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1964.10.10 開会式 選手入場 2
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一体何が起こっているのか。英紀が今いる場所からは、彼らが何を話しているかまでは聞き取れない。目立たぬよう、そろそろと腰をかがめて彼らの元へ近づいてゆくと、途中で厳つい目の男と目が合った。そしてなぜだか、その刑事は英紀の姿を認めると、小さく頷いてきたのでつられて英紀も頷いた。
どうやら彼は、自分を仲間だと思ってくれたようだ。これ幸いとばかりに、英紀は刑事になったつもりで聞き耳を立てる。
英紀は男をはたいた女性に見覚えがあった。普段は黒いワンピースにフリルのエプロンだなんて古めかしい姿だから気が付かなかった。今はやりのグラマラスなワンピースに身を包む彼女は、真理亜の頼もしい使用人のメグだった。
一方メグに殴られた男は、まあまあと彼女をなだめ、何事もなかったかのように座席に着いてしまった。英紀は拍子抜けしてしまった。なんだ、彼女とアイツはどういう関係なんだ?まさか本当に痴話げんかなのだろうか。デートに遅れてきた彼氏に彼女が起こっただけだとでも?
コソコソと人々の合間を縫い、さらに英紀は二人の元へと近づいた。幸いなのは、風向きがこちらを向いていたことか。時折湧き上がる歓声の合間から、彼らの会話を拾うことが出来た。
「まさか、アンタが草加次郎だっていうの?」
このメグの発言に、英紀は驚きを隠せなかった。確かに自分を連れ去り、真理亜に脅迫状を送ったのはあいつだ。
そこからどうやってアジトを探し出したのか、大月の手助けもあって英紀は逃げ出すことが出来た。後は憎き犯人を捕まえて、約束通り順次郎から金をもらえばいい。そのためにはあいつを泳がす必要がある、だから英紀は真理亜の前に姿を現すわけにはいかなかった。
それが二人の計画だった。けれどなぜ、メグがあの男の正体を知っている?
「違うね。今日この場で、新たな草加次郎が生まれるんだ。そいつが今までの彼の罪も被ってくれる」
「新たなって。もしかして、菅野さんに罪を押し付けるつもり?」
「菅野?ああ、お前の言ってた魔法使いか?最悪なことに、アイツにはまんまと逃げられちまってな。けれどなんでだか知らないが、遠野のタヌキ親父は菅野が犯人だなんて言ってやがる。逃げ出したのに、なぜお義父様に泣きつかないのかは知らないが、これは使わない手はないだろう?」
自分の名が出てきて、英紀は眉をしかめる。まさか、僕が一連の犯人だと社長が思っていただなんて。大月と立てた計画が、かえって仇となってしまったようだ。
信用のない自分にガッカリし、だから彼女の姿が会場にないのかとも納得する一方、ひどく落ち込んでしまう自分がいた。彼女が誘拐された自分の為に、来てくれればいいのにとも思った。
「もしかして、お屋敷に現れた刑事はあなただったの?」
「そうさ。魔法使いに逃げ込まれてたら計画はおじゃんだ、それを確認したくてね。けれど天は俺に味方をしたようだ。幸いなことに、俺の立てた計画はまだ倒れちゃいなかった。だから、わざわざこんな格好までしてきてやったんだ。なに、簡単なもんだぜ。テレビカメラの技術員ですと言えば通してもらえる。なにが厳戒態勢だ、笑わせてもらったぜ」
「私から盗ったチケットはどうしたのよ。真理亜お嬢様に送ったC―85の席以外の残りの二枚。私のお父さんとお母さんのチケットをどうしたって言うのよ」
「なに、草加次郎に盗まれたのさ。すべては恐ろしい草加の仕業だよ」
大仰に手を広げながら、何がそんなに楽しいのか、ケラケラと男は笑っている。
「草加次郎はアンタじゃないの?」
「だから何度も言ってるだろう、今日新たに草加が生まれるんだ。本来なら、ここにアイツが現れるはずだったんだが」
