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64 あの時、王女の心の中
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自分がしっかりしていれば問題なく避けられるはずだと思っていた
でも恋はそんな生易しいものじゃなかった
ピウスはどうしようもなく恋に落ちてしまったのだ。
そして卒業から1ヶ月前の炊き出しの日
偶然が重なってウィースさんと2人きりになってしまい…
止められなかった
結ばれてしまった――
そんな事はその1度だけ。
きちんと婚約解消するまで待ってと言った。
既に別れを宣言されているのだから後は正式に書面にサインするだけだと。
それなのに待てど暮らせど婚約解消の呼び出しが来ない。
卒業を6日後に控えてなお王太子から正式に婚約解消の申し入れが来ない。
あれ?
もしかしてアレ?
卒業パーティーで新恋人と共に婚約破棄宣言するアレ?
それでもいいけど…
最悪なのは王太子に婚約解消する気が無い場合。
あれだけハッキリ別れを宣言しておいてそれはないだろう…
とは言い切れない。
だったらもうこちらから婚約解消を申し出るしかない!
こちらに非は無いのだし、それでも王妃辺りに多少難癖つけられるかもしれないけど…自由の為だもの!
そう決意した瞬間、妖精のお告げがあった。
ピウスは妖精に愛されし者だから
注意や助言を妖精がお告げとして教えてくれるのだ。
~~~お腹に赤ちゃんがいるよ!…ウィースとの赤ちゃんを授かったんだよ!…愛するピウス、大事にしてね!~~~
それが妖精のお告げ。
そこでピウスは青褪めて考え直さなければならなくなった。
王妃に嫌われているのは自覚している。
自分から婚約解消を申し出たら王妃に何をされるか分からない。
王妃は既に1度ピウスに対して前科がある。
3年前、ピウスは媚薬(致死量)を盛られた――
自分の身一つなら多少の困難…例えば投獄されたりしても何とか乗り切ろうと思っていたけど。
新しい命を授かり自分だけの問題ではなくなったピウスは焦る。
私はお腹の赤ちゃんを守らなければならない!
それだけは絶対、絶対に――!
赤ちゃんを一切の危険に晒さずに婚約解消するには――
分からない!
どうしたらいいの!?
6日後には卒業なのに――
ピウスは修道院の質素な部屋で途方に暮れてしまった。
名案は思い浮かばず出るのは溜息ばかり――そんなピウスのところへアクーメンがウィースからの手紙を届けてくれた。
そこには王太子が半年前から男爵令嬢と親密だという事
男爵令嬢が妊娠している事
しかももう4ヶ月目に入っているという事が書かれていた。
王太子は私に別れを告げた直後すぐに妃となる人を選んでいた!
王太子の求める『優しい女』を。
だけど何故か王太子は私との婚約を正式に解消して来ない。
だったらちゃんとしてもらおう!
男爵令嬢にちゃんと自分の権利を主張してもらおう!
男爵令嬢が私に対して何も言って来ないのは妃になる事を望まず愛妾に甘んじようとしているからかもしれない。
そんなの、男爵令嬢もお腹の赤ちゃんも可哀想だ。
愛妾は使い捨てにされがちだし妃の子と愛妾の子では扱いがまるで違う。
守る人員が圧倒的に少ないから命の危険度がグッと上がるのだ。
王太子は愛しい人にその事を説明していないのね…
とにかく、男爵令嬢には権利を主張してもらう。
そして、その結果として王太子と私は自動的に婚約解消となる。
それなら王妃も私(と赤ちゃん)に手出し出来ないはず。
その為には――
男爵令嬢に愛妾とその子の立場の危うさを知ってもらい妃になるべく行動を…
妊娠している事を公表し妃に相応しいのは自分だと主張してもらわないといけない。
その為には――
愛妾の立場の弱さとその子供の不遇さを噂にして広めて。
そして大切なのは――書類上ではまだ正式な婚約者である私が王太子を振り向かせ、結果焦ってもらわないといけない。
ほんの少しだけでいい。
それだけで男爵令嬢のやる気スイッチはオンになり行動を起こしてくれるだろう。
だって彼女も絶対に守りたいはず。
お腹に宿った新しい命を。
心は…やるべき事は決まった!
私はウィースさんの手紙への返事を書き、アクーメンさんに託した。
でも恋はそんな生易しいものじゃなかった
ピウスはどうしようもなく恋に落ちてしまったのだ。
そして卒業から1ヶ月前の炊き出しの日
偶然が重なってウィースさんと2人きりになってしまい…
止められなかった
結ばれてしまった――
そんな事はその1度だけ。
きちんと婚約解消するまで待ってと言った。
既に別れを宣言されているのだから後は正式に書面にサインするだけだと。
それなのに待てど暮らせど婚約解消の呼び出しが来ない。
卒業を6日後に控えてなお王太子から正式に婚約解消の申し入れが来ない。
あれ?
もしかしてアレ?
卒業パーティーで新恋人と共に婚約破棄宣言するアレ?
それでもいいけど…
最悪なのは王太子に婚約解消する気が無い場合。
あれだけハッキリ別れを宣言しておいてそれはないだろう…
とは言い切れない。
だったらもうこちらから婚約解消を申し出るしかない!
こちらに非は無いのだし、それでも王妃辺りに多少難癖つけられるかもしれないけど…自由の為だもの!
そう決意した瞬間、妖精のお告げがあった。
ピウスは妖精に愛されし者だから
注意や助言を妖精がお告げとして教えてくれるのだ。
~~~お腹に赤ちゃんがいるよ!…ウィースとの赤ちゃんを授かったんだよ!…愛するピウス、大事にしてね!~~~
それが妖精のお告げ。
そこでピウスは青褪めて考え直さなければならなくなった。
王妃に嫌われているのは自覚している。
自分から婚約解消を申し出たら王妃に何をされるか分からない。
王妃は既に1度ピウスに対して前科がある。
3年前、ピウスは媚薬(致死量)を盛られた――
自分の身一つなら多少の困難…例えば投獄されたりしても何とか乗り切ろうと思っていたけど。
新しい命を授かり自分だけの問題ではなくなったピウスは焦る。
私はお腹の赤ちゃんを守らなければならない!
それだけは絶対、絶対に――!
赤ちゃんを一切の危険に晒さずに婚約解消するには――
分からない!
どうしたらいいの!?
6日後には卒業なのに――
ピウスは修道院の質素な部屋で途方に暮れてしまった。
名案は思い浮かばず出るのは溜息ばかり――そんなピウスのところへアクーメンがウィースからの手紙を届けてくれた。
そこには王太子が半年前から男爵令嬢と親密だという事
男爵令嬢が妊娠している事
しかももう4ヶ月目に入っているという事が書かれていた。
王太子は私に別れを告げた直後すぐに妃となる人を選んでいた!
王太子の求める『優しい女』を。
だけど何故か王太子は私との婚約を正式に解消して来ない。
だったらちゃんとしてもらおう!
男爵令嬢にちゃんと自分の権利を主張してもらおう!
男爵令嬢が私に対して何も言って来ないのは妃になる事を望まず愛妾に甘んじようとしているからかもしれない。
そんなの、男爵令嬢もお腹の赤ちゃんも可哀想だ。
愛妾は使い捨てにされがちだし妃の子と愛妾の子では扱いがまるで違う。
守る人員が圧倒的に少ないから命の危険度がグッと上がるのだ。
王太子は愛しい人にその事を説明していないのね…
とにかく、男爵令嬢には権利を主張してもらう。
そして、その結果として王太子と私は自動的に婚約解消となる。
それなら王妃も私(と赤ちゃん)に手出し出来ないはず。
その為には――
男爵令嬢に愛妾とその子の立場の危うさを知ってもらい妃になるべく行動を…
妊娠している事を公表し妃に相応しいのは自分だと主張してもらわないといけない。
その為には――
愛妾の立場の弱さとその子供の不遇さを噂にして広めて。
そして大切なのは――書類上ではまだ正式な婚約者である私が王太子を振り向かせ、結果焦ってもらわないといけない。
ほんの少しだけでいい。
それだけで男爵令嬢のやる気スイッチはオンになり行動を起こしてくれるだろう。
だって彼女も絶対に守りたいはず。
お腹に宿った新しい命を。
心は…やるべき事は決まった!
私はウィースさんの手紙への返事を書き、アクーメンさんに託した。
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