運び屋 青木瞬介の日常

水月美都(Mizuki_mitu)

文字の大きさ
14 / 17
ACT1

しおりを挟む
「真哉、やっとジイさんに会えるな」
 待ち合わせ当日。
 俺と真哉はホテルのロビーのフカフカ沈み込む上等なソファーに座り、待ち人が来るのを今か今かと待ち望んでいた。
 真哉は緊張してるのか、小さな手でズボンの膝を皺になるぐらいギュッと掴んでいた。
 玲児とは距離を置いて座る。若い男と子供を連れてるとジイさんが警戒すると思ったからだ。
 やがて玲児がスマホを見ると立ち上がり入口に向かって歩き出した。
 見ると大股で玲児に近づいて来る男がいる。
 年齢よりも若々しく大柄な男が玲児を認めると人目も憚らず抱き寄せ熱い抱擁を交わした。
 思わず隣に座っている真哉の方を伺うが、ビックリするでもなく大人しくしている。逆に俺が慌ててるのを見て不思議そうにしている。
「真哉、行くか」
 頷く真哉の手を取りジイさん達の所へ近付いて行く。もう少しでジイさんにバトンタッチ出来ると思うと頬が緩みそうになる。
 だが、そう上手く事が運ばなかった。
 背中に刺すような視線を感じるや否や振り返ると、高そうなスーツをビシッと着こなし鋭い眼光を眼鏡の奥から飛ばしながら男が立ち上がり憤懣やる方ないとでも言いたげに近付いてくる。
 その時、真哉が呟いた。
「お父さん……」
 は? お父さんだって?! どういう事なんだ? 修羅場になりそうな予感に慄いていると真哉父は真哉を一瞥して首を横に振るとジイさんと玲児の所へ一直線に歩いて行く。
 そうとも知らずにジイさんは、お気楽に玲児と手を握ったままイチャついていた。
「父さん。あなたという人は……」 
 何だか一悶着ありそうで、厄介を通り越して楽しくなりそうな予感がしたので真哉を連れて現場へと向う。
「あら、トウヤさんの息子さん?」
「あなたは父とどんな関係なんですか? 父さん、年甲斐もなく自分の息子より若い女と……」
「和哉、久しぶりだなー」
 物凄く話が噛み合って無い。必死なのは真哉父だけで、本来修羅場の筈のこの空間にはノンビリとした空気が漂っている。
「うーん、どんな関係と聞かれても……。オトモダチ?」
「そんなぁ。レイちゃん、つれないなぁ」
「いい加減にしてください! あんたが何をしようが構わないが、孫の前ぐらいはちゃんとしてくれよ!」
「……孫? そりゃあ一体どういう事だ?」
 絶好のチャンス到来だ。真哉の手を引いて一堂の前に進み出る。
「鏑木柊哉さん。香月真奈さんの依頼でお孫さんである香月真哉君をお届けに参りました。本来なら父親である香月和哉さんを抜きにとの条件だったのですが、思わぬアクシデントがあった訳ですが……。どうしますか? 良ければ受け取りにサインお願いします」
 真哉母からの手紙と一緒に受け取り票を差し出した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

さようなら、あなたとはもうお別れです

四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。 幸せになれると思っていた。 そう夢みていたのだ。 しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...