あたりをぎろりと見回して、男がため息まじりに言った。
「だがどうやら、アイツは怖気づちまったみたいだな。まあ往々にして計画というのはうまくいかないものだ」
そう吐くと青野は舌打ちをした。「しかしあの男、大層な口をきいてた割には、大して役に立たなかったな」
先からあいつはしきりに、自分は草加次郎ではない、新たな草加が生まれるのだと言っている。沈む気持ちを掬いながら、英紀はその言葉に違和感を覚えていた。自分が疑われている以上、その身の潔白を証明するためにも何としてでもあの男を捕まえなければならない。
だがあの話しぶりでは、まるでもう一人草加がいるみたいじゃないか。さすがに爆弾魔二人をいっぺんに相手にするのは英紀にも骨が折れる。慎重に行かなければ。
「正義を振りかざしている草加次郎がうまくいくかは知らないが、人から金を奪うのに正義も糞もあるもんか。俺みたいにうまく知恵を働かせて、奪えるところからうまく手に入れないとな」
そうニタニタと言うと、男はメグの抱える黒いリュックに手を伸ばした。
「大方、大切なお嬢さんを危険な目に遭わせたくないあのタヌキに身代わりを依頼されたんだろう。つらいよなあ使用人の分際は。雇い主の命令には逆らえないもんなぁ」
「私が自分から望んでこの役を受けたのよ。アンタを、捕まえるために」
掴まれたバッグを渡すまいと、メグがそれを抱きかかえながらキッと男を睨み言った。
二人の関係は分からない。けれどメグは、少なくともあいつの仲間ではない、そう英紀は判断した。
「新たな草加がどうとか言っているけれど、今まですべての爆弾騒ぎはアンタがやったんでしょう?あのミミズがのた打ち回ったような字、アンタ以外に誰が書くって言うのよ」
「まあまあ、過去は過去だ。そんな大昔のことをほじくり返すより、もっと時間は有意義に使ったほうがいい。こうやってまた会ったのも何かの縁だ、それを持って、一緒に俺と遠い南の国で優雅に暮らそうじゃないか。人の命令を聞いて過ごす毎日なんて、それこそ時間の無駄だろう?」
「そんなことするわけないじゃない」
「ふん、女のくせにずいぶんと勇ましいな。お前に何が出来る。残念だったな、せっかく美人だったのに。まあ、美人薄命とはよく言ったものだ。初めて殺すのがお前なら、まあ悪くない」
ニタリ、と笑って、男が懐から何か大きな塊を取り出した。英紀は思わず身を乗り出す。そして次の瞬間、パン!と大きな音が響いた。大きな赤い花火が上がった。
どうやら彼は、自分を仲間だと思ってくれたようだ。これ幸いとばかりに、英紀は刑事になったつもりで聞き耳を立てる。
英紀は男をはたいた女性に見覚えがあった。普段は黒いワンピースにフリルのエプロンだなんて古めかしい姿だから気が付かなかった。今はやりのグラマラスなワンピースに身を包む彼女は、真理亜の頼もしい使用人のメグだった。
一方メグに殴られた男は、まあまあと彼女をなだめ、何事もなかったかのように座席に着いてしまった。英紀は拍子抜けしてしまった。なんだ、彼女とアイツはどういう関係なんだ?まさか本当に痴話げんかなのだろうか。デートに遅れてきた彼氏に彼女が起こっただけだとでも?
コソコソと人々の合間を縫い、さらに英紀は二人の元へと近づいた。幸いなのは、風向きがこちらを向いていたことか。時折湧き上がる歓声の合間から、彼らの会話を拾うことが出来た。
「まさか、アンタが草加次郎だっていうの?」
このメグの発言に、英紀は驚きを隠せなかった。確かに自分を連れ去り、真理亜に脅迫状を送ったのはあいつだ。
そこからどうやってアジトを探し出したのか、大月の手助けもあって英紀は逃げ出すことが出来た。後は憎き犯人を捕まえて、約束通り順次郎から金をもらえばいい。そのためにはあいつを泳がす必要がある、だから英紀は真理亜の前に姿を現すわけにはいかなかった。
それが二人の計画だった。けれどなぜ、メグがあの男の正体を知っている?
