仰ってたっけ…もしかしてお会いした瞬間から嫌われていたのかしら…他の男性を知らなかったから気付かなかったけど、15年間の言動を思い起こせば私嫌われていたっぽいわ…うん、間違いない!…だってウィースさんは…)
王太子の事を考えなければと思考の軌道修正をしたはずのピウスはまたいつの間にか護衛に思考が奪われる。
(…さっきだっていっぱい褒めてくれた…ふふっ、悪いことをしたわね、私が催促した様なものだもの…でも…たとえお世辞でも…)
ピウスは無意識にフッと小さく息を吐く。
(やっぱり嬉しいのよ…)
くすぐったい様な不思議な気持ちに知らず口元が緩んでしまうピウス。
いつもは長く感じる塔の天辺の部屋までの階段をいつの間にか登り切り質素な部屋のドアを開けると
「――あら…」
テーブルの上にあのバスケットが置いてある。
開けてみれば中は空っぽで底にカードが。
『ご馳走様。
君の料理は最高だ。
全部美味かったが特に青野菜と赤野菜と海老のサンドが最高だった。
こんなに美味いサンドイッチはクソ王太子には勿体ない』
くすくす笑いながら暖炉でカードを燃やすピウス。
(とっておきたかったけど…)
内容が内容なだけに誰かの目に触れればアクーメンが窮地に立たされてしまうので仕方ない。
灰になるカードを見ながらピウスは6ヶ月前の出会いを思い出す。
奉仕活動の一つ、炊き出しで出かけた広場。
ピウスは修道女達とテントの中で炊き出し準備中だった。
そこへ食料品を届けに来たのが今日護衛を務めてくれたウィースとその部下アクーメン達だった。
彼らは大きな商会…定期的に食料品を修道院に寄付してくれているベネウォルス商会で働いていて。
いつもはピウス達が炊き出し会場に着けばもう食料品は届いているのだがその日はたまたま食料品が届けられるのが遅れ。
たまたま配達員が不足した為いつもは専門的な部署を担当しているウィース達が食料品を届けた。
『たまたま』が重なった偶然の出会いだったのだ。
ウィース達は普段は世界中を飛び回っていて。
最近各地で耳にするのが『アッロガーンスの修道院には聖女のように清らかで見目麗しい王女がいて炊き出しなんかをしているらしい』という噂。
そんな夢物語は定期的に現れては消えるもので。
なので全く信じていなかったウィース達だったが…
「まぁ!ありがとう!お肉に卵、チーズにバター…小麦粉もお野菜もこんなにたくさん…!きっとみんな笑顔になることね!本当にありがとう!」
そう言ってすぐにパンを作り出した王女に商会の男達はあんぐり。
あまりにも高貴で
あまりにも美しく
あまりにも華やか
そんな規格外の美少女は無垢の微笑みを浮かべて
市井の者のように袖をまくれば
市井の者とは違う白く細くしなやかな腕
そんなハラハラドキドキする尊すぎる腕で当然の様に小麦粉を捏ねる姿に
男達は人生最大の衝撃を受けた――
――事にピウスは全く気付いていないのだが…
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