僕の瞳に映るあなた〖改訂版〗

水月美都(Mizuki_mitu)

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一章

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 美月の家では、朝食は皆で一緒には取らない。だから朝は、僕と涼の二人だけで食事をする。

「涼、おはよう」
 僕は、いつも涼より起きるのが遅い。
「おはよう竜。早く食べないと遅刻しちゃうよ。何度、起こしても起きないんだもの」

 少し怒った涼の顔が、僕は一番好きだ。
 僕達は十四歳になっていた。

 毎朝僕を起こすのは涼の仕事。子供の頃からの習慣だ。
 目が覚めて最初に涼の綺麗な顔を見ないと、僕は機嫌が悪い。
 今日だって起きていたけど、涼の顔を見ていたいから寝たふりしていた。

「ねぇ竜、悪いけど今日は1人で帰ってくれないかな?」
「良いけど、何か用事があるの?」
「うん、早織と買い物する約束があって……」
 そう言って、黙り込む涼。

「涼、誰か好きな人でも出来た?」
 さりげなく無関心を装い聞いてみると、涼の頬は見る見るうちに真っ赤になっていった。

 涼は何も言わず、俯いていた。
 でも長い髪の隙間から覗いた耳朶まで真っ赤になった事が、何より雄弁に物語っているように僕には思えた。

 涼、なぜ? 誰よりも涼を愛してるのに。

「分かった、余り遅くならないでね」
 嫌なのに、涼に嫌われたくないから無理に笑って言う。
 涼は、ホッとした顔をして食事の続きを始める。
 僕達はいつも一緒だった。学校へ行く時も帰る時も。
 部活は二人とも所属していない。家の事情で毎日稽古があるから。

 なのに初めてだ、涼が一人で帰る?

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