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二章
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授業が終わり涼と家に帰る。それが、こんなに嬉しいとは今まで思わなかった。
手を繋ぎたいのを我慢するのが辛いとは。昔はよく手を繋いでこの道を帰った。
隣で涼が笑う。胸が締め付けられる。守りたい、この笑顔を。
「ちゃんと稽古頑張ってね」
涼にそう言われたら頑張るしかない。苦笑して涼の手を握る。
「ちゃんと頑張るから、ご褒美頂戴」
振りほどこうとした手から力が抜けて握り返してきた。
家に帰ると僕は稽古場に、涼はキッチンで何やら作り出した。
多分、僕の誕生日のケーキだ。別に僕は欲しくはない。涼さえいれば。
稽古が終わってキッチンに行ったらテーブルの上には豪華な料理とケーキが置いてあった。
涼の姿を探すが家には居ないみたいだ。
不意に携帯が鳴り、見ると小夜からのメールだった。文面を見て一気に血の気が下がる。
そこに書かれていたのは……
『あなたの大切な人が大変よ、竜。私を裏切るあなたが悪いのよ! ざまあみろ!』
僕は涼を捜して、捜して。やっと使われて居ない倉庫に涼を見付けた。
でも遅かったんだ。
そこは、まるで……
地獄絵図のようだった。
周りには血が飛び散り、涼は裸で頭から真っ赤に染まっている。死体は三人で。何れも、普通だったら有り得ない方向に捩れていた。
「涼、僕だよ! 竜だ!」
涼の瞳には、なにも映ってはいなかった。
――僕さえも。
手を繋ぎたいのを我慢するのが辛いとは。昔はよく手を繋いでこの道を帰った。
隣で涼が笑う。胸が締め付けられる。守りたい、この笑顔を。
「ちゃんと稽古頑張ってね」
涼にそう言われたら頑張るしかない。苦笑して涼の手を握る。
「ちゃんと頑張るから、ご褒美頂戴」
振りほどこうとした手から力が抜けて握り返してきた。
家に帰ると僕は稽古場に、涼はキッチンで何やら作り出した。
多分、僕の誕生日のケーキだ。別に僕は欲しくはない。涼さえいれば。
稽古が終わってキッチンに行ったらテーブルの上には豪華な料理とケーキが置いてあった。
涼の姿を探すが家には居ないみたいだ。
不意に携帯が鳴り、見ると小夜からのメールだった。文面を見て一気に血の気が下がる。
そこに書かれていたのは……
『あなたの大切な人が大変よ、竜。私を裏切るあなたが悪いのよ! ざまあみろ!』
僕は涼を捜して、捜して。やっと使われて居ない倉庫に涼を見付けた。
でも遅かったんだ。
そこは、まるで……
地獄絵図のようだった。
周りには血が飛び散り、涼は裸で頭から真っ赤に染まっている。死体は三人で。何れも、普通だったら有り得ない方向に捩れていた。
「涼、僕だよ! 竜だ!」
涼の瞳には、なにも映ってはいなかった。
――僕さえも。
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