この称号、削除しますよ!?いいですね!!

布浦 りぃん

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71・仮〇ライダーって、悪の組織に改造されたんだよね?

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 幸いなことにサイコロ転がしをした檻の中では、同僚に押しつぶされたり踏まれたりして失神したヤツや打撲打ち身で呻いてるヤツ以外、皆さん元気だった。
 さすがは暗部の猛者(笑)仕事中は身体強化を掛けてるのが通常らしく、脱出や転移は出来ないけれど魔力封じをしていないため術が使えるせいか、咄嗟に防御を働かせた人が多かったみたいだった。死人が出なくてなによりです。

 気を失ったヤツやけが人を別の檻に移し替え、ではもう一度!と声高らかに転がす合図をしてみたら、すぐさま白状しだしたヤツが何人かいた。
 なーんだ。暗部なんて裏の軍団を気取ってるから、これくらいの拷問モドキのお遊び程度ならきっちり耐えきるだろうと思ってたのに…。とは、口に出さずに心に仕舞いこんだ。

「もう一回言って?」
「だから、聖獣の回収と魔樹の子供の回収だ…」
「魔樹?なにそれ?」
「魔樹は魔樹だっ!それ以外は知らん!さあ、開放しろ!」

 何を言ってるんだろう。こいつは。
 白状しろと迫ったが、私は一言も白状したら開放するなんて言ってないぞ?転がされて幻覚幻聴でも視えたのかしら?

「その魔樹って、どこにいるのよ」
「…」

 魔樹なんぞと言う物を初めて耳にしたけれど、魔物がいるんだから魔樹ってのは魔物化した樹木なんでしょう?きっと。
 で、それが存在する場所を教えろって言った瞬間の、この捕虜の顔に浮かんだ表情が妙だった。

「ねぇ、知られたら困る事なのね?だから話せないんだー」
「違う。魔樹は貴重な魔物だ。他者に知られたら…」
「へー…貴重ねぇ…」

 自白系魔術を使っている訳じゃないのにぽろぽろと口を滑らす暗部君に、ニヤニヤとあくどい笑みを浮かべて見せた。
 その傍ら頭の中で【森羅万象】を起動してみたが、『魔樹』なんて魔物は全く引っかかって来ない。樹とつくのだから木だろうと思い込んでいるのが悪いのかもと、あたらめて頭から想像したあれこれを消し去って、パレスト神殿と城内へ検索をしかけてみた。

「……」

 魔物で検索してみたのが悪うございました。
 あれは魔物ではなく『妖精族のなれの果て』で…。

 およそ人族ほどの高さの木。いえ、木の樹皮に似た肌の女性体形のモノが、円形の結界で作られた容器の中の、薄っすらと青い色が付いた液体に沈んでいた。時折樹皮のひび割れが脈動するように開閉し、その狭間から発光が漏れていた。
 形は女性だけれど、髪は僅かに茂った葉で、その下から顔や首、胸や胴や尻らしき凹凸があるだけの幹が続いている。それ以外に四肢は無く、目や耳目や口も無い。

 でも、生きている。私達と同じく意思を持った生物として。

 脳裏に浮かんだそれらの画像をじっくりと観察しながら、私は一回だけ指を鳴らした。
 瞬時に消え去った糞虫の詰まったサイコロ。それらには、親玉の所へお帰り願った。今頃狭い部屋にいきなり現れた巨大な檻と部下の塊りに、きっと阿鼻叫喚再びだろう。
 でもね、沸点の低い私を怒らせるようなことをする奴らが悪い。

 女神の信徒は腐りきってますね。いや、信徒の名を借りた外道の弟子たちでしょうかね?

 私の気配が急に殺気を帯びたのに気づいたルードが、何事かと急いで走って来た。

『どうした!』
「すぐに妖精大陸に行かなきゃ!」

 話ながら家へ転移し、エンデを呼び出した。

 ――――――どうしたの?

「エンデ、すぐに王様と会えるよう繋ぎを取って!リリアの母親…末姫様らしいモノを見つけたの!」

 『モノ』と言った私に、エンデから微かな不快感が流れて来た。でも、彼は黙ってすぐに消えた。その後を追うように、黒猫に変化したルードを肩に乗せて妖精大陸へ転移した。
 いつもは扉を開け放って現れる私が、緊張を漲らせて王城前に現れたせいで、そこに殺気立った妖精族の騎士たちが集まり出した。

『やめい!!その者をすぐに謁見の間へ通せ!』
「緊急事態なの。私が転移するから広間の扉を開けておいて」

 轟音のような制止が入ったが、回りに構わずその声に対して告げた。
 この声はグリア氏だろうと予想が付いたが、いちいち迎えに来てもらうのもまどろっこしかったのだ。
 すぐに、あの聖堂のような謁見の間へと飛んだ。まだ王は姿を現していなかったが、先にグリア氏とエンデが走り込んで来た。

「一体何事なんだ!?これではあまりに無礼だ―――」
「無礼でも何でも後で罰は受けるから、先に王と話をさせてっ」
「アズ、さっきのって…」

 二人と言い合いしてる間に、王が玉座に現れた。
 私の態度にやはり不服があるらしい王は、厳しい顔つきで座すると冷めた視線で私を睨んだ。

「何事だ。魔女よ…」

「陛下の末の妹姫らしき妖精族を見つけたわ。ただし、私の目には『モノ』にしか映らなくて…確認をしてくださいますか?」
「―――――儂の末姫は、モノではないが?」
「ええ、承知してますわ。しかし、これを見てくださいますか?」

 私は、自分の脳内に映された映像を指先でドラッグ・アンド・ドロップして、中空に設置した巨大タブレットに投影した。
 
 【結果開示レポート・オープン


 女性のプロポーションに似た形の樹が、青い色の液体の中に浮かんでいる。時折わさりと頭部らしい茂った枝葉が揺れたりして、それが生きている『モノ』だと知れる。
  王を含めた妖精族たちは目を大きく見開き、わなわなと震えながらその映像に釘付けになっていた。

 違うならいいのよ。アレがリリアの母親ではない、別の何かなら。
 違って欲しいと願っているのは、私だって同じだわよ。
 
「違うなら、私はアレを処分に行きます!アレはあそこに置いておいてはいけないモノですから!」
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