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存命編
ep20 女帝の覚醒
しおりを挟むアリシアside
「、、、、、、、、、 」
どうしてだろうなのだろうか………
私は奴により腹部が貫通されて血も大量に失い
鈍痛にさえ襲われているのに
(まるで蝶が羽化したかのように…………)
「身体が軽いっ……!」
ドゴァッ!!…
私が繰り出した右脚の蹴りが奴の左肩を
潰すように襲い掛かる
「グッ… グアアッ!!… 」
奴は悲鳴を上げたがすぐに巨大な右腕を使って
左肩を隠すようにして身構えた
「厄介ね…右腕を先に潰すわ………… 」
私は右脚を半歩引いて構えた
過去に戦闘訓練は腐るほど経験してきた
ソレはこの時の為なのかもしれない
「今は…この力を利用する……… 」
腹部を貫かれて生きてる時点で
カミダさんの言う通り私が怪物なのだろう
しかし…………
「人間なら私は既に死んでいた………
皮肉にもこの身体だったから生き延びた…
ソレも事実でしょう?…」
私は数m先の奴に駆け寄って
自身のリーチ内に入った瞬間に上へ跳んだ
(コレは大空を舞う鳥が見る景色……? )
普段より脚力もやはり上昇しているようだ
気がつけばと奴を俯瞰するように捉えていた
少なくとも5mは飛んでいるようだ
上から見ても
彼が私を見失って戸惑っている様子がわかる
あの怪物の視力は優れてないのだろう
そして私の身体は落下を始めた
彼の頭が目の前にきた瞬間
滞空したまま上半身のバネを使って身体を反る
そして奴の顔面に右膝を繰り出した
バギャアッ!!………
肉に右膝が食い込んでいく感触が伝わるなか
奴は左手で顔を抑えて後ろに仰け反る
顔面から勢いよく緑色の体液が吹き出ている
「消えて……………」
そう呟いて私は目を閉じた
全身が熱くなり全身にエネルギーが漲っていく
ビギビギビギビキッ…………!!
そっと瞼を開けて右腕に視線を移すと
白くて硬い骨のような物体が
何重も折り重なった様な怪物の腕に変化していた
「オオオオオッ、、!!! 」
奴がこちらに目掛けて突進してきた
右腕のリーチ内に入った瞬間に
捕まえるように掌を開いた右腕を繰り出した
「遅いわ… 」
私はソレを左に跳ねて躱す
さらにそのまま疾走し奴の懐へ潜り込んで……
ドッッ、、!!
心臓辺りを狙って右腕で貫く
胸部に刺さった腕を抜き取ると奴は倒れた
「その…アリシア……………」
背後から涙ぐんだ神田さんの声が聞こえた
私は振り返らずに背を向けたまま
「私に近づかないで……… 」
「何言ってんだよ…
だって……無理して身体が……… 」
「カミダさんの言う通り私は……………
だから次は 貴方 を殺すかもしれないわ
先程のように逃げたほうがいい 」
そのように私は彼に忠告する
現状、私は自我を失っているわけではない
このままなら彼に襲いかかったりはしないだろう
しかしいつどうなるかはわからない
「さっきはごめん…本当に悪かった……
そして助けてくれてありがとう…
本当にっ…アリシアが死ななくて良かった… 」
カミダさんは静かな声でそう告げた
私はただ黙っていると
「俺は… アリシアが怪物だとしても…
受け入れたいよ、、 」
彼はさらにそう続けた
なんと言えばいいのか、どうするべきなのか
私は全くわからなかったが
(私はあの日から1人だった…
それまでいた 仲間 とも会えずに、、)
だからほんの少しだけ嬉しかった…
「私が怪物でも構わないの? …
本性は気分次第で殺す殺戮兵器かもしれないわ」
「そうじゃないとあの時死んでるから…
だから良かったよ……本当に…」
彼のその言葉を聞いたあと
突然、身体に力が入らなくなった
身体を制御できずにその場に私は倒れこんだ
「おいっ…アリシアッ…!! 」
ぼんやりと視界には必死なカミダさんが映っている
しかし急な眠気には抗えずに
私は目を閉じ暗い世界に入った
~ ep20完 ~
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