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第2章 本土爆撃阻止(サイパン、グアム、レイテ攻略作戦)

第14話 グアム攻略作戦

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 雲雷は敵の哨戒機に見つかることもなく順調に飛行を続け、グアムまで300キロまで来ていた。

「逆探に反応はあるか?」
「はい、微弱ですが反応を検知しました」
「そろそろ敵のレーダー範囲に入る!全員装備を点検しろ!」

 各自の装備を点検し確認が終わると真剣な顔つきになり、機体内の雰囲気が変わった。
 
「グアムに突入する!擱座、しっかり撮影してくれよ!」
「分かってますよ!バッチリ撮影します!」
「差崎!敵機が来たらお前だけが頼りだ!」
「は、はい!」

 エンジン出力を上げて、高度10000まで機体を上昇させて巡航速度から戦闘速度まで速度を上げた。

「見えたぞ!グアムだ!」
「間違いありません!海図とも一致してます!」

 雲の切れ間から島が見えた。徐々に近づくにつれて停泊している軍艦や輸送船が見え始めた。
 それと同時に空撮を始めた。
 雲雷には前方斜め下を撮影するカメラが1台、下方前方を撮影するカメラが1台、下を撮影カメラが2台機首に搭載されている。
 前方のカメラがある理由は真上からでは分からない部分が出てしまうため、より鮮明に敵の情報を得るために出来るだけ詳細な写真が多ければ多いほど作戦前の攻撃が正確にできる。

「大河!時間は測っているな?」
「はい!測っています!」
「敵迎撃機が上がって来た時間はしっかり記録しろ!」
「了解!」

 時間を図るとは敵がこちらに気付いてからどの位の時間で迎撃機や対空射撃が始まるかを確かめ、敵迎撃機が上がって来る前に攻撃出来れば被害を抑えることが出来る。出来るだけ被害を出さない事を重視している神国は偵察で詳細な地図を作成し、偵察部隊を送りより詳細なデータを集め攻撃を行い、目標の破壊、もしくは無力化が確認でき次第、上陸作戦を開始する。


 その頃グアムは・・・・

 2人の兵士が基地の近くの桟橋で釣りをしながらとある噂の話をしていた。

「マック、あの噂どう見る?」 
「あの噂って硫黄島を攻略しに向かった第5任務部隊が全滅したって話か、パース?」
「ああ、何でも20近くいた空母がほとんどやられて、戦艦も殿を努めて沈んだって話だ」
「この前来た艦隊はその生き残りだって噂だ」
「通りで輸送船の割に護衛の空母や駆逐艦がいるが戦艦や巡洋艦の姿が見えなかった訳だ」

 数日前にグアムの港に数十隻の輸送船と損傷を受けた空母と巡洋艦、駆逐艦が到着した。
 それを見た兵士たちは、詳細な事を何も知らせなかったため、艦隊が全滅したのではと言う噂が広まった。
 そんな話をしていると突如空襲警報があたり一帯に響いた。

『敵機来襲!敵機来襲!機数1!迎撃機隊は直ちに離陸せよ!』
『非番要員は直ちに帰隊せよ!』
『対空部隊は射程に入り次第、直ちに射撃せよ!』

 基地からの警報を聞き、道具をそのままにすぐさま基地に走って向かう。

「せっかくの休暇だったのに!」
「1機だけって事は偵察機か?」 
「多分そうだろ!」

 基地に入るとあらゆる要因が走り回っていた。
 2人は自分の機体のあるハンガーに向かい近くの整備員にすぐに出撃できるか聞くが

「俺の機体は飛べるか!?」
「無理です!燃料も武装も積んでません!それにエンジンも整備中です!」
「クソ!」

 対空砲の操作員は弾薬を運び、配線をレーダーシステムに接続していた。
 士官が手早く指揮をして上げれる機体を飛ばそうと声を張る。

「M1に配線つなげ!弾薬も運べ!」
「上げれる機体はすぐに動かせ!」
「ボフォースにも弾薬運べ!」

 陸軍のP51D、海軍のF4Uが滑走路へと運ばれて行く。
 急いで弾薬と燃料の確認がされ、エンジンを回していく。

「敵機視認!対空射撃始め!!」

 ドォン!ドォン!ドォン!
 ドン!ドン!ドン!ドン!
 滑走路周辺のM1、90ミリ対空砲とボフォース40ミリ対空砲か射撃を始め、飛行する敵機の周辺に黒煙を作りあげていく。
 それとほとんど同時にエンジンが掛かった戦闘機もすぐに滑走路を走り離陸しする。

「敵の高度は33000フィートだ!急いでくれ!」
『了解、すぐに上昇する!』
『ロン、そう言うが今から高度33000フィートまで、この新型のマスタングでも十分以上はかかるぞ?』
『それでも間に合う可能性まだある。いいから行くぞ!』
『はいはい』

