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13・え?暴力?いいえ、躾です!
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※残酷な戦闘シーンがあります。ご注意ください。
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樹海の外まで強制転移で吹っ飛ばした英雄アレクは、あの後また懲りもせずトライして来た。で、「お疲れ様~」とばかりに再転移させまくったんだけど、スタミナ馬鹿は止まらない。マジでアンデッド説を押すよ。
五回目までは数えてたけれど、その後は惰性で送り返し……とうとう私がキレた。だって、ゆっくり作業ができないんだもん!だから、お話にならない相手には、やはり肉体言語での会話が必要だわね。暴力?いいえ?躾ですよー。
若い子のヤンチャは、ある程度までいったらヤンチャで済まさないのが大人です。仏だって三度までだしね。仏どころか女神様すらいないけど。
「懲りないわねー!いい加減に諦めたら?」
前は鬱蒼とした場所だったのに、巨大戦車が何度も通ったせいで道ができた。ここまで幅があると【幻惑】に支障がでるから、困るんだよっ。
腕組みして睨み据えるけど、相手は私以上にデカくて強面だ。迫力負けしてるけど、引きはしない。
「諦めるのはお前だ!女!何度飛ばされようが、必ず戻ってやるぞ!早く魔獣を出せ!」
「はぁ~~~~仕方ない。先手必勝!【いばらの冠】」
トゲトゲ一杯のいばらの枝が幾重にも巻かれた輪が、アレクを取り巻き締め付けだす。慌てて大暴れし始めたけど、容赦なく輪は締まり出し、刺さったぶっとい棘の間から血が流れて、瞬く間にいばらの枝から下が血まみれになって行く。
見てるだけで痛そうだが、躾です!DVじゃありません!
「うがあぁぁっ!!」
大絶叫が辺りに響き、吹き出す威圧で一帯の魔物たちが逃げ去った。
【火炎法衣】
棘に刺されながらも全身をのけ反らせ、力任せに拘束から逃れようと苦闘しているそこへ、全面が燃え上がっている布の様な物を巻かれて、さすがのアレクも顔色を変えた。
「ちょーっと火傷するだけだから安心しなさい。ただね、全身の毛と言う毛が燃え尽きると思うわ」
ニッと悪い微笑みを投げて、丁寧に躾の概要を説明してみた。
同時に、紫紺のざんばら髪がチリチリと焦げて粉になって行く。
「やめろ!このアマ!よくも俺様の~~~~~~!!あがあぁぁあああ!!」
『……えげつない…』
「大人の言うことを聞かないクソガキは、きちんとした躾が必要なの!これに懲りたら、もう許可なく来るんじゃないわよ?じゃーねぇ」
ほい!再度転移だ。
『…鬼畜…』
「なんか言った?オジサン」
『……』
憂さ晴らしも兼ねての暴挙(小)に気分も晴れ、爽快な気持ちで家へと戻った。心なしかお家君もなんだかキョドってる様に感じますが?
『あれで懲りたとは思えないが…』
「また来たら、今度は潰しにかかるよ?どことは言わないけどさ。それよりも、私を「女」とか「アマ」とか呼んでたけど、魔女自称は無視された?恐るるに足りずと思われてるのかしら?」
最初に自己紹介した時、確かに魔女と名乗った。驚くとか憎しみを向けるとかすると予測してたけれど、アレクはするっと無視してくださった。それが何とも不思議で納得いかない。名乗ったのは、アレクの意識をルードから引きはがすためだったが、魔女の威力は魔獣に負けた。
くやしくはないやい!
『いや、今でも魔女は恐怖の対象だ。俺たち魔獣なぞ足元にもよらないハズだ』
「じゃぁ、なんでアレクは…?」
―――――――魔女を知らないのでは?魔女の不在期間に、異界から来た者だ。
「あー…そうかも。邪竜討伐の為に召喚したんだし、回りの人達はわざわざ魔女のことなんか話題に出さないでしょうね。魔女がいなくなって何百年だし、いるかいないか分からない者のことなんかねぇ」
『まるでお伽噺の中の邪獣だな』
さて、作業に戻りますか。
そろそろ本格的に社会復帰しないとだなーと。
やっと戻った日常に、遅れていた作業に外遊計画を実現するために勤しんだ。
でも、十日ほどが経った頃、驚くなかれ!ワイバーンが私宛の書状を落として行った。
『あれは竜騎士のワイバーンだな。乗っているのは英雄だ』
樹々の狭間から空を見上げ、巨大樹を中心にくるくる円を描いて飛行しているワイバーンを観察した。離れて行かない所を見て、返事待ちかと書状を開いた。
「躾は成功したみたいよ?ご訪問したいけれど、ご都合は?ってとこかしら?」
『返事はどうするつもりだ?』
「ルードを諦めてくれるなら、別に敵対したい訳じゃないし、どうしても肉体言語でってなら躾第二弾をすればいいだけだしー。ん~~~」
面倒なんで、手にした書簡用紙に【消去】を掛けて白紙に戻し、そこに文字を焼き付けた。
「んーっと、お話しするだけなら会うけど、それ以外ならお断り!っと」
【飛翔】
巻き戻して可愛いリボンで結ぶと、お空に放り投げた。ワイバーンめがけてすーっと飛んで行った書簡を、長い腕が掴み取るのが見え、少ししてからアレクが落ちて来た。どうして馬鹿ガキって無謀なことをするんだ。見ていて、お姉さんは呆気に取られたよ。
「酒を飲みながら話したい!」
手には緑色の酒瓶、そして凶悪な笑顔のアレクが結界の前にいた。
どう見ても殺し屋です。毒か?毒殺に来たのか?
