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存命編
ep19 決意
しおりを挟む「ア…アリシア………………… 」
気づけば涙が溢れていた
罪悪感からかただただ悲しいからなのか……
彼女は俺が殺したも同然なのだ
もう……俺はダメだ…………
怪物はアリシアを貫いた右腕を右へ払いのけて
ゴミでも捨てるようにアリシアを捨てた
ドチャッッ……
動かない人形のように
脱力したアリシアの身体が地面に叩きつけられ
金色の髪が紅く染め上がっていく
(アリシア…死ぬな……死なないで…………
俺は君が死ぬと…………………… )
「また… 独り だよ………… 」
俺は何処までも自己中心的な人間のようだ
先程まで彼女から必死に逃げてたくせに…………
「ははっ……はははっ………あははははっ…… 」
俺はこの世界で狂ってしまったのだろう
意味もなく笑いがこみ上げてきた
うん………彼に殺してもらおう……………
「ごめん藤村…
俺… もう無理だわ………………… 」
そうして黙って俺は目を閉じる
近づいてくる足音は死へのカウントだろうか
大丈夫…もう怖くないから……………
バギャアッッ……!!
俺は暗闇の中にいる
でも何処へだろうと行ける気がしてきたんだ
「まだ諦める所ではないわ…
そして勝手に私を殺すのはやめてっ……!! 」
感情的になっているのか少々の荒々しさはあるが
この凛とした声を俺は最近よく聞いていた
だから聞き間違えるわけがなかった
「 …………アリシアッ…!! 」
暗闇のなかで叫ばずにはいられなかった
そして目を開け焦るように確認すると
アリシアが奴を殴り飛ばしていた
(でも アリシアは…腹部を貫通されて…… )
そう思って彼女の腹部を見ると
血で紅く染まってはいるが
灰色の鱗のような硬い皮膚で覆われていた
骨が何重にも折り重なっているようにも見える
「はぁああっっ……!!! 」
アリシアは叫びながら彼と戦っている
場違いにも彼女がまだ生きていることを知れて
今度は嬉し涙がこぼれ落ちた
ドガッ!!……
俺は自分が嫌になって手を床に打ち付けた
そしてすぐに涙を堪えて感情を押し殺す
彼女はまだ戦っているのだ
(俺は 彼女 に
何をしてあげれるんだろうか?……… )
~ ep19完 ~
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