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一章
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午後の授業が始まっても、涼は教室に現れなかった。前の席の片桐に聞くと、具合悪くて早退したという。
「なんか、目が真っ赤になっててさ。大丈夫かな。竜、病院に連れて行った方が良いんじゃない?」
病気なんかじゃないのは分かる。分かるけど、心配になって授業どころじゃない。
「先生! 具合悪いので、保健室行きます」
ちっとも具合悪く見えないだろうけど、ここは押し切った方の勝ちだ。
「なんだ、竜もか。二人とも病院に行けよ」
教室を出るまでは具合悪い演技をして、校門をくぐった先からは全力で走った。
肩で息を付いて家に着くと、涼の部屋の前で息を整える。
いま、このドアを開けたら僕達は今までどうりではいられない。
涼は床にペタリと座り、ベットに突っ伏して泣いていた。
僕はそっと近づき後ろから抱きしめた。
「竜……なの?」声が掠れてる。
「涼、愛してるよ……」
涼はゆっくりこっちを振り返ると、悲しそうな顔で首を横にふった。
途端、水から上がった魚の様に息が出来ない。
もし、手に入らないならば。
いっそ、死ねと言われた方がいい。
今すぐ、僕の心臓を取り出してくれ。
そして。
この手でぐちゃぐちゃにしてやる。
一章 了
「なんか、目が真っ赤になっててさ。大丈夫かな。竜、病院に連れて行った方が良いんじゃない?」
病気なんかじゃないのは分かる。分かるけど、心配になって授業どころじゃない。
「先生! 具合悪いので、保健室行きます」
ちっとも具合悪く見えないだろうけど、ここは押し切った方の勝ちだ。
「なんだ、竜もか。二人とも病院に行けよ」
教室を出るまでは具合悪い演技をして、校門をくぐった先からは全力で走った。
肩で息を付いて家に着くと、涼の部屋の前で息を整える。
いま、このドアを開けたら僕達は今までどうりではいられない。
涼は床にペタリと座り、ベットに突っ伏して泣いていた。
僕はそっと近づき後ろから抱きしめた。
「竜……なの?」声が掠れてる。
「涼、愛してるよ……」
涼はゆっくりこっちを振り返ると、悲しそうな顔で首を横にふった。
途端、水から上がった魚の様に息が出来ない。
もし、手に入らないならば。
いっそ、死ねと言われた方がいい。
今すぐ、僕の心臓を取り出してくれ。
そして。
この手でぐちゃぐちゃにしてやる。
一章 了
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