 グアムの上空に差し掛かると機体の周囲に黒煙が広がり、機体が震えた、

「ッ!やっぱり米国の対空砲は正確だな!」
「機体は揺れますが撮影には問題ないです。機体も損害はありません!」
「敵機も今の所は上がって来る様子も、いや!数機が滑走路から離陸しようとしています!」
「三養!機種は分かるか?」
「恐らくマスタングとシルコンスキーだと思います!」
「あと十分したら反転して全力で脱出する!」
「「「了解!」」」

 下を見るとゴマ粒見たいな黒い点が数個動いているのが見えた。
 敵機の上昇力を考え、余裕で逃げ切ることが出来る距離で撮影をやめ、母艦の方に進路を取った。
 まだ、機体の周囲には対空砲の砲弾が炸裂して黒煙が上がっているが、破片ではこの機体に致命的な損傷を与える事は無い。だが直撃や至近距離で当たれば無傷とはいかない。
 まず、当たる事は無いと思うが少しでも早く敵の攻撃から逃れるために速度を最大まで上げてグアムから離れて行く。
 後ろを見るとグアムが小さくなり始め、ちょうど敵の機体が同じ高度に達したのか水平になったのが見えた。たがこの距離なら追いつかれる事はまずないので、見えなくなるまで最大速度で機体を進また。
 しばらくして雲の中に機体が入るとグアムと敵機は見えなくった。
 その後は敵との接敵はなく、無事に母艦に帰還出来た。
 甲板員の着艦指示を見つつ、速度と機体の角度を調整しながら甲板に入り、着艦フックをワイヤーに引っ掛け無事に着艦した。

「ふー、何とか無傷で帰ってこれたな」
「敵さんが油断仕切ってくれたお陰で戦闘機が哨戒してなくて楽に任務を終わらせる事ができましたな」
「写真も時間のデータを取れましたしね」
「敵機がいなくてほんとに良かったです!」

 無事に帰還出来た事をそれぞれ喜び合い、甲板の上で少し話してから休みを取らせてから報告をするために艦橋へ向かった。
 艦橋内に入り、第1会議室に向かった。

「失礼します」
 
 ノックして部屋に入ると第5航空艦隊司令長官などのお偉い方が席に座って待っていた。

「三養中尉です。グアムの状況について報告します。敵基地には少なくとも多数の航空戦力が確認できました。それと前回の海戦で逃した敵艦の残存艦を確認しました」
「なるほど、やはり本隊の情報通り敵艦隊はグアムに逃亡していた」
「しかし、そう考えるなら敵の地上戦力は予想よりも多いことになる」
「そうなるとまずは、戦闘機部隊のみによる制空戦か夜間攻撃機での夜襲攻撃が基本となる」
「夜間攻撃機と言っても雲雷の数が足りないぞ?いくら双発機の雲雷でも最低でも30機は必要だ。本艦隊には半数しか搭載していないぞ」
「天山や流星なら可能ですが、一回の搭載量ではやはり雲雷の方が高い」

 雲雷偵察機として開発されたがカメラや電子戦用の機器を下ろせば、最大2トンもの爆装が可能で、主に夜間攻撃や精密爆撃を行う事もある。
 会議かほとんど進まない事に暇を持て余していたため、現場での経験から考えられる確実な方法を提案してみた。
 本当なら俺の様な下士官が発言出来ることなどまれなのだが、上官に当たる附会少佐は、一般兵士や下士官などの実際に見た者の意見を聞き、作戦を考えるなど他の将校とは違った考え方を持っていた。
 
「それなら雲雷の夜間攻撃能力でレーダーやハンガー、燃料タンク、管制塔を攻撃し、レーダーを破壊した直後に天山、流星、彗星、烈風による攻撃隊が湾港施設、停泊中の艦艇を攻撃すると言うのはどうでしょうか?」

 私の発言を聞いた参謀たちは、少し考えてから納得し、詳細を話し合った。

「なるほど、まず、敵の目と耳を奪い指揮系統を混乱される。その間に主力となる攻撃隊による攻撃を行い敵の制空権、制海権を奪い取ると言う作戦か?」
「悪くない。むしろ少ない戦力をカバー出来るいい作戦だ!」
「だが夜間攻撃能力のある天山や流星は無事に帰還出来るだろうが彗星や烈風は、最悪の場合戻れなくるぞ!」
「作戦開始事時刻は0300時に行う予定です。グアムまで1時間は、かかりますから今の季節を考えると攻撃終了には日が登っているため、問題は無いはずです」

 作戦の主な実施方法が決まり、席から離れて行く。少佐は、私に近づくと「よくやったな」といい、肩に手を置いて呟かと部屋を出た。

    
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