しかし、完治が早いなぁ。髪は短めだけどさ。万能薬を使ったのかな?あ、回復薬は、傷は治しても育毛まではいたしませんよ。
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樹海の外まで強制転移で吹っ飛ばした英雄アレクは、あの後また懲りもせずトライして来た。で、「お疲れ様~」とばかりに再転移させまくったんだけど、スタミナ馬鹿は止まらない。マジでアンデッド説を押すよ。
五回目までは数えてたけれど、その後は惰性で送り返し……とうとう私がキレた。だって、ゆっくり作業ができないんだもん!だから、お話にならない相手には、やはり肉体言語での会話が必要だわね。暴力?いいえ?躾ですよー。
若い子のヤンチャは、ある程度までいったらヤンチャで済まさないのが大人です。仏だって三度までだしね。仏どころか女神様すらいないけど。
「懲りないわねー!いい加減に諦めたら?」
前は鬱蒼とした場所だったのに、巨大戦車が何度も通ったせいで道ができた。ここまで幅があると【幻惑】に支障がでるから、困るんだよっ。
腕組みして睨み据えるけど、相手は私以上にデカくて強面だ。迫力負けしてるけど、引きはしない。
「諦めるのはお前だ!女!何度飛ばされようが、必ず戻ってやるぞ!早く魔獣を出せ!」
「はぁ~~~~仕方ない。先手必勝!【いばらの冠】」
トゲトゲ一杯のいばらの枝が幾重にも巻かれた輪が、アレクを取り巻き締め付けだす。慌てて大暴れし始めたけど、容赦なく輪は締まり出し、刺さったぶっとい棘の間から血が流れて、瞬く間にいばらの枝から下が血まみれになって行く。
見てるだけで痛そうだが、躾です!DVじゃありません!
「うがあぁぁっ!!」
大絶叫が辺りに響き、吹き出す威圧で一帯の魔物たちが逃げ去った。
【火炎法衣】
棘に刺されながらも全身をのけ反らせ、力任せに拘束から逃れようと苦闘しているそこへ、全面が燃え上がっている布の様な物を巻かれて、さすがのアレクも顔色を変えた。
「ちょーっと火傷するだけだから安心しなさい。ただね、全身の毛と言う毛が燃え尽きると思うわ」
ニッと悪い微笑みを投げて、丁寧に躾の概要を説明してみた。
同時に、紫紺のざんばら髪がチリチリと焦げて粉になって行く。
「やめろ!このアマ!よくも俺様の~~~~~~!!あがあぁぁあああ!!」
『……えげつない…』
「大人の言うことを聞かないクソガキは、きちんとした躾が必要なの!これに懲りたら、もう許可なく来るんじゃないわよ?じゃーねぇ」
ほい!再度転移だ。
『…鬼畜…』
「なんか言った?オジサン」
『……』
憂さ晴らしも兼ねての暴挙(小)に気分も晴れ、爽快な気持ちで家へと戻った。心なしかお家君もなんだかキョドってる様に感じますが?
『あれで懲りたとは思えないが…』
「また来たら、今度は潰しにかかるよ?どことは言わないけどさ。それよりも、私を「女」とか「アマ」とか呼んでたけど、魔女自称は無視された?恐るるに足りずと思われてるのかしら?」
最初に自己紹介した時、確かに魔女と名乗った。驚くとか憎しみを向けるとかすると予測してたけれど、アレクはするっと無視してくださった。それが何とも不思議で納得いかない。名乗ったのは、アレクの意識をルードから引きはがすためだったが、魔女の威力は魔獣に負けた。
くやしくはないやい!
『いや、今でも魔女は恐怖の対象だ。俺たち魔獣なぞ足元にもよらないハズだ』
「じゃぁ、なんでアレクは…?」
―――――――魔女を知らないのでは?魔女の不在期間に、異界から来た者だ。
「あー…そうかも。邪竜討伐の為に召喚したんだし、回りの人達はわざわざ魔女のことなんか話題に出さないでしょうね。魔女がいなくなって何百年だし、いるかいないか分からない者のことなんかねぇ」
『まるでお伽噺の中の邪獣だな』
さて、作業に戻りますか。
そろそろ本格的に社会復帰しないとだなーと。
やっと戻った日常に、遅れていた作業に外遊計画を実現するために勤しんだ。
でも、十日ほどが経った頃、驚くなかれ!ワイバーンが私宛の書状を落として行った。
『あれは竜騎士のワイバーンだな。乗っているのは英雄だ』
樹々の狭間から空を見上げ、巨大樹を中心にくるくる円を描いて飛行しているワイバーンを観察した。離れて行かない所を見て、返事待ちかと書状を開いた。
「躾は成功したみたいよ?ご訪問したいけれど、ご都合は?ってとこかしら?」
『返事はどうするつもりだ?』
「ルードを諦めてくれるなら、別に敵対したい訳じゃないし、どうしても肉体言語でってなら躾第二弾をすればいいだけだしー。ん~~~」
面倒なんで、手にした書簡用紙に【消去】を掛けて白紙に戻し、そこに文字を焼き付けた。
「んーっと、お話しするだけなら会うけど、それ以外ならお断り!っと」
【飛翔】
巻き戻して可愛いリボンで結ぶと、お空に放り投げた。ワイバーンめがけてすーっと飛んで行った書簡を、長い腕が掴み取るのが見え、少ししてからアレクが落ちて来た。どうして馬鹿ガキって無謀なことをするんだ。見ていて、お姉さんは呆気に取られたよ。
「酒を飲みながら話したい!」
手には緑色の酒瓶、そして凶悪な笑顔のアレクが結界の前にいた。
どう見ても殺し屋です。毒か?毒殺に来たのか?
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