「違うね。今日この場で、新たな草加次郎が生まれるんだ。そいつが今までの彼の罪も被ってくれる」
「新たなって。もしかして、菅野さんに罪を押し付けるつもり?」
「菅野?ああ、お前の言ってた魔法使いか?最悪なことに、アイツにはまんまと逃げられちまってな。けれどなんでだか知らないが、遠野のタヌキ親父は菅野が犯人だなんて言ってやがる。逃げ出したのに、なぜお義父様に泣きつかないのかは知らないが、これは使わない手はないだろう?」
自分の名が出てきて、英紀は眉をしかめる。まさか、僕が一連の犯人だと社長が思っていただなんて。大月と立てた計画が、かえって仇となってしまったようだ。
信用のない自分にガッカリし、だから彼女の姿が会場にないのかとも納得する一方、ひどく落ち込んでしまう自分がいた。彼女が誘拐された自分の為に、来てくれればいいのにとも思った。
「もしかして、お屋敷に現れた刑事はあなただったの?」
「そうさ。魔法使いに逃げ込まれてたら計画はおじゃんだ、それを確認したくてね。けれど天は俺に味方をしたようだ。幸いなことに、俺の立てた計画はまだ倒れちゃいなかった。だから、わざわざこんな格好までしてきてやったんだ。なに、簡単なもんだぜ。テレビカメラの技術員ですと言えば通してもらえる。なにが厳戒態勢だ、笑わせてもらったぜ」
「私から盗ったチケットはどうしたのよ。真理亜お嬢様に送ったC―85の席以外の残りの二枚。私のお父さんとお母さんのチケットをどうしたって言うのよ」
「なに、草加次郎に盗まれたのさ。すべては恐ろしい草加の仕業だよ」
大仰に手を広げながら、何がそんなに楽しいのか、ケラケラと男は笑っている。
「草加次郎はアンタじゃないの?」
「だから何度も言ってるだろう、今日新たに草加が生まれるんだ。本来なら、ここにアイツが現れるはずだったんだが」
あたりをぎろりと見回して、男がため息まじりに言った。
「だがどうやら、アイツは怖気づちまったみたいだな。まあ往々にして計画というのはうまくいかないものだ」
そう吐くと青野は舌打ちをした。「しかしあの男、大層な口をきいてた割には、大して役に立たなかったな」
先からあいつはしきりに、自分は草加次郎ではない、新たな草加が生まれるのだと言っている。沈む気持ちを掬いながら、英紀はその言葉に違和感を覚えていた。自分が疑われている以上、その身の潔白を証明するためにも何としてでもあの男を捕まえなければならない。
だがあの話しぶりでは、まるでもう一人草加がいるみたいじゃないか。さすがに爆弾魔二人をいっぺんに相手にするのは英紀にも骨が折れる。慎重に行かなければ。
「正義を振りかざしている草加次郎がうまくいくかは知らないが、人から金を奪うのに正義も糞もあるもんか。俺みたいにうまく知恵を働かせて、奪えるところからうまく手に入れないとな」
そうニタニタと言うと、男はメグの抱える黒いリュックに手を伸ばした。
「大方、大切なお嬢さんを危険な目に遭わせたくないあのタヌキに身代わりを依頼されたんだろう。つらいよなあ使用人の分際は。雇い主の命令には逆らえないもんなぁ」
「私が自分から望んでこの役を受けたのよ。アンタを、捕まえるために」
掴まれたバッグを渡すまいと、メグがそれを抱きかかえながらキッと男を睨み言った。
二人の関係は分からない。けれどメグは、少なくともあいつの仲間ではない、そう英紀は判断した。
「新たな草加がどうとか言っているけれど、今まですべての爆弾騒ぎはアンタがやったんでしょう?あのミミズがのた打ち回ったような字、アンタ以外に誰が書くって言うのよ」
「まあまあ、過去は過去だ。そんな大昔のことをほじくり返すより、もっと時間は有意義に使ったほうがいい。こうやってまた会ったのも何かの縁だ、それを持って、一緒に俺と遠い南の国で優雅に暮らそうじゃないか。人の命令を聞いて過ごす毎日なんて、それこそ時間の無駄だろう?」
「そんなことするわけないじゃない」
「ふん、女のくせにずいぶんと勇ましいな。お前に何が出来る。残念だったな、せっかく美人だったのに。まあ、美人薄命とはよく言ったものだ。初めて殺すのがお前なら、まあ悪くない」
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