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保健室で…
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そうこう考えているうちに、保健室に着いた。
あいにく保健室の先生は不在。
亜紀兎はひとまず俺をベッドに寝かせると、素早く職員室に電話をし、冷えたタオルと、湿布、それから包帯を持ってきた。
どうやら自分で、俺を手当するつもりのようだ。
「兄さん、ひとまず湿布貼るよ。先生は後から来るって、さっき電話で言ってた。」
窓から来るかすかな光と、風が気持ちよくて、隣には俺の好きな人。
あゝ、このままずっと時間が止まればいいのに。
その時ふと思った。時間といえば、今何時なんだ?もうとっくに授業が始まっているはずだ。
それに、亜紀兎は告白の途中だったんだ。
途端に罪悪感が込み上げてくる。
俺は人の告白を盗み聞きした上、亜紀兎を突き飛ばして逃げ、腰を抜かしてここまで運んでもらった奴だ。
凄く迷惑をかけた。
それに亜紀兎は、どうして俺を助けにきた❓
「なあ、どうして俺を助けたんだ?」
「え⁉︎なんでって?」
「だって俺、お前らの会話盗み聞きして、その挙句オマエ突き飛ばして逃げたし、昨日も酷いこと言った…。」
「そのことならもういいよ。会話だって、たまたま聞こえちゃったんでしょ?兄さんがそんなことする人じゃないってこと、僕だって分かってるから。それにこれは、僕が勝手にしたまでというか……とにかく!兄さんは安静にしてて!」
「でも…。屋上に女子待たせたままなんだろ?」
「だけど、骨折してる人のが優先だよ!」
頭の中で葛藤する。このまま亜紀兎に、ただ腰が抜けただけと言わなければ、亜紀兎はずっとここにいてくれるだろう。でも………。そんなの、意地が悪い。何より、俺らしくない!
「あの、実は俺、骨折してない‼︎ただ腰抜かしただけ‼︎…だから…はやく女子のとこ行け!」
力を振り絞って言った。亜紀兎は一瞬驚いた顔をして、わかった、すぐ戻る!と言って保健室を出た。
タッタッタッタッタッ……
足音が小さくなっていく。
行ってしまった…。俺はいつもそうだ。要領がよくない。だから言わなくてもいいことまで言って損してしまう。
きっとこの後亜紀兎は、告白に返事をして、帰ってくるんだろう。もちろん答えはYES。
失恋決定だ。そりゃあそうだ。今まで亜紀兎への気持ちに蓋をして、嫌いだと思い込んで、勝手にキツく当たって…。仮に、先に告白していたとしても、フラれるに決まってる。
キュンと、胸の奥が痛くなる。恋するって、こんなに胸がせわしなく動くものなのか…。
次第に鼻の奥もツンとしてくる。
「っ!!!?」
手に溢れ落ちた涙で顔をあげた。
(嘘だろ?俺、泣いてる…‼︎)
気づいたら、次から次へと涙が溢れてくる。
もう止められない。
「はあ、はあっ!……と、止…まれ‼︎ばかア…う、うわあああああん」
*
何分ほど泣いただろう。涙が乾ききった頃には、服と布団はぐしょぐしょに濡れていて、顔は涙でベタベタだった。
「ガラガラッ」
扉の開く音がして、急いで涙を拭う。
先生かと思ったが、入ってきたのは亜紀兎だった。
「兄さん、ただいまー。戻ったよ~?………って、ええ⁉️」
俺の泣き姿を見た亜紀兎は、酷く驚いた様子で駆け寄ってきた。
「み、見るな!これは違う、別に、そのっ……‼︎」
あいにく保健室の先生は不在。
亜紀兎はひとまず俺をベッドに寝かせると、素早く職員室に電話をし、冷えたタオルと、湿布、それから包帯を持ってきた。
どうやら自分で、俺を手当するつもりのようだ。
「兄さん、ひとまず湿布貼るよ。先生は後から来るって、さっき電話で言ってた。」
窓から来るかすかな光と、風が気持ちよくて、隣には俺の好きな人。
あゝ、このままずっと時間が止まればいいのに。
その時ふと思った。時間といえば、今何時なんだ?もうとっくに授業が始まっているはずだ。
それに、亜紀兎は告白の途中だったんだ。
途端に罪悪感が込み上げてくる。
俺は人の告白を盗み聞きした上、亜紀兎を突き飛ばして逃げ、腰を抜かしてここまで運んでもらった奴だ。
凄く迷惑をかけた。
それに亜紀兎は、どうして俺を助けにきた❓
「なあ、どうして俺を助けたんだ?」
「え⁉︎なんでって?」
「だって俺、お前らの会話盗み聞きして、その挙句オマエ突き飛ばして逃げたし、昨日も酷いこと言った…。」
「そのことならもういいよ。会話だって、たまたま聞こえちゃったんでしょ?兄さんがそんなことする人じゃないってこと、僕だって分かってるから。それにこれは、僕が勝手にしたまでというか……とにかく!兄さんは安静にしてて!」
「でも…。屋上に女子待たせたままなんだろ?」
「だけど、骨折してる人のが優先だよ!」
頭の中で葛藤する。このまま亜紀兎に、ただ腰が抜けただけと言わなければ、亜紀兎はずっとここにいてくれるだろう。でも………。そんなの、意地が悪い。何より、俺らしくない!
「あの、実は俺、骨折してない‼︎ただ腰抜かしただけ‼︎…だから…はやく女子のとこ行け!」
力を振り絞って言った。亜紀兎は一瞬驚いた顔をして、わかった、すぐ戻る!と言って保健室を出た。
タッタッタッタッタッ……
足音が小さくなっていく。
行ってしまった…。俺はいつもそうだ。要領がよくない。だから言わなくてもいいことまで言って損してしまう。
きっとこの後亜紀兎は、告白に返事をして、帰ってくるんだろう。もちろん答えはYES。
失恋決定だ。そりゃあそうだ。今まで亜紀兎への気持ちに蓋をして、嫌いだと思い込んで、勝手にキツく当たって…。仮に、先に告白していたとしても、フラれるに決まってる。
キュンと、胸の奥が痛くなる。恋するって、こんなに胸がせわしなく動くものなのか…。
次第に鼻の奥もツンとしてくる。
「っ!!!?」
手に溢れ落ちた涙で顔をあげた。
(嘘だろ?俺、泣いてる…‼︎)
気づいたら、次から次へと涙が溢れてくる。
もう止められない。
「はあ、はあっ!……と、止…まれ‼︎ばかア…う、うわあああああん」
*
何分ほど泣いただろう。涙が乾ききった頃には、服と布団はぐしょぐしょに濡れていて、顔は涙でベタベタだった。
「ガラガラッ」
扉の開く音がして、急いで涙を拭う。
先生かと思ったが、入ってきたのは亜紀兎だった。
「兄さん、ただいまー。戻ったよ~?………って、ええ⁉️」
俺の泣き姿を見た亜紀兎は、酷く驚いた様子で駆け寄ってきた。
「み、見るな!これは違う、別に、そのっ……‼︎」
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