僕の瞳に映るあなた〖改訂版〗

水月美都(Mizuki_mitu)

文字の大きさ
5 / 13
一章

5

しおりを挟む
 告白してきた後輩と別れた後、教室に戻ったら涼がいない。
 僕を探しに行ったと思って迎えに行くと、生徒会長が一緒にいた。涼は何だか泣いている様だ。
 頭に血が昇って先輩に向かって行こうとした時、涼が先輩に微笑んだ。

 その時、頭に昇った血が一気に下がっていった。
 涼、そいつなのか? 好きな奴って。
 先輩も笑って教室に入った後、教室へ行こうとした涼の腕を掴んで引いた。

「あっ、竜どうしたの? 探したんだから。早く給食食べないと……」
 よっぽど僕の顔色が変わっていたらしい、涼も顔が蒼くなった。

「竜……何で怒ってるの? 何かあった?」
 泣きはらした瞳に、また涙が湧きあがりポタンと、ひと滴落ちた。
 それを見たら、凄く極悪人になった様で、涼を抱きしめ「ゴメン」と言ってた。
 涼は、わんわん泣きながら僕をぎゅっと抱き返した。

「涼、そんなに泣かないで。こっち向いて……」
 僕は、声を出すのがやっとだ。涼が愛しくてたまらない。
 涼が顔を上げて、僕を見つめる。涼の瞳の中に僕がいる。
 震える両手で涼の顔を挟み、そっとキスをしたら涼が目を閉じた。

「……りゅう……」

 唇が離れたあと、涼が僕の名を呼ぶ。涙が湧き上がってくるのを止められない。
 涼は、涙の訳を知っているだろうか。どれだけ僕が、涼を愛しているかを。

 賑やかな声が聞こえて、お昼の終了のチャイムが鳴った。
 涼は走って行き、僕はただ、その場から動けないまま立ち尽くすだけ。


 神様、僕は何もいりません。
 涼だけが……だから涼をください。
 お願い……だから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたの側にいられたら、それだけで

椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。 私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。 傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。 彼は一体誰? そして私は……? アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。 _____________________________ 私らしい作品になっているかと思います。 ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。 ※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります ※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)

そう言うと思ってた

mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。 ※いつものように視点がバラバラします。

抱きしめて

麻実
恋愛
夫の長期に亘る不倫に 女としての自信を失った妻は、新しい出会いに飛び込んでいく。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

泣きたいくらい幸せよ アインリヒside

仏白目
恋愛
泣きたいくらい幸せよ アインリヒside 婚約者の妹、彼女に初めて会った日は季節外れの雪の降る寒い日だった  国と国の繋がりを作る為に、前王の私の父が結んだ婚約、その父が2年前に崩御して今では私が国王になっている その婚約者が、私に会いに我が国にやってくる  *作者ご都合主義の世界観でのフィクションです

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

処